アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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「東京五輪延期」の翌日に感染者数が急増したのはなぜか

2020年03月30日 | 日本の政治・社会・経済と民主主義

    
 新型コロナウイルス対策の安倍政権の姿勢は、今月25日から変わりました。小池百合子都知事が緊急会見して「感染爆発の重大局面」を強調したのがきっかけです。その根拠となったのは、25日からの感染者数の急増です。

 発表された都の感染者数は、3月23日=16人、24日=17人、25日=41人、26日=47人、27日=40人、28日=63人、29日=68人。明らかに25日を境に変わっています(写真左)。なぜ25日から急増したのでしょうか。報道をみる限りその理由は明らかにされていません。

 25日とはどういう日だったでしょうか。
 小池知事も同席した安倍首相とILO・バッハ会長の電話協議で、東京五輪の「1年延期」が正式に決まった日の翌日です。24日まで東京五輪の「中止はあり得ない」と繰り返していた小池氏の会見は、一夜明けて、「感染爆発の重大局面」を強調する場となりました。

 これを受けて安倍首相も28日記者会見し、新型コロナとのたたかいは「長期戦」だとし、緊急事態宣言について「瀬戸際」だと述べました(写真右)。同日の政府の会議では「検査体制の強化」も確認されました。

 「東京五輪延期」が正式に決まった翌日から、発表される感染者数が急増した。これははたして偶然でしょうか。

 そもそも感染者は検査しなければ顕在化しません。安倍政権がこれまでその検査を抑制してきたのは周知の事実です。それは諸外国から見れば、不思議であり不自然でした。

 「米紙ニューヨーク・タイムス電子版は26日、新型コロナウイルスの日本での感染状況について…日本が医療崩壊を避けるため、意図的に検査を制限しているとの見方を紹介。米コロンビア大の専門家は、日本のやり方は『ばくち』であり、『事態が水面下で悪化し、手遅れになるまで気付かない恐れがある』と警鐘を鳴らした」(28日付琉球新報=共同電)

 政府・厚労省の感染対策責任者の押谷仁東北大教授は、「PCR検査を抑えていることがクラスターの発生を抑えている」と述べ、検査を「抑えている」こと認めました(24日NHK)。

 日本の検査数の少なさに対しては、日本国内でも批判の声が出ています。
 感染症に詳しい岡田晴恵白鴎大教授(元国立感染症研究所研究員)は、市中から無作為抽出して検査を行って感染者数を把握することが感染の広がりと重症化を防ぐうえで有効だとしたうえで、「どうして(それを)やらないのでしょう」と首とかしげています(27日のNスタ=TBS系ニュース)。TBSの牧嶋解説室長も「東京都はPCR検査数が少ない。かなり絞っていると思う」(同)と述べています。

 安倍政権が検査を抑えてきたのは、「医療崩壊」を避けるため(だけ)でしょうか。
 クルーズ船対策の時から外国メディアは、「安倍政権が東京五輪への影響を恐れるあまり、方策を間違えた」(2月21日付琉球新報=共同配信)という見方をしていました。韓国の京郷新聞は、「安倍晋三首相の最大の関心事は、東京五輪が影響を受けないよう日本国内の感染者数を抑制することにある」と報じていました(同)。

 安倍首相が東京五輪を強行しようとして、検査を抑制し、感染者数を小さく見せていたのは間違いないでしょう。その東京五輪が「延期」と決まり、小さく見せる必要がなくなった感染者数の発表数字が急増した…。
 そして今度は逆に、感染者数の急増、「重大局面」をテコに、緊急事態宣言の機会をうかがう。それが安倍政権の姿ではないでしょうか。

 未知のウイルスに対し私たちにできる防衛策をとることは必要で重要です。同時に、時の政権(国家権力)は、そのウイルス対策をも、感染データの操作も含め、国家戦略・国民支配に利用しようとするものであることを肝に銘じる必要があるのではないでしょうか。

 

 


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