アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

日曜日記146・「同居孤独死」と「縁食」

2021年05月02日 | 日記・エッセイ・コラム

☆「同居孤独死」

 4月13日のNHKクローズアップ現代+で、「同居孤独死」について報じた。

 「同居孤独死」とは、家族と同居していながら誰にも看取られず在宅で死亡し、しばらく発見されないことをいう。NHKの調べでは、2020年の1年間に全国で少なくとも28件あった。80代の親と50代の子の同居のケースが多いという。

 70代の父親と40代の息子のケース。両親と姉の4人家族だったが、息子が中2のとき両親が離婚。父親は一人暮らしをしていたが、8年前、脳の病気で倒れ、独身の息子が同居することになった。姉は結婚して遠隔地に家庭がある。
 当初、息子は父親のために食事を作るなど親身に世話をした。が、やがてすれ違いが目立つようになり、3LDKのアパートで部屋を分けて暮らし、顔を合わせなくなった。

 昨年2月、父親は自室で持病のため死亡。息子が悪臭でそれに気づいたのは2カ月後だった。気付いてからも4カ月放置した。ドラグストアの店長をしていた息子は、コロナ禍のマスク騒動で、時間的にも精神的にもギリギリの生活だった。「(父親の死を)考えないようにしていた。シャットダウンしていた」
 自殺を決意した息子は、姉に「ごめんなさい」と電話した。姉の警察への通報で自殺に至る前に発見された。

 ゲストの作家・重松清氏は言った。「家族は大切だけど、万能ではない」

☆「縁食」というつながり
 4月16日、NHKラウンドちゅうごく(中国地域ローカル)は、「子ども食堂 やっぱり一緒に食べたい」を放送した。
 子ども食堂は増えており、中国5県で現在297カ所ある。コロナ禍で開けない所もあるが、開けるところでは大きな役割を果たしている。「ステイホーム」は、女性の、とりわけシングルマザーの負担を限りなく大きくしているからだ。

 広島市内で久しぶりに開かれた子ども食堂。幼い子ども2人を抱えるAさんと、長男に笑顔が戻った。子ども食堂には、安価(子どもは無料)で美味しい食事だけでなく、スタッフとの交流、子ども同士の交友があるからだ(写真)。

 鳥取県の子ども食堂の利用者は子ども連れの親子だけではない。高齢者も集う「地域食堂」になっている。母親を介護しているBさん(男性)にとっても生活に欠かせない場所だ。「ここにくると自然と言葉が出る。小さなおせっかいもいい」とBさん。

 コメンテーターの藤原辰史京大准教授は、「子ども食堂は「縁食(えんしょく)」の場だ」と言う。「縁食」とは、「孤食」と「共食」の中間に位置する藤原氏の造語だ。「孤食」のように孤立していないが、家族や仲間内の「共食」のような親密な関係でもない。

「そこには家族以外の人とつながる、開かれた可能性がある。愛情は「家族」の特権ではない」(藤原氏)

 「家族」とは何だろう。人にとって何だろう。「家族」の概念、社会・国家によってつくられてきた固定概念を、問い直す必要があるのではないだろうか。


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