ブログ 「ごまめの歯軋り」

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「文語訳 旧訳聖書 Ⅱ 歴史」 岩波文庫

2020年04月06日 | 書評
結城市城址公園の桜(白)

イスラエル民族はカナンの地でダビデ・ソロモンのもと統一国家を形成し、後南北王国に分裂しアッシリアに滅ぼされバビロンの幽囚となる時代の歴史12書

2) 「文語訳旧約聖書 Ⅱ 歴史」(岩波文庫2015年)(その17)

2-3) 2-4) サムエル記 前書 (預言者サムエルと王サウルの物語) (その6)

第26章: ジフ人がサウルにダビデはハラキの山の隠れていると知らせた。そこで王サウルは3000人の捜索隊をジフの野に派遣した。サウルは山のすそ野に陣を取り、ダビデは物見を出し、サウル軍長ネルの子アブネルの陣営を調べ、ヘテ人アヒメレク、ゼルヤの子アビシャイに奇襲を命じたが、エホバが膏を注いだ者を殺してはいけないと指示した。(サウルとダビデの二人に膏が灌がれたことが事態の膠着の最大の原因であった。これではどちらがどちらを殺してもエホバへの悪となる。なんと煮え切らないやりとりが展開される)
第27章: ダビデはサウルの手から遁れるにはペリシテ人の地に逃げるしかないと考え、ガテの王マオクの子アキシに至って、アキシの家に二人の妻アヒノアム、アビガルと共に住んだ。ダビデは城内には住めないので、アキシの邑のうち一つをダビデの従者に与えてほしいと願った。アキシはチクラグという邑をダビデに与えた。チクラグはユダの王に属していた。ダビデは従者とともにゲシュル人ゲゼり人アマレク人の地を襲い皆殺しにして家畜類を奪った。こうしてダビデはペリシテ人の中で領土を広げた。アキシはそれでもダビデを信じたという。
第28章: ペリシテ人がイスラエルと戦うためにシュネムに陣を取り、イスラエルは全軍ギルボアに陣を取った。王サウルはペリシテ軍を見て震え上がり預言者は誰も答えなかったのでエンドルの口寄せの婦のもとに、変装して出かけた。そして故預言者のサムエルを呼び起こしてほしいと依頼した。口寄せの婦は驚いて依頼人が王サウルであることを見抜き、サムエルを呼び出した。サムエルが言うには、エホバはすでに汝より離れ汝の敵となった。イスラエルの国は汝から解放しダビデに与えた。イスラエル人の陣営はペリシテ人の手に渡されると述べた。これを聴いてサウルは力を失い食事もできなかった。
第29章: ペリシテ人は全軍をアベクに集め、イスラエルはエズレルに陣を取った。ペリシテ人の伯は軍の百人千人の頭となり進軍し、ダビデとアキシはその後に就いた。ペリシテ人の伯はアキシに、そこに居るのはダビデではないか、なぜいるのかと問うた。ダビデが逃亡の末アキシのところにいると述べたが、伯らはいつ寝返るか分からないので返せという。アキシはダビデに関して何の問題もないと抗弁したが、結局翌朝ダビデはペリシテ人の後背地に戻され、全軍はエズレルに向かって進んだ。
第30章: ダビデが戻ったのは、ペリシテ軍の留守を狙ってアマレク人が南の土地とチクラグに進出し、邑を焼き、女子供を人質にし、家畜を奪って引き上げた後であった。その奪われた妻子のなかにダビデの二人の妻もいた。ダビデはアヒメレクの祭司アビヤタルにエポデ(契約の箱)を持って来させて、エホバに問うた。アマレク人の軍に追いつくことができるというエホバの声に励まされ、600人の従者を引率して後を追った。べソル川の傍に輜重をおいて200人をこれに守らせ、400人の従者とともに川を渡りった。途中拾ったアマレク人の棄兵の若者に食事や水を与え、彼を道案内人としてアマレク人の軍に追いつきこれを一晩で壊滅させ、奪われた者、家畜を取り戻した。分捕り品の分配は攻める者も輜重を守るものを等しく受けることができるというイスラエルの法を作った。
第31章: ペリシテ人とイスラエルとの戦いはイスラエル軍の敗北となった。負傷者はギルボア山に倒れ、サウルの子ヨタナン、アビナダブ、マルキシュアは殺され、サウルは矢を受けて動けなくなり自害した。イスラエル人は邑を捨てて逃げ、代わりにペリシテ人が入った。

(つづく)


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