ブログ 「ごまめの歯軋り」

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文芸散歩  金田鬼一訳 「グリム童話集」 岩波文庫(1-5冊)

2013年03月16日 | 書評
ドイツ民俗研究の宝庫「児童と家庭向けのおとぎばなし」 第76回

* KHM 116  青いあかり
アラビアの「アラディンと魔法のランプ」伝説の直系というべき話です。どうした経路でグリム童話に流れ込んだのかは分かりません。又この主人公の兵隊崩れの男の根性も感心できません。でも話しはハッピーエンドとなり複雑な気持ちです。ある国の兵隊が怪我をしてお払い箱になりました。兵隊は何日か歩いて森にはいりました。腹も減ったので、灯りの点いた家に行き、魔法使いの婆さんに食べ物を恵んでくれと頼みましたが、おばあさんは仕事を命じました。第1日目は畑を耕作すること、第2日目は薪を割ること、3日目は井戸に入って落としたランプを拾ってくることでした。井戸におりた兵隊さんは青い灯りを見つけ、地上にあがろうとしましたがおばあさんは綱を切って井戸に落としました。しかたなく兵隊さんはランプの火で煙草をつけますと、真っ黒なこびとがあらわれ「何か御用?」といい、何でもいう事を聞いてくれるそうです。そこで真っ黒なこびとに地上へ出られるように命令しました。つぎに魔法使いのおばあさんを捕まえて裁判にかける事、つぎに王様に仕返しをしてやるため王様のお姫様を毎晩下女奉公に出す事を命じました。毎晩でてゆく娘に不信を持った王様は行き先を探るため知恵を絞りますが、黒いこびとの知恵比べとなり3日目にとうとう兵隊さんの居所が分かり逮捕されました。そして絞首刑となりますが、最後に一服させてくれといってランプの火で煙草をつけますと、真っ黒なこびとが出て裁判官から王様までこっぴどく打ちのめしました。こうして兵隊さんは国を乗っ取り王様となりお姫様と結婚しました。手放しで喜べない複雑な心境となる話です。

* KHM 117  わがままな子ども
わがままな子がいましたが、神様も愛想を尽かし命を召しました。お墓に子どもを埋葬しましたが、にょっきり腕が地上に出てきました。お母さんはその子どもの腕を鞭でぶつとやっと引っ込みました。両親を打つと死後に墓の中から腕が出るという俗信がありそれに関連した話です。
(つづく)


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