アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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「超法規的」に万博を強行しようとする自民の異常

2023年10月13日 | 日本の政治・社会・経済と民主主義
   

 自民党の大阪・関西万博推進本部会議(10日)で、2025年開催予定の万博パビリオンの建設をめぐり、時間外労働上限規制の対象外とするよう要求する意見が出ました。パビリオン建設が遅れていることから、「超法規的な取り扱いが出来ないか」「災害だと思えばいい」などの発言です(10日付朝日新聞デジタル)。

 同様の要求は主催の日本国際博覧会協会(万博協会、会長・十倉雅和経団連会長)も7月政府に提出し、建設業界や日弁連などから厳しい批判を浴びて取り下げた経過があります。それを性懲りもなく蒸し返したものです。労働者・市民を守る法律を歯牙にもかけない自民党の無法ぶりが端的に表れています。

 松野博一官房長官は11日の記者会見で、上記の議論があったことは「承知している」としたうえで、「万博関連工事の内容が具体化されていない中、時間外労働の上限規制について(政府として)検討を行っていない」(11日付朝日新聞デジタル)と述べました。これは自民党の議論を否定せず、今後工事の内容が具体化されると検討する可能性があると示唆したもので、きわめて重大です。

 まさに「超法規的」に法を犯してまで万博を強行しようとする岸田政権・自民党、万博協会は異常としか言いようがありません(写真左は、自見万博担当相、吉村大阪府知事ら=朝日新聞デジタルより)。

 一方、万博に対する市民の目は冷めています。
 毎日新聞の世論調査(8月)では「関心がある」は22%、「関心はない」が63%。読売新聞の世論調査(7月)でさえ「関心がある」35%に対し「関心がない」は65%にのぼっています。

 市民はなぜ大阪・関西万博に冷ややかなのか。
 ジャーナリストの北田明子氏と今西憲之氏はその理由を5点挙げています(「世界」11月号所収「開催できるのか?瀬戸際の関西万博」。以下要約)

①膨らむ会場建設費
 当初(2018年)見積もりは1250億円だったが2020年12月に1・5倍の1850億円に修正。さらに今年8月に2300億円(当初の1・84倍)に上振れ(この他「警備費」200億円―私)。

②パビリオンの大半はプレハブ?
 各国が個性を発揮して建設する「タイプA」はほとんど申請がなく、多くは簡易型プレハブを引き渡す「タイプX」になる見通し。

③「いのち輝く未来社会のデザイン」(万博のキャッチフレーズ)の下はPCBとメタンガス土壌
 開催地の夢洲(ゆめしま=写真中)は産業廃棄物などで埋め立てた人工島で、現在はごみの最終処分場。地盤は大変軟弱で、土壌は健康に影響する汚染にまみれている(土地改良に800億円超―私)。

④万博はカジノ建設のためのステルス(目隠し―私)
 あえて夢洲を会場にしたのは、そこがカジノを含む統合型リゾート(IR)の入口だから。

⑤万博会場への過酷な道のり
 夢洲への交通手段はシャトルバスと大阪メトロだが、いずれも交通渋滞、過密ダイヤが必至。

 そもそも大阪・関西万博は、「日本維新の会の創設者である橋下徹と前大阪府知事の松井一郎が発案し、安倍晋三政権の菅義偉官房長官とタッグを組んで進めてきた政策」(森功・ノンフィクション作家、「世界」11月号)です。

 「国威発揚・誇示」を図る政治的狙いと、「カジノに繋げる」経済的思惑が絡み、自民と「第2自民」(馬場伸幸代表)の維新、そして財界が一体となって、税金を湯水のように使い、ツケを市民に回す。それが大阪・関西万博です。一刻も早く中止・断念させる必要があります。
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