Silver linings

カリフォルニアで子育てとか仕事とか。

『ベロニカは死ぬことにした』を読みました

2013-10-17 21:13:13 | 本/心に残ったコトバ
読書の秋なので、さっそく読み終わった本の話。

Veronika Decides to Die
By Paulo Coelho

『ベロニカは死ぬことにした』
パウロ・コエーリョ作


「生きる」ことに意力を見出せなくなった 24歳の女性ベロニカ。
若く、美しく、仕事もあり、愛してくれる家族もいた彼女は、何の変哲もない日々の繰り返しに疲れ、睡眠薬の多量摂取による自殺を図る。その自殺は彼女が積極的に選んだ道であったが、幸か不幸か一命を取り留めたベロニカ。目が覚めたとき彼女は精神病院に収容されていた。そこで、余命5日間だと告げられる。


読んだのは英語だったけれどとても平易な表現ばかりなのと(でも日本語版の表紙のほうが好き)、
のっけからすごく引き込まれてしまってあっという間に読了。

自ら積極的に望んだ「死」だったのに、自殺の失敗により状況は一転、今度は受動的に死を待つ身となってしまった瞬間から、ベロニカの心の中でさまざまな変化が起こる。

生きること、自分らしさ、狂気、愛、性など、いろいろなテーマを扱っている小説だと思ったけれど、一番好きなのは、自分らしく生きるとはどういうことかと哲学的にも日常的にも考えさせてくれたところ。

例えばベロニカのこんなセリフ。
なんだか私ティーンネイジャーのように感動してしまった。

「顔に雨を感じたいし、魅力的だと思う男性に笑いかけて、気軽にコーヒーをごちそうになってみたい。」
I want to feel the rain on my face, to smile at any man I feel attracted to, to accept all the coffees men might buy for me.

「ジャケットも着ないで外に出て、雪の中を歩いてみたい。極端に寒いってどういうことなのか感じてみたい。今までは風邪をひくのがこわくてたくさん着込んでたから。」
I want to go out without a jacket and walk in the snow, I want to find out what extreme cold feels like, I, who was always so well wrapped up. so afraid of catching a cold.

「母親に愛してると伝えたい。その膝でこどもみたいに泣いてみたい。感情を見せることが恥ずかしいだなんて思いたくないの。隠そうとしてたけど、ずっとそこにあったものだから。」
I want to kiss my mother, tell her I love her, weep in her lap, unashamed of showing my feelings, because they were always there even though I hid them.

「教会へ行って、今までなんにも感じなかった絵やフレスコ画をじっと見入ってみたい。今ならなにか感じるかもしれない。もし素敵な人がクラブへ誘ってくれたら行ってみるわ、そして果てるまで踊り続けるの。」
I might go into a church and look at those images that never meant anything to me and see if they say something to me now. If an interesting man invites me out to a club, I'll accept, and I'll dance all night until I drop.

「わたしは自分自身を、一人の男に、一つの街に、ひとつの人生に、そして最後には、死に捧げたいの。」
I want to give myself to one man, to the city, to life and, finally, to death.

(この日本語訳は私流ね。)

たくさんの、ベロニカの "I want to ..."
死を意識することで生きたいと望むようになった彼女から出たこの言葉たちだけれど、生きることを許されている私達でさえ、こんなふうには生きていないよね。じゃあ私のこの日々はなんなんだろうと考えさせられました。

毎日を自分のコンフォートゾーンのなかで生きている人達に、そして歳をとるごとにそのゾーンからはみ出ることが怖くなってしまっている人達に、ぜひオススメな本です。

I want to feel the rain on my face.
ふふふ、何歳になっても無邪気にそんなこと言ってみたい。

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