アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

衆院選公示・3つの疑問

2014年12月04日 | 政治・選挙

         

 3日公示された衆院選挙で、各党党首の第1声や政策から、疑問に思うことが3つあります。

 ①安倍首相「世界の真ん中で輝く国」とは?

 安倍首相は相馬市での第1声で、「日本を世界の真ん中で輝く国にすることを約束する」と絶叫しました。衆院を解散した日の自民党両院議員総会でも同じことを言いました。

 ドキッとしました。日本を「世界の真ん中で輝く国」にするとはどういう意味でしょうか。
 「戦後レジームからの脱却」が持論の安倍首相がこの言葉を口にするとき、それはたんなる比喩を超えた意味を持つと思います。それはまさに日本を「世界の中心」に置きたいという大国主義の表れであり、集団的自衛権行使、さらに「自主憲法制定」と同一線上のものではないでしょうか。
 私は、戦前日本帝国主義が近隣諸国を侵略したときの「合言葉」、「八紘一宇」(世界を一つに)を想起しました。

 しかし、これは安倍氏の持論であり、彼がそれを叫ぶことはある意味では不思議ではありません。疑問なのは、安倍氏のこの発言が、まったく問題にされていないことです。
 「安倍流大国主義」が当たり前のように流布される風潮・世相。それでいいのでしょうか。

 ②共産党と社民党はなぜ「群馬5区」で共闘しないのか?

 群馬5区は、あの小渕優子氏が臆面もなく自民党公認で立候補している選挙区です。その選挙区でほかに立候補しているのは、共産党と社民党の新人2人です。
 候補者も立てられない民主党の体たらくはおくとして、共産党と社民党はどうして共闘して候補者を絞り、小渕氏を落とそうとしないのでしょうか。

 もちろん、保守地盤の強固な同地域で、共産党と社民党が共闘したからといって、勝利するのは至難の業です。しかし、自民党の金権体質を問うのが今度の選挙の1つの重要な争点であり、群馬5区はその象徴的な選挙区になっているのです。
 ここで共産党と社民党が「自民党の金権体質を許さない」という「一点」で結束して有権者に訴えることができれば、同選挙区にとどまらない大きな意味を持ちます。

 沖縄では共産党、社民党は「オール沖縄」として「保守」を含めた共闘を組みました。両党には安全保障や憲法など、他の党とは比較にならないほど政策的な共通点・類似点があります。「オール〇〇」の前に、まず両党が「小異を捨てて大同につく」共闘を各地で広げていくことが、これからの「革新」陣営にとって必要なのではないでしょうか。

 ③なぜ「軍事費」を聖域化するのか?

 「アベノミクス」や「消費税引き上げ」で問われているのは、結局、国の財政の在り方です。そんな中、「財源がない」と異口同音に言いながら、1機数百億円の戦闘機、総額5兆円にのぼる防衛予算=軍事費がまったく手つかずで聖域化されていることは、きわめて不思議で、重大な問題です。
 なぜ「軍事費の大幅な削減」が財源対策として強調されないのでしょうか。

 自民党などにそれを期待することはもちろんできません。問題は共産党です。同党は70年代から80年代にかけて、「軍事費を削って福祉・教育に」と大々的に主張しました。しかし今回の「総選挙政策」では、財源対策として「富裕層や大企業優遇を改める」ことは強調されていますが、軍事費については、「大型公共事業、軍事費、原発推進予算、政党助成金など、歳出削減にメスをいれます」と、1個所、他の経費と横並びで触れられているだけで、見出しにも立てていません。もっともっと強調すべきではないでしょうか。

 「軍事費聖域化」は、「日米安保・軍事同盟タブー」と表裏一体です。集団的自衛権行使も、沖縄の新基地建設も、そして財政・経済の悪化も、その根源はここにあります。
 この聖域化、タブーにメスを入れることこそ、今回の総選挙の中心争点だと考えます。


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