ブログ 「ごまめの歯軋り」

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「文語訳 旧訳聖書 Ⅳ 預言」

2020年08月28日 | 書評
夏雲

イスラエル民族の再興を願う3大預言書と12小預言書

3) 「文語訳 旧訳聖書 Ⅳ 預言」(岩波文庫2015年)   (その50)

10) ヨナ書

内容は預言者のヨナと神のやりとりが中心になっているが、ヨナが大きな魚に飲まれる話が有名。前半は、ヨナ自身の悔い改めの物語を描き、後半は、ヨナの宣教によってニネベの人々が悔い改めたことを述べる。ヨナ書の主題は、預言者として神の指示に従わなかったことと、ニネヴェの人々が悔い改めたことに対して不平不満を言ったことに対するヨナの悔い改め (=神に仕える者としての生き方を正す) と、神は異邦人でさえも救おうとしておられることの二つである。含蓄の多い話である。
第1章: エホバの言がヨナに臨み、ニネベに言ってその悪を攻めよ。ところがヨナはエホバを避けてタルシンに遁れるべく船に乗ったところが暴風雨が吹いて今にも難破の危険が迫った。船長が船底で寝ているヨナを起こし、誰のせいでこんな災難に遭うのかを決める籤引が行われ、籤がヨナに当たった。ヨナの素性について質問があり、ヨナは我はへブル人で神エホバを畏れる者であると答え、ヨナがエホバから遁れる旅にあることが分かった。そこでヨナは自分を海に投げ込めば海は静まるといい、ヨナは海を鎮める犠牲となった。ヨナが海に入ると嵐は止んだ。エホバは大きな魚を準備しておきヨナを呑み込ました。
第2章: ヨナ魚の腹の中でエホバに祈祷りて言う。われ黄泉の入り口まで往ったが、我が声はエホバに聞こえ、エホバの声が返ってきた。神エホバは我を救い上げ給えり、我感謝の声をもって汝に捧げものをなし誓願を行った。救いはエホバより出た。エホバはその魚に命じてヨナを陸に吐き出した。
第3章: 再度エホバの言がヨナに臨んだ、ニネベに行きエホバの言を述べよ。ヨナその大きな邑に入り初日は街頭で叫んだ、「この邑は40日後に滅ぶ」と。ニネベの人々、そして王たちも謹慎し、麻布を身にまとい断食令を出した。民はその悪しき行いを悔い悪を離れる請願を行い、神はその怒りを解いた。
第4章: 普通の話はここで終わりなのだが、ヨナはエホバが憐れみがあり怒ること遅く禍を悔い給う者と理解していたが故に、この顛末になることは予想していた。だから最初のエホバの命のときタクシンに逃げたのである。エホバよ願わくはわが命を取り給え、生きるよりそのほうがいいと抗議した。エホバは汝の怒るのももっともだと言って、ニネベの邑の東に小屋を作って住むことにした。エホバは小屋の上に瓢を植えて日を遮り、ヨナは喜んだ。そして翌日虫を送って瓢を食わせて枯れさせた。するとヨナは熱くて死にそうだと文句を言う。エホバ言う、こんな瓢の日除けという小さなことで一人の人間が生きるとか死ぬのももっともだ。しかし12万人の人口を持つ邑を枯らすことは私には惜しかったのだと。
(ヨナ書おわり)
(つづく)


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