ブログ 「ごまめの歯軋り」

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医療問題 真野俊樹著 「入門 医療経済学」  中公新書

2008年09月01日 | 書評
医療制度を考える上で、医療経済学的視点は欠かせない 第17回
医療と最新の経済学 (3)

 医療の課題とは患者の利益と医療機関の利益を増加させることであったが、現在では医療費抑制のための制約が加わった。かけられる費用が少なくなれば解の満足度も低い。社会保障制度の費用負担という政府支出が少なくなれば市場メカニズムが働く(価格が利用量に影響)から、患者の排除切捨てになるとか社会不安に連結するので、社会保障制度による費用支援が必要なのだ。ところが介護サービスは情報の非対称性が少なく、消費者がケアーマネージャに対して自分の希望を云うことが出来るので、サービス消費量に価格メカニズムが効果を発揮する分野である。健康保険費用は本人が1割から3割を自己負担する一部負担と、アメニティの部分(差額ベット、食事代の一部、洗濯代、証明書発行など)については保険外負担である。現在混合診療は禁止されているが、高度先進医療や選択医療を保険外負担とする混合診療も議論されている。アメリカでは医療費がGDPの14%を占める問題を経済学が無視できなくなっている。しかし価格メカニズムは医師にモラルハザード(医者が独断で余計な診断医療を行う)がおき易い。


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