ブログ 「ごまめの歯軋り」

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経済問題  春山昇華著 「サブプライム問題とは何かーアメリカ帝国の終焉」  宝島社新書

2008年09月01日 | 書評
米国の住宅バブル、略奪的貸付、証券化金融技術、世界資本市場からサブプライム問題を解明 第6回
第2章 サブプライムローンの略奪的貸付 (2)

住宅バブルを拡大した要因に一つに「証券化」という金融技術がある。数百件とか千件という住宅ローン物件を銀行がひとまとめにして証券会社に売る。証券会社は「仕組み債」に仕立てて持分権を投資家に販売する。「証券化」という金融技術はおいしい部分だけを受け取ってリスクから逃れることが可能となった。銀行は返済不能と云うリスクは負う必要はない。貸し出し審査もいい加減になりビジネスモラルが崩壊した。ローンを払う人は金利7%だとすると、中間の金融機関の手数料(住宅ローン専門金融機関も銀行の系列会社)をたっぷりとって6%の債権と云う商品に仕立てれば市場の投資家は奪い合って買うのである。しかも格付け会社がトリプルAと云う信用のお墨付きを与えている。疑う人はいなかった。契約のトラブルは住宅ローンブローカーにやらせ(ブローカーはやばい時には直ぐ逃げる詐欺師のようなもの)、ブローカー以外の金融機関は善意の第3者になるのである。金融機関にとって自己資本規制があるので、債権を売り払うことで資本を増やさなくて済むのである。まさに一石二鳥の妙手であった。ファンドも銀行の系列であるので、この手法は債務飛ばし手法である。まさに狂乱のバブルの様相を呈していた。


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