鏑木連「残心」読み終わりました。
なんとも深い内容でした。
最近よく取り上げられる「老老介護」
それの
先行きの見えない中
日々生きて行かなきゃいけないその心情
それはきっと経験した人にしかわからないのだろう。
老老介護をする家庭に
訪問診療をするに医師の紹介で
ルポライターの杉作は取材させてもらうことになる。
そして
2度目の訪問の時・・
無理心中の現場に遭遇していまう
しかし!
杉作を尊敬していた地元情報誌の記者「国吉冬美」は
その現場で
その綻びを発見してしまう
妻の世話をし
自分も年老い
そして
その住まいも取り壊しが決まり
次の行き先も決まらない。。
そんな八方ふさがりの状態
そんな孝造の心情を
杉作は慮る。
老人を死に追いやった絶望
そして
国の制度までを糾弾する。
その現場の第一発見者として
そして
取材をし、その死をむだにしないために
メディアへ出て語る杉作
でも・・
何かが違う。。
杉作の取材の手伝いをすることになった冬美は
一度見たら忘れない右脳記憶という特技を持つ
それを使ってスケッチする。
その現場になくてはならないもの・・
その存在を追ううちに
違和感を持つようになる。
遺書もなく
心中と決めつける決定的なものはない。
孝造が残したメッセージ・・
それを冬美は
見つけていく
妻よりも1日でも長く生きたい
それは
妻の寝巻の帯から出てくる白い粉
本当の正義とは何か?
他人からは
どう見ても不幸
早く楽にしてあげた方が・・
そう思えることもあるだろう。
でも
本当のことは
その本人にしかわからない。
それを私たちは忘れてはいけないんじゃないだろうか。
自分の勝手な価値観
そんなもので推し量ってはいけないものが
この世の中にはたくさんあるってことを。
自分にもいつか迫ってくる問題
そして誰にでもかかわってくる「老い」
それとどう向き合っていくか
それを深く考えさせられた作品でした