参院選公示前日の3日に行われた党首討論会で、各党の党首がボードに書いた「訴えたいこと」は次の通りでした。
「政治の安定」(安倍・自民党総裁)、「小さな声を聴く力」(山口・公明党代表)、「生活防衛」(枝野・立憲民主党代表)、「家計第一」(玉木・国民民主党代表)、「くらしに希望を」(志位・日本共産党委員長)、「身を切る改革 消費税凍結」(松井・維新の会代表)、「憲法を活かす支え合う社会」(吉川・社民党幹事長)
与党の自民、公明、実質与党の維新は別にして、安倍政権とたたかう(はずの)野党4党は、社民党を除き、すべて「生活」「家計」「くらし」を最重視しています。その後の公示第一声や党首討論会などでもその基調は変わりません。
はたして、それでいいのでしょうか。
国政選挙で野党が「生活・家計・くらし」を前面に掲げるのは今回だけではありません。少なくともこの数十年の一貫した特徴といえるでしょう。
それは有権者の意識を反映した現象にほかなりません。今回の参院選に対しても、NHKが行った「最も重視する政策課題は何か」という世論調査(6月末)では、社会保障=32%、経済生活=20%、消費税=19%、合計71%が「経済・くらし」という結果でした。
この背景に、安倍政権はじめ歴代政権の「くらし・福祉」破壊があることは明らかです。
実質賃金の減少、不安定な雇用、かさむ医療・介護・教育費負担の中で、生活防衛、将来への不安対策が切実であることは言うまでもありません。年金だけでは生活できずアルバイトを掛け持ちしている私自身、それは痛感しています。
しかし、人間には時として、自分や家族の「くらし・経済」よりも大切なものがあるのではないでしょうか。
日本の政治(社会)のありかたを問う国政選挙で、「生活・家計・くらし」を常に圧倒的に重視してきたことによって、日本は、日本人は大切なもの見失ってこなかったでしょうか。
日米安保体制(軍事同盟)や(象徴)天皇制のことを言っているのではありません。日米安保や天皇制が日本の政治・社会の在り様を規定している根本問題であることは明らかです。が、今回の選挙でそれを争点として前面に掲げるべきだと言うのではありません。
日米安保、天皇制には賛成だという人も含め、すぐに取り組まねばならない課題であるにもかかわらず、野党の選挙公約から欠落している重要な問題があります。(明日に続く)