☆「同居孤独死」
4月13日のNHKクローズアップ現代+で、「同居孤独死」について報じた。
「同居孤独死」とは、家族と同居していながら誰にも看取られず在宅で死亡し、しばらく発見されないことをいう。NHKの調べでは、2020年の1年間に全国で少なくとも28件あった。80代の親と50代の子の同居のケースが多いという。
70代の父親と40代の息子のケース。両親と姉の4人家族だったが、息子が中2のとき両親が離婚。父親は一人暮らしをしていたが、8年前、脳の病気で倒れ、独身の息子が同居することになった。姉は結婚して遠隔地に家庭がある。
当初、息子は父親のために食事を作るなど親身に世話をした。が、やがてすれ違いが目立つようになり、3LDKのアパートで部屋を分けて暮らし、顔を合わせなくなった。
昨年2月、父親は自室で持病のため死亡。息子が悪臭でそれに気づいたのは2カ月後だった。気付いてからも4カ月放置した。ドラグストアの店長をしていた息子は、コロナ禍のマスク騒動で、時間的にも精神的にもギリギリの生活だった。「(父親の死を)考えないようにしていた。シャットダウンしていた」
自殺を決意した息子は、姉に「ごめんなさい」と電話した。姉の警察への通報で自殺に至る前に発見された。
ゲストの作家・重松清氏は言った。「家族は大切だけど、万能ではない」
☆「縁食」というつながり
4月16日、NHKラウンドちゅうごく(中国地域ローカル)は、「子ども食堂 やっぱり一緒に食べたい」を放送した。
子ども食堂は増えており、中国5県で現在297カ所ある。コロナ禍で開けない所もあるが、開けるところでは大きな役割を果たしている。「ステイホーム」は、女性の、とりわけシングルマザーの負担を限りなく大きくしているからだ。
広島市内で久しぶりに開かれた子ども食堂。幼い子ども2人を抱えるAさんと、長男に笑顔が戻った。子ども食堂には、安価(子どもは無料)で美味しい食事だけでなく、スタッフとの交流、子ども同士の交友があるからだ(写真)。
鳥取県の子ども食堂の利用者は子ども連れの親子だけではない。高齢者も集う「地域食堂」になっている。母親を介護しているBさん(男性)にとっても生活に欠かせない場所だ。「ここにくると自然と言葉が出る。小さなおせっかいもいい」とBさん。
コメンテーターの藤原辰史京大准教授は、「子ども食堂は「縁食(えんしょく)」の場だ」と言う。「縁食」とは、「孤食」と「共食」の中間に位置する藤原氏の造語だ。「孤食」のように孤立していないが、家族や仲間内の「共食」のような親密な関係でもない。
「そこには家族以外の人とつながる、開かれた可能性がある。愛情は「家族」の特権ではない」(藤原氏)
「家族」とは何だろう。人にとって何だろう。「家族」の概念、社会・国家によってつくられてきた固定概念を、問い直す必要があるのではないだろうか。