アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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うるま市長選で敗北、翁長知事は直ちに「承認撤回」を

2017年04月24日 | 沖縄・翁長・辺野古

     

 23日投票の沖縄・うるま市長選で、「オール沖縄」の山内末子氏=社民、共産、自由、社大、民進推薦は、現職の島袋俊夫氏=自民、公明推薦に得票率で10㌽差をつけられて敗北しました。この結果をどうみればよいでしょうか。

 注目されるのは、勝敗とともに(あるいはそれ以上に)、投票率が前回(8年前)より1・85㌽低い60・70%と過去最低を記録したことです。昨年の県議選や参院選よりは高いとはいえ、「安倍政権と翁長氏がそれぞれ推す候補の一騎打ちは全国的にも注目を集めた」(24日付沖縄タイムス社説)選挙として、この低投票率は見過ごせません。

 「過去最低の投票率」の大きな原因は、争点の不明確化、端的に言えば山内氏=「オール沖縄」陣営が「辺野古」をあえて争点から外したことにあったと言わざるをえません。

 「『オール沖縄』勢力は…求心力の源泉である『辺野古』問題を積極的に語らない戦略で選挙戦に臨んだ」(24日付琉球新報)のです。結果、山内氏は「教育政策や市政刷新を中心に訴えたが現職との差別化に苦しんだ」(24日付沖縄タイムス)。「その(山内氏の政策のー引用者)内容は島袋氏の政策と重なる部分が多い」(同社説)からです。

 政策に大差のない選挙が現職に有利なのは自明です。なによりそれは、有権者から投票意欲を奪います。その結果が「過去最低の投票率」となったことは明らかでしょう。
 山内氏と島袋氏の政策の大きな違いは、言うまでもなく「辺野古」です。山内氏が新基地に一貫して反対しているのに対し、島袋氏のバックボーンである沖縄自民党は8日の県連大会で「辺野古新基地容認」を明確に打ち出したばかりです。これこそ最大の政策的相違点であり、山内氏の政策の優位点です。
 ところが山内陣営・「オール沖縄」はそれを自ら封印し、争点のない選挙にしてしまったのです。

 選挙結果にはいろいろな要素が反映しますから、仮に山内氏が「辺野古新基地反対」を前面に掲げていても、選挙結果がどうなったかは分かりません。
 しかし、問題は「結果」ではありません。18日のブログで述べたように、「護岸工事」が目前に迫っている中で行われる重要な一騎打ちの選挙で、「辺野古」を前面に掲げないこと自体、新基地阻止のたたかいにおいて許されることではありません。
 ところが「オール沖縄」陣営はそれをやってしまった。いわばたたかわずして敗れたのです。その責任はきびしく問われなければなりません。

 問題は、この選挙結果を受けて今何をすべきかです。

 「オール沖縄」陣営には敗北に打ちひしがれているヒマはないはずです。「護岸工事」はきょう(24日)にも強行されると報じられています。うるま市長選の誤りを正し、いますぐ「辺野古新基地阻止」に向けたたたかいを再構築しなければなりません。その具体的な方策は言うまでもなく、翁長氏に直ちに埋立承認を「撤回」させることです。

 選挙結果を受けて、琉球新報は「『オール沖縄』勢力は…手詰まり感も漂う中、基地問題以外の分野での訴求力をいかに高めるかが今後の問題となる」(24日付)とし、沖縄タイムスは「翁長知事を支える層からは知事の埋め立て承認撤回や県民投票などの新たな動きを求める声があり…」(24日付)、「辺野古ノーの取り組みは再構築を迫られている」(同社説)と論評しています。

 驚くべき論調です。いま「基地問題以外の分野」や「県民投票」に視点を移したり「再構築」などと言っている場合でしょうか。今日にも「護岸工事」は強行され、事態は取返しがつかないことになってしまうのです。
 新報、タイムスが「辺野古新基地反対」なら、「辺野古の環境破壊反対」なら、なぜ「翁長氏は直ちに承認撤回を」と主張しないのでしょうか。
 県内に絶大な影響力を持つ新報、タイムスが、これまで翁長氏に「承認撤回」を強く迫って来なかったことが翁長氏の撤回棚上げを許してきた大きな要因であることを両紙は銘記すべきです。
 
 宜野湾、宮古、浦添に続くうるまでの「オール沖縄」陣営の市長選4連敗。その根底には、翁長氏が「承認撤回」を知事選で公約しておきながら、いつまでたっても実行しようとしないことに対する有権者の批判があることは明白です。
 
 翁長氏は今すぐ「承認撤回」すべきであり、「オール沖縄」陣営は翁長氏にそれを実行させねばなりません。それが知事選で翁長氏を担いだ責任ではないでしょうか。

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