つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

2022年10月20日 | 佐橋美術店の展示・展覧会
自宅の小さな庭に金木犀の木があります。

東京から名古屋に嫁いで、この秋ちょうど34年を過ごしたことになりますが

不思議なことに、この金木犀の花が開くことに気付いたり、気づかなかったりの秋を私は過ごして参りました。

勿論、花は毎年きちんと咲いてくれています。




去年は主人の入院があって金木犀の香りを感じる余裕もありませんでした。





おかげさまで、あれから一年が経ちましたが、私たちの現在にそれほどの余裕が生まれたわけではありません。

けれど、今年は金木犀の香りを深く味わっている自分がいます。


一昨日、大阪にお住まいのお客様からお電話をいただきました。杉山寧展のご案内が届いたとことをお知らせくださいました。


このお客様も今闘病中でいらして、残念ながら視力に影響が出ていらっしゃるので、お好きな美術品鑑賞もお出来にならない状態でいらっしゃいます。

以前の店に一度だけご来店いただき、お会いしただけですが、大変お優しく、謙虚でいらして、また美術品に対する感性が鋭くていらして、私は自分のブログを通してこの方とお会いできたことを何よりの誇りとして参りました。

ご体調もお気持ちも大変お辛くていらっしゃるでしょうに、今回も変わらぬお優しい声とお心遣い溢れるお話ぶりに、佐橋も私も大変癒され、清々しい気持ちにさせていただきました。






画像は山種美術館さんのカレンダーの中の一枚。小林古径の静物です。

画集以外は絵画の印刷物をあまり見ないようにしていますが、カレンダーを捲ってから、この一枚はずっとテーブルの上に置いて眺めています。

古径はセザンヌの画集をよく見ていたと聞いていますが、本当に、古径は日本のセザンヌだなぁと感じられます。

そして、私はこの仕事を通し、また自分の人生を通し、近づきたいと思うのはこの清々しい境地であるなぁとしみじみと感じます。

しずかで深い諦観。孤高と言ってもいいかもしれません。

そして、ささやかな希望。いのちのリズム。よろこび。










杉山寧小品展を開かせていただくこの秋には、10年前に同展覧会を開かせていただいた時とは少し違う私たち、佐橋美術店があります。それは、今まで出会った作品達、その時その時当店を支えてくださったお客さまがたが、形作ってくださった場所です。

そして、今、この位置から見える杉山寧の作品を、あらためて皆様にご紹介できたらと思っています。

杉山作品にご興味のないお客様もどうぞご自身の美意識にお心を休め、しばらく杉山作品のご紹介にお付き合いくだされば幸いに存じます。


今朝も寒くなりました。

これからは、散る金木犀の花の掃き掃除をしばらくしなくてはいけません。

咲いた花に気づき、香りを十分楽しめた後であれば、それもまた気持ちよく行えることです。



























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1 コメント

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Unknown (KY)
2022-10-20 16:01:09
杉山の林檎
手前のりんごは角張っていて必ずしも形は良くないですが
同じような形のものが二つあってもおもしろくない
この方がリズム感があっていいと思います
色については緑と赤が非常に良く こんないい色をよく出せましたね 絵のサイズもやや小振りで居間などに架けて
朝な夕なに眺めるには大変贅沢な佳い作品と思いました
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