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読書ノート 巽 好幸著 「なぜ地球だけに陸と海があるのかー地球進化の謎に迫る」 岩波科学ライブラリー

2018年09月20日 | 書評
太陽系惑星
  
太陽起源から地球進化の謎に迫る、陸と海の関係から読み解く 第4回

1) 序章ー陸惑星地球 (その1)

地球は太陽系で唯一その表面に液体の水をたたえる惑星である。「水惑星」と呼ばれる所以である。太陽系の中で地球型惑星に分類される、水星、金星、地球、火星は表面に堅い殻クラストを持つ。それを地殻と呼ぶ。地球以外の惑星についてこれまで探査機が行ったレーダー観測によると、表面のしわ「表面高度分布」(地球は海面よりの距離、他は基底面からの相対高度)は、地球は陸では山、海では溝という二つのピークを持つ。火星では北極と南極で二つのピークがあるが、これは上で痩せ下で太っている形状のひずみにより質量中心(重心)と形状中心が異なる為で、これ補正すると一つのピークとなる。金星や水星と同じ単一の高度分布を示す。実は筆者のピークという言葉に誤解が生じやすい。地球から水を取り去り表面の凸凹を基準面で評価すれが起伏が激しいという表現になり、金星や水星の表面はなだらかという表現になる。データー処理上のトリックに過ぎなく、本質的なことではないと私は考える。では地殻構造について見ると、地球型惑星の内部は、内側から核、マントル、地殻クラスとの三層かならなる。重さでいう内側から外側へ向かって軽い物質が層をなしている。地球ではマントル層が融けると玄武岩(二酸化ケイ素成分50%)のマグマになるのだが、探査機メッセンジャーによるX線分光測定によると水星表面は二酸化ケイ素は少なく(40%)マグネシウムが多いピクライトという岩石であることが分かった。金星については探査機パイオニアによるとクラストは玄武岩(50%)で構成されている。火星については探査機マーズ・バスワインダーの測定によると二酸化ケイ素に富む(60%)安山岩で構成されている。地球の表面の火成岩である花崗岩(70%)は全く見られない。地球以外の惑星のクラストは全体として単一成分が構成している。地球クラスト成分が特異的である理由は、水の存在が決め手となることをこれから検討する。

(つづく)


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