あを雲の涯

「 二、二六事件て何や 」
親友・長野が問う
「 世直しや 」
私はそう答えた

軍務局長室 (6) 池田純久中佐 「 局長室が だいじ(大事) だ 」

2018年05月11日 08時31分10秒 | 相澤中佐事件 ( 永田軍務局長刺殺事件 )

聴取書
陸軍省軍務局 軍事課 課員
陸軍歩兵中佐  池田純久
本月十二日 永田軍務局長が遭難した時の状況を申上げますと、
同日午前九時四十分頃 私共の居ります課員室の隣室から憲兵将校が来まして、
局長室が大変だと云ふ様な意味の事を大声で云ひましたから、私は火事だと直感しましたが、
その将校を能く見ると左腕の服が破れて下の白いシャツが赤く染まって居りました。
二、三歩 接近すると夫れが出血であることが判明しましたから、
局長室に傷害事件が起ったものと思ひ、局の各室を通過して局長室に行きました処
既に四、五名が血に染まって倒れて居る局長の周囲に立って居りました。
其内引続き多勢参りました。
私は局長室には一分間も居らぬ位で、大臣や次官の安否、新聞記事、犯人のことなどが頭に浮かんだので、
直ちに自室に引返し右の事柄に付 色々指図しました。
私が最初局長室に行った際、兵務課長や軍事課長は何処に居られたのか記憶しませぬ。
本日 金子伊八 属を取調べた際、
同人は局長室、局長室と云ふ呼声を聞き 直ちに外廊下に出た処、
左方に身体の大きい将校が出て行くのを見受けた瞬間、局長室の方から山田兵務課長が此方だ、
此方だと云うて居るのを聞き 直ちに局長室に行ったさうであります。
同人は局長室に駈付けた第一番の者ださうであります。

軍務局長の事務用机上の取片は誰がしたのか。
軍事課の庶務将校ではないかと思ひます。
庶務将校は牧達夫大尉であります。
牧大尉が取片付けないないならば花本敏彦大尉が取片付けたものであらうと思ひます。
・・・昭和十年八月十四日

現代史資料23
国家主義運動3