アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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ガザ市民の命奪う国連UNRWAへの資金停止

2024年02月08日 | 国家と戦争
   

 ガザ市民の死者数は2万7585人にのぼっています(7日現在)。その犠牲がさらに急増しようとしています。アメリカなどが国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA=アンルワ)への資金拠出を停止しているからです。

 UNRWAは1日、資金拠出停止が続けば、パレスチナ自治区ガザだけでなく中東での活動全体が2月末までに閉鎖に追い込まれるとの見通しを示しました。

 停止の理由は、UNRWAの複数の職員が10月のハマスによる襲撃に関与していたという疑惑です。これ自体は重大で、国連のグテーレス事務総長は5日、UNRWAの中立性を検証する独立調査団を立ち上げ、3月下旬に中間報告、4月末に最終報告書を公表する予定と発表しました。

 疑惑は究明される必要があります。しかし、それと、UNRWAへの資金拠出停止は別問題です。

 UNRWAへの資金拠出を停止しているのは、拠出1位のアメリカ(3億4393万㌦)はじめ上位10カ国中6カ国(写真左の赤枠黄色)など18カ国。注視しなければならないのは、この中に拠出6位の日本(3015万㌦)が入っていることです(6日のNHK国際報道2024)。

 拠出5位のノルウェーは停止に反対しています。同国のアイデ外相は、「UNRWAはガザの人たちの命綱だ。活動が滞ればガザの悲惨な人道危機がさらに悪化する」とし、「世界はUNRWAを支持する必要がある」と訴えています(同)。

 今回の資金停止はたんに職員疑惑に対する制裁ではなく、イスラエルが一貫してUNRWAを敵視してきた背景があります。

 錦田愛子・慶応大教授(中東政治・難民研究)は、「疑惑を持たれたUNRWAの職員らが、国連機関職員の立場を利用して情報収集をしたり、攻撃を手引きしたりするなどしていたとすれば、大問題だ」とした上で、こう指摘します。

「ただ、資金拠出を止めた国々の反応を見ると、ハマスやイスラム世界への嫌悪を感じる。
 ガザでの人道支援は、UNRWAが一手に担ってきたのが現実だ。その活動を止めることは、ガザの人たちに「死ね」と言っているのに等しい。各国の選択が、市民の命に直結する
 イスラエルがかねて、UNRWAを強く批判してきたのは、パレスチナ難民という存在が彼らにとってやっかいだからだ
 「難民」には、もともといた場所に戻りたい、戻るべき人たちという意味がある。しかしユダヤ人国家を掲げるイスラエルは、自国の領内にパレスチナ人が帰ってこられては困る。彼らを難民として支援する国連機関は、友好的な関係を築ける相手ではないのだろう」(3日付朝日新聞デジタル)

 すでに2万7千人を超えるガザ市民が殺戮され、さらに犠牲が拡大しようとしている現実に対し、私たちは何ができるか、何をすべきなのか。

 日本政府は、イスラエルのアパルトヘイトを支持するアメリカへの追随をやめ、UNRWAへの資金拠出を直ちに再開すべきだ、という声を上げていく必要があります。日本の選択が、ガザ・中東市民の命に直結するのです。

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