ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

文芸散歩  金田鬼一訳 「グリム童話集」 岩波文庫(1-5冊)

2013年03月05日 | 書評
ドイツ民俗研究の宝庫「児童と家庭向けのおとぎばなし」 第66回

* KHM 105  蛇のお話・ひきがえるのお話
 小さな子どものお昼はいつも牛乳とパンです。お庭に坐ってお食事中に、いつも壁から、頭に輪型の対いた蛇が出てきて子どもに牛乳を戴いていました。それを見た母親が薪でもって蛇をたたき殺しました。それ以来子どもの成長は止まり、次第にやせ衰えて死んでしまいました。ヘッセン地方のウンケ(環紋蛇)のお話です。ウンケは地方・時代によって蛇であったり、カエルであったりします。

* KHM 106  かわいそうな粉ひきの若いものと小猫
 ある水車小屋に粉引きのおじいさんがいました。年をとって妻子もなく奉公人の若者が三人いました。兄弟子二人は利口者でしたが、末弟子のハンスはわからずやでした。粉引き爺さんはある日皆を呼んで、一番いい馬を持ってきたものにこの水車小屋を譲るが、おじいさんの老後の世話をすることを条件にしました。三人は旅に出ましたがハンスは兄弟子二人に置いてけぼりにされ、森の中をさ迷っていると、小さな三毛猫が現れハンスにこういいました。「7年間奉公すれば立派な馬一頭をあげる」というのです。猫御殿にゆくとその猫は王女で毎日薪を小割りにする仕事や、干草を取り込む仕事、小さな家を建てる仕事で7年目を迎えました。年季が過ぎたのでハンスはお暇を願い出ると、3日後に水車小屋に馬を届けると猫の王女様がいいました。家に帰ると、兄弟子二人の持ち帰った馬はびっこでめくらです。3日後王女様は6頭立ての馬車に乗って、立派な馬を引き連れて水車小屋にやってきました。親方はハンスに水車小屋を譲るといいましたが、ハンスは断って王女様と小さな御殿にゆき結婚しました。特に倫理的理由はありませんが、魔法による末子成功譚の一種です。愚かな子供にも希望を持たせるための話かな。
(つづく)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿