計算気象予報士の「こんなの解けるかーっ!?」

「ローカル気象」の様々な問題に「数値シミュレーション」と「数理ファイナンス」の視点からアプローチ・備忘録

梅雨前線の構造

2018年06月16日 | お天気の基礎知識

 中学生の頃、梅雨前線は「太平洋高気圧からの暖かく湿った空気オホーツク海高気圧からの相対的に冷たく乾いた空気がぶつかり合ってできる」と学びました。当時は何も考えずに「そんなものか」と受け止めていました(実は当時、天気には全く興味がなかった・・・と言うのも一つの要因です)。


 それから時が流れ、天気図を見るようになってからというもの「それにしては、随分と西側に延びているな・・・」と疑問に感じてました。

 その後、様々な学びの機会を経て、梅雨前線は「太平洋高気圧~モンスーン気団からの暖かく湿った空気オホーツク海高気圧や大陸気団からの相対的に冷たく乾いた空気がぶつかり合ってできる」と理解するに至りました。これなら、梅雨前線が西側に延びることも理解できます。

※モンスーン気団は太平洋高気圧に西側に位置します(但し、この図では省略しています)


 さて、南から流れ込む「暖かく湿った空気」と北から流れ込む「冷たく乾いた空気」がぶつかる領域(収束域)では上昇気流となります。すると、その上空では雲が形成され、湿舌が現れます。また、梅雨前線の南側では大量の水蒸気が流れ込むため、発達した積乱雲が発生しやすい状況となります。

 つまり、集中豪雨は湿舌の南縁で起こりやすくなります。この構造を模式的に描いてみます。


 南から流れ込む「暖かく湿った空気」と北から流れ込む「冷たく乾いた空気」は100~200kmの幅を持つ領域でぶつかり合います。この領域を梅雨前線帯と呼び、上昇気流の場となっています。地上天気図における梅雨前線の記号は、梅雨前線帯の北端付近に沿って表記されます。

 一方、集中豪雨を引き起こす水蒸気の大半は、高度約1km以下の低い層の中に蓄えられています。南から流れ込む湿った空気が梅雨前線帯の上に乗り上げる際、梅雨前線帯の南端付近では積乱雲が発達します。これが集中豪雨につながりやすい要因です。

 また、梅雨前線帯の上空3km付近には湿った空気が広がります。この湿った領域は、梅雨前線帯に沿って舌状の形をしていることから「湿舌」と呼ばれています。これは、梅雨前線帯の対流活動の結果として、下層(1km以下)の水蒸気が上空(3km付近)まで運ばれたものです。

 湿舌については「湿舌と梅雨前線」で詳しく述べておりますが、水蒸気のイメージを描くと次の図のようになります。


 梅雨前線帯の南側から、南風に乗って水蒸気が運ばれてきます。この水蒸気はこのまま上昇流に乗って、さらに上空へと輸送されます。これに伴って、積乱雲が形成され、発達します。

 さらに下層から熱や水蒸気が持続的に供給されるため、積乱雲はどんどん発達します。また、上空に昇った水蒸気は、上空の西風に乗って東側に広がります。


 これまで、梅雨前線の南側では「暖かく湿った空気」が流れ込むと述べてきました。

 実は、この「暖かく湿った空気」も大きく分けて2種類あります。それは、中国大陸上に起源をもつ「大陸性湿潤気塊」、東シナ海上に存在する「海洋性湿潤気塊」です。

 梅雨前線帯の形成に伴って、大陸性湿潤気塊が東シナ海西部に流れ込むと、もともと東シナ海上に広がる海洋性湿潤気塊との間でぶつかり合いを生じます。この両者の境界として現れるのが「水蒸気前線」です。

 陸上と海上では供給される水蒸気量は異なります。このため、海岸線沿いに水蒸気量の境界が生じるようです。


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