計算気象予報士の「こんなの解けるかーっ!?」

「山形県・新潟県の地域気象の数理モデルと情報システムの開発」及び「天候リスク分析」の視点からアプローチ等

台風10号が過ぎ去った後の雑感

2020年09月09日 | 気象情報の現場から
 先の台風の影響で被災された皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。

 ここ数日、SNS上では台風10号などの進路について海外の様々な予報、気象庁から発表される最新情報、その他の災害発生時に役立つ情報を紹介・解説する内容の書き込みを多く拝見しました。発信される方の多くは「純粋な善意」、それも「世のため人のために役立ちたい」と言う熱意を持っています。

 その一方で、これらの情報が「受け手の皆様にどのように伝わり、受け止められているのだろうか」と言う疑問も浮かびました。現在、気象情報の高度化は目覚ましい勢いで進んでいます。一つ一つの情報がとても素晴らしく、そして充実しています。また、専門的に踏み込んでいる情報も見られました。私自身、とても勉強になるものばかりです。

 しかしながら、危険な状態が迫っている中にあっては、多くの情報に目を通すような余裕はないと思われます。従って、情報の受け手の立場に立って整理する必要性も感じました。その観点から、様々な媒体を通じて「解説する」ことは大切です。

 そして、それだけに留まらず、「日頃から」気象に対して「興味を持ったり、好きになるためのきっかけ」を創ることも大切ではないかと感じました。例えば「天気図を理解できること」を「かっこいい」と思わせてくれる存在であったり、もしくは気象の「面白さ」や「楽しさ」や「情熱」を伝えると同時に、そのワクワク感を「共有」できることです。ただ、昨今はコロナ禍の影響もあり、何かと制約の多い状況にあるので難しい所です。

 続いて「予報業務」に目を向けてみると、これは一つの(自然現象に関する)「リスクマネジメント」と捉えることもできます。リスクマネジメントの分野では「将来時点で発生する不確定な事象やその影響」を「リスク」と言います。不確定性との折り合いを探るのは容易なことではありません。将来の様々な可能性や影響を分析した上で「(現時点で)想定されるリスクは何か、それをどこまで、どのような形で伝えるか」を「決断」する必要があります。

 例えば、台風の場合は「予報円の大きさ」と言う形でリスク(不確実性)が可視化されています。将来の話になればなるほど、予測の不確定性は増大します。仮に大まかな傾向が定まるとしても、ある程度の幅の中に多様な可能性が含まれています。また、この幅も対象時刻が先になるにつれて増大します。将来を予測するのは「かくも難しく、自ずと慎重かつ謙虚にならざるを得ない」と言うことなのでしょう。

 このような「背景」についても理解を広めていく、その前に「興味・関心を喚起する」ことが大切なのではないか、と感じている今日この頃です。
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海の波について(波浪・風浪・うねり・高波・高潮)

2020年09月03日 | お天気のあれこれ
 台風や低気圧の接近時は、海の波についても注意が必要となります。今回は「波浪」「風浪」「うねり」「高波」「高潮」について、ざっくりと整理します。

 海上で(台風や低気圧などに伴う)強風に煽られて尖った波が生まれます。この波を「風浪」と言います。その波は遠方に伝播するにつれて(ザブン…ザブン…と言った感じの)次第に丸みを帯びた波になります。このような波を「うねり」と言います。この「風浪」と「うねり」をひっくるめて「波浪」と言います。



 続いて「高波」とは文字通り「高い波」を言います。例えば、強風によって海面が高く押し上げられて(葛飾北斎の絵のような?)高い波を生じる場合です。なお、気象庁では「波浪注意報・警報の対象になる程度の高い波」と定義しています。

 また、低気圧や台風に伴う気圧降下で海面が高く吸い上げられたり、強風によって海水が海岸に吹き寄せられることで、海面の上昇が引き起こされます。これを「高潮」と言います。高潮は「海面が上昇する」点では津波と似ています(※津波は地震によって発生するので別物)。

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台風・熱帯低気圧の発生・発達と北上のプロセス

2020年09月01日 | お天気のあれこれ
 こちらのグラフは、台風の発生・接近・上陸数の月別の傾向を表しています。このグラフは、気象庁HPより「台風の平年値」を用いて作成しました。


「接近」は台風の中心が国内のいずれかの気象官署から300km以内に入った場合を指します。
「上陸」は台風の中心が北海道、本州、四国、九州の海岸線に達した場合を指します。

 このグラフによると、概ね7月~11月は台風の影響に注意が必要となる時期と言えます。特に8月~9月は上陸数のピークとなっており、一層の注意・警戒が必要な時期と言えるでしょう。しかし、これはあくまで「平年値」なので、年によってピークの時期が前後することもあります。

 この記事では、特定の台風についてではなく「一般的な」傾向を述べています。


 さて、台風や熱帯低気圧は(ざっくり言うと)熱帯(熱帯収束帯:ITCZ)の海上で雲が渦を描くように集まって形成されます。その際のプロセスを段階を追って解説します。


 熱帯付近の海上で、下層の暖かく湿った空気が、低気圧の渦を描きながら集まってきます。この渦は気圧傾度力・コリオリ力・遠心力で釣り合い同心円を描く風となり、海面摩擦により中心部に向かう収束となります。



 集まってきた空気は次第に上昇流を生じます。次から次へと空気が集まってくるので、行き場を失った空気は上方へ逃れようとするのです。そして、空気が上昇すると、今度はその中に含まれている水蒸気が凝結します。この相変化(凝結:気体→液体)の際に「潜熱」を放出します。



 この潜熱によって周囲の空気は加熱されるので、暖められた空気には「浮力」が発生します。この浮力に伴ってさらに上昇流を生じ、この空気に中に含まれている水蒸気が凝結します(以後、凝結→加熱→浮力→上昇→凝結…の繰り返し)。この過程で中心に現れる暖気核は台風発達に寄与する一方、周囲を巡る強風は摩擦で(下層の)収束を減じる効果を持っています。



 このような上昇を続け、やがて対流圏界面(上空の高度約10~11km)に達すと、それ以降は上方ではなく「水平」に広がります。下層での収束の際は反時計回りの流れとなりますが、上層での発散では時計回りの流れとなります。


 続いて、熱帯低気圧や台風がどのようなプロセスを経て北上するのか、について話題を進めていきましょう。


 低緯度の熱帯の海上で熱帯低気圧が形成されると、まずは「地球の自転に伴う効果」でゆっくりと北上します。この効果については、過去の記事「ベータ効果のイメージ」を参考にして下さい。

 そのままゆっくりと北上しながら、暖かい海面から熱エネルギーや水蒸気を持続的に補給されて、発達を続けます。やがて、中心付近の最大風速が約17.2m/s(34ノット)以上に達するようになると、「熱帯低気圧」から「台風」と呼ばれるようになります。これが「台風○号が発生した」と報じられます。

 中緯度まで北上すると、太平洋高気圧の縁辺の流れの影響を受けるようになります。北上のスピードも自転車に乗るような速度となります。台風が太平洋高気圧の縁辺流に乗って北上する一方、西から偏西風の波動が(主に「気圧の谷」として)近づいてきます。

 台風が高緯度に近づくと、次第に偏西風の流れに乗り換えます。偏西風の流れに乗り換えると進路は東向きに変わり、北上するスピードも増して自動車に乗るような速度となります。偏西風の影響を受けながら、台風の形は次第に崩れて行き、やがて温帯低気圧の形に姿を変えていきます。しかし、見た目の形は変わっても、もともと持っているエネルギーはそのままです。

 台風が温帯低気圧の形に変わったとしても、その破壊力・影響力が消滅するわけではありません。引き続き、注意・警戒が必要です。




 続いては、海面との関わりに着目してみます。熱帯低気圧や台風は、海面水温が26~27℃以上の暖かい海域で発生します。そして、海面から水蒸気と熱エネルギーの持続的に補給されつつ、発達しながら北上を続けます。

 やがて、高緯度地方に達すると海面水温は下がり、また自らが伴う強風と海面との摩擦によるエネルギーの損失も加わり、次第に衰弱します。その後は偏西風の影響を受けて、次第に温帯低気圧へと姿を変えて行きます。

 しかし、台風が温帯低気圧の形に変わったとしても、引き続き注意・警戒が必要なのは上述の通りです。
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角運動量保存の法則

2020年08月26日 | お天気のあれこれ
 いま、回転軸の周りを半径r[m]、角速度ω[rad/s]で円運動する質量m[kg]の質点を考えます。この時、質点mの速度v[m/s]はv=rωで表されます。


 ここで運動量は「(質量)×(速度)=mv=mrω」で定義されます。また、運動量が保存される「運動量保存の法則」も高校の物理でお馴染みと思います。主に直進運動を考える場合です。

 回転運動の場合は新たに、角運動量「(質量)×(半径)×(速度)=mrv=mrω2」という物理量を考えます。この角運動量が保存される「(角運動量)=(質量)×(半径)×(速度)=(一定)」というのが「角運動量保存の法則」です。

 この考え方を空気塊の回転に応用してみましょう。ここでは、円筒形の空気塊が回転している状況を考えます。

 まず、左側の状態では回転半径が大きく、ゆっくりと回転しています。この空気塊が、何らかの理由で生じた上昇流によって、鉛直方向に引き延ばられる状況を考えてみます。

 すると、右側のように細長くなってしまいます。つまり、容積は一定のまま、回転半径は小さくなります。先の「角運動量保存の法則」の考え方に基づけば、半径が小さくなる分、回転速度が増すことになります。

(※厳密には、空気塊の状態までを考慮した「渦位」という物理量があります。この「渦位」については、気が向いたらまたの機会に・・・)

 このメカニズムが働く現象にはどのようなものがあるのか、2つの例を紹介します。


 竜巻は「積乱雲に伴う活発な上昇流」によって発生するものです。この上昇流によって、空気塊は鉛直方向に引き延ばされることで、強い渦が形成されます。

 一方、つむじ風(塵旋風)は「地面が日射によって加熱されることで生じる上昇流」によって発生します。この上昇流によって、空気塊は鉛直方向に引き延ばされます。

 両者は一見すると形が似ていますが、上昇流の要因は異なります。
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半径方向に温度勾配を持つ回転二重円筒内の熱流動の解析

2020年08月25日 | 計算・局地気象分野
 8年前に「円筒座標系の熱流体方程式と熱ロスビー波」という記事を掲載しました。今回はこの記事の続報になります。前回は数値計算のプログラムをFortranで作成しましたが、今回はこのプログラムをC#に移植して数値実験を行いました。

 さて、傾圧不安定波を実験で再現する取り組みとしては、回転水槽を用いた研究が有名です。一般的な回転水槽のイメージを次の図に示します。


 これは(北極に見立てた)中心部を氷等で冷やす一方、(赤道に見立てた)外側から加熱された(中緯度地方に見立てた)回転二重円筒間の流れを観察するものです。この時、実験装置全体は一定の各速度で回転しています。半径方向の温度勾配や回転速度(角速度)に応じて、流れの様子が変化(波動の形成される様子)します。

 これに対して、私が開発している数値モデルのイメージは次の図のようなものです。


 半径方向に温度勾配を与えられながら、一定の回転角速度で回転し続ける二重円筒形状容器を考え、その内部に充填された試験流体(気体)の熱流動を考えます。

 ここで、作動流体を「水」ではなく「気体」としたのは、これまで局地風のような気流の数値シミュレーションを扱ってきたので、その延長上の取り組みであるためです。実は、閉鎖空間の中に充填させると考えた方がモデルを組みやすいのです。

 初期条件と境界条件は過去の記事と同様です。


 初期条件としては、内側半分の温度をTC、外側半分の温度をTHとし、速度分布は壁面上を0、半径方向の中心を極大とする放物状としました。また、境界条件としては、壁の両側では摩擦により速度は0とし、温度はTHまたはTCに等しいものとしました。

 数値シミュレーションに際して見るべき箇所は次の図のように4つの断面を設定しました。

 今回は、上層(Z=0.9Δr)と下層(Z=0.1Δr)の温度分布、および中層付近(Z=0.6Δr,Z=0.4Δr)の速度の鉛直成分を見ることにしました。

 それでは、数値シミュレーションの結果の一例を次の図に示します。



 左側は温度分布(赤・高温、青・低温)、右側は鉛直速度(赤・上昇流、青・下降流)です。また、上の段は上層側、下の段は下層側です。

 温度分布をみると、上層・下層共に3つの波動が形成されています。また、互いに位相がずれて様子が見られます。鉛直速度を見ると、温度分布で見られた波動に伴って上下に動く様子が現れています。上層と下層で上昇流と下降流が互いに逆転しつつ、その位置(位相)が互いにずれている様子も見られます。

 パラメータの条件を変えることで、色々な波動の様子やその鉛直構造を解析することができそうです。
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2020年07月27日~28日の山形県の大雨

2020年07月30日 | 山形県の局地気象
 この度の大雨の被害に遭われた皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
 今回の山形の大雨について、急ぎ思いつくままにまとめてみました。

(1)7月27日~28日の山形県内の48時間降水量


 朝日連峰付近に200~250mm以上の極大域が現れています。たった2日で、1か月分の降水量に迫るほどの雨となりました。

(2)7月27日~28日の気圧配置等の特徴


 東北地方に梅雨前線が居座りました。南側では太平洋高気圧が顕著となる一方、北側では偏西風の蛇行に伴ってオホーツク海高気圧も顕著となりました。このため、前線の位置が一時的に固定されるような形となりました。

 東北地方で前線が折れ曲り(キンク)が現れました。このような所では「前線上の低気圧」に発達することもあります。さらに、そこから南に佐渡島2~3個の辺り(対流が最も活発になりやすい領域)が、ちょうど山形県に重なったようです。

 ちなみに、南からの「暖かく湿った空気」と北からの「冷たく乾いた空気」は約100~200kmの幅を持つ「梅雨前線帯」でぶつかり合います。天気図における梅雨前線の記号は、梅雨前線帯の北端付近に沿って表記される一方、南端付近では積乱雲が発達し、集中豪雨につながりやすくなります。(梅雨前線の構造

 そこで、佐渡島の長さを約60kmとすると、約2~3個分が梅雨前線帯の幅の目安となります。(梅雨前線からの距離と天気の傾向


(3)朝日連峰の地形に伴う影響


 南西からやってきた暖かく湿った空気は、大量の水蒸気(後述)を伴って朝日連峰に流れこむ形となりました。この結果、朝日連峰の地形(斜面)に沿って強制的な上昇流となる効果も加わり、対流がより強化された可能性も考えられます。

 朝日連峰付近の地形の影響もあって、朝日連峰の辺りを中心に降水量の極大域となったと推察されます。


(4)上空の水蒸気の変化

 東日本・北日本の高層気象観測地点は次の通りです。今回は、この中で秋田・輪島の観測データを分析に使用します。


(図中・黄緑色の領域は山形県、灰色破線は東経140°線)


(4-a)秋田の上空

 このグラフは「水蒸気の鉛直分布と降水量」と同じ形式です。相当温位・相対湿度・比湿ともに平年よりも高い水準にありました。特に28日9時の4000~8000mの相対湿度・比湿が非常に高く、1500m付近の相当温位も339Kと高くなりました。

(4-b)輪島の上空

 こちらのグラフも「水蒸気の鉛直分布と降水量」と同じ形式です。3000m以下の層の相当温位が339~343Kと高い水準を維持していました。また、相対湿度は27日は2000~4000mの層で100%となる一方、翌日も上空3000m以下の層で90~100%と非常に高い水準を維持していました。全体的に比湿も平年より5g/kg近く高い水準となっておりました。

 このように暖かく湿った空気の流入により、上空の水蒸気量の増加が顕著となった様子がグラフに現れています。
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今年の梅雨の特徴として感じる事

2020年07月26日 | 気象情報の現場から
 今年の長引く梅雨の特徴について色々な解説を拝見し、また実際にデータも見ながら考察してみました。通常の梅雨と今年の梅雨の特徴を図にまとめてみると、以下のようになります。





 この図を比較すると、大きく分けて3つの特徴があるように感じています。

(1)インド洋の海面水温が平年より高い

 インド洋の海面水温が平年より高くなると、この付近で対流活動が活発になります。この影響で、フィリピン付近の対流活動が弱まり、日本付近への太平洋高気圧の張り出しも弱まります。インド洋で対流活動が活発になると、この付近で生じた上昇流は、フィリピン付近で下降流となります。

 一方、フィリピン付近はもともと対流活動が活発で上昇流が生じやすい地域です。従って、インド洋からやってきた下降流と、フィリピン付近のもともとの上昇流が互いに弱めあう形となり、フィリピン付近の対流は弱まります。

 通常であれば、フィリピン付近の上昇流は日本付近で下降流となり、太平洋高気圧の張り出しをアシストします。しかし、今年はこのアシストの効果が弱められました。この結果、太平洋高気圧がなかなか張り出して来ず、梅雨が長引いているようです。


(2)日本の北側の上空を流れる偏西風が、朝鮮半島付近で南側に蛇行した

 偏西風が南下すると、これに対応する前線も南下します。このため、梅雨前線が北上しにくい状態にあったことが考えられます。また、蛇行が顕著となりブロッキング現象を生じると、同じような気圧配置が長続きます。


(3)黄海付近の海面水温が平年より低い

 海面水温が低いと言うことは「その付近では気圧が高くなりやすい」と見ることもできます。天気図を見て数えたところ、「高気圧」として描くほどの顕著なものではなかったようです。しかし、海面上のごく限られた高さの範囲で「高気圧もどき」となり、前線付近よりも気圧が高い状態が続いていたとすれば、梅雨前線の北上に抑止に寄与した可能性も考えられます。
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今年の梅雨前線はしつこい?

2020年07月24日 | 気象情報の現場から
 今年は梅雨前線がしつこい…と感じている今日この頃です。そこで、6月下旬~7月中旬(6月21日~7月20日)の地上天気図を基に、西日本付近で「東西に延びる前線」が現れた回数を調べてみました。


 今回は、西日本付近の範囲を地図中の赤破線枠(30~35°N、120~140°E)としました。2011~2020年の各6月21日~7月20日の地上天気図(9時)を見て、この範囲に「東西に延びる前線」が解析された回数を只管数えました。

 なお、このような判定には、微妙なケースでどうしても主観が入るものですが、おおよその傾向は掴むことを向き的としています。


 集計結果をまとめたのが棒グラフです。ざっと見て、概ね10~15回の年が多いのですが、2016年は20回、2020年は21回でした。対象範囲における前線の出現頻度は高い傾向が見られました。その意味では確かに「今年の梅雨前線はしつこい」ようですね。
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上越の寝苦しい夜

2020年07月21日 | 気象情報の現場から
 今朝(2020年07月21日の朝)のFMラジオを聴いていた所「上越では蒸し暑く寝苦しい夜だった」と言う話題が出ていたので取り急ぎ、観測データを調べてみました。

 まずは、上越の代表地点として高田の7月の「平均的な時系列傾向」を調べました。
 2009年~2019年の7月の観測値(高田)を基に時別の平均値を求めて、平均的な時系列の傾向を調べてみました。まずは、気温・相対湿度・風向・風速の変化をグラフに表してみました。
(※いわゆる「平年値」ではないことを御注意下さい)

※ここでは最多風向を角度で表示しています。
 時計回りに東(90°)→南(180°)→西(270°)→北(360°)の順です。

 気温は「朝晩は低く、昼間は高い」パターンではありますが、それでも概ね25℃以上と暑い状態が続く傾向が見られます。また、相対湿度は「朝晩が高く、昼間が低い」パターンとなっています。それでも、75%以上と高い水準を維持しており、気温条件も考慮すると蒸し暑い状態が続きやすいことが判ります。

 平均風速を見ると「朝晩は風が弱く、昼間は風が吹きやすい」パターンが表れています。最多風向を見ると「朝晩は南風、昼間はほぼ北風」となっており、昼間は海からの風が入りやすい様子が見て取れます。

 続いて、06時,12時,18時,24時の風向の出現比率を風配図上に重ねて表示しました。


 この結果からも、夜間(06時と24時)は南寄りの風、昼間(12時と18時)は北寄りの風の傾向が明瞭で、海陸風の影響が表れています。


 平均的な傾向を把握した所で、今年の7月(2020年7月)のこれまでの推移に目を向けてみます。次の図は、7月1日から20日までの日々の最高気温・最低気温・平均湿度・最小湿度です。


 今年の7月は(20日までは)最低気温が20℃前後の日が多く、最高気温が25℃以上となっていました。上記の「平均的な時系列傾向」に比べると、最低気温が低めで推移していたことが判ります。一方、相対湿度は「平均的な時系列傾向」と大きく異なる傾向はみられませんでした。

 ここまでを踏まえて、7月20日18時~7月21日6時の最高気温・最低気温・風向・風速の変化を見てみましょう。


 20日の23時~24時に24℃台、また21日1時23分に最低気温24.0℃を観測しました。今年の7月の中では高い値ですが、上記の「平均的な時系列傾向」ではこの位が通常の水準です。夜間は概ね南風が弱く、早朝になって風が少し強くなりました。

 この間、上空では南西~西寄りの風に乗って(真夏のような)暖かい空気が持続的に流れ込んでいました。雲も広がっていたので放射冷却の効果は表れにくく、(涼しい)海風も入らないので、暖かい空気が停留しやすい状態が続いたようです。

 また、今年の7月は最低気温が(平均的な水準よりも)低めで推移していたことから、ことさら夜間の気温の高さが身に堪えたとしても不思議ではありません。ちなみにフェーン現象に伴う昇温は、これまでの経験上、上空の風が「南西~西寄り」の風よりも「南~南東寄り」の風の場合の方が顕著なようです。
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7月上半期の日照と降水量の傾向(山形・新潟)

2020年07月20日 | 気象情報の現場から
 7月も下旬に差し掛かりましたが、なかなか梅雨明けの兆しが見えてきません。

 今回は、7月上半期(1~15日)の日照時間と降水量について、今年(2020年)と平年値で比較してみました。まずは山形県の場合です。


 日照時間は平年よりも少ない傾向にありました。雲の多い空模様が続いたことを示唆しています。続いて降水量を見てみましょう。


 降水量は平年よりも多い傾向にありました。平年よりも晴れ間が少なく、曇りや雨の日が多かったようです。

 次は新潟県の場合です。


 山形県の場合と同じく、日照時間は平年よりも少ない傾向にありました。雲の多い空模様が続いたことを示唆しています。続いて降水量を見てみましょう。


 やはり、降水量は平年よりも多い傾向にありました。こちらも平年より晴れ間が少なく、曇りや雨の日が多かったようです。

 次のグラフは、福岡の7月の500hPa面高度(気圧が500hPaとなる高さ)の日別(9時観測)の推移を示したものです。500hPa面の高さで「5880m」が太平洋高気圧の目安として用いられます。


 平年値(1989-2010)と直近9年(2011-2019)の平均傾向を見ると、5820mから5880m近くまで次第に上昇しています。これに対して、今年(2020)は高度が低めで推移している様子が見られます。太平洋高気圧の勢力が弱い(=なかなか北に張り出して来ない)様子が見て取れます。

 もちろん、太平洋高気圧の動向だけで全てを説明できるわけではありませんが、背景の一つとして挙げることはできるでしょう。

 梅雨末期はまだ続きます。引き続き、大雨等に対する注意・警戒が必要です(それにしても、長いな・・・)。
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エマグラムの描画プログラムを作成

2020年07月18日 | 気象情報の現場から
 大気の安定・不安定を把握する上で、鉛直方向の温度分布を知ることは重要です。そこで、気象分野で用いられるエマグラム(断熱線図)を自動描画してくれるプログラムをC#で作成しました。下記はその描画の一例です。


橙・細線:乾燥断熱線
水・細線:湿潤断熱線
緑・細線:等飽和混合比線

黒・太線:気温の鉛直分布
青・太線:露点温度の鉛直分布
赤・太線:空気塊を断熱的に持ち上げた場合の温度分布

 この図を見れば、気温と露点温度の鉛直分布が一目で判ります。さらに、LCL(持ち上げ凝結高度)、LFC(自由対流高度)、LNB(中立浮力高度)を自動的に判定して、図中に目印をつけてくれます。引き続き、様々な事例を試しながら、プログラムの改良を図っていきます。
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水蒸気の鉛直分布と降水量

2020年07月11日 | 気象情報の現場から
 この度の豪雨災害に遭われた方々に、心よりお見舞いを申し上げます。
 未だ続く「令和2年7月豪雨」の状況の推移に対して、注視して行かなければなりません。

 今回は、気象庁HPの「過去の気象データ検索(高層)」で公開されている2020年7月5日~8日の福岡の高層気象観測データを基に分析を試みました。

 この期間の大雨の要因としては、既に「梅雨前線帯に発生した線状降水帯」のメカニズムが指摘されています。そこで、福岡の上空における「水蒸気の鉛直分布」の変化に注目して、相当温位・湿度・比湿の鉛直分布、および降水量の推移を分析しました。

 ここで、相当温位とは「水蒸気の凝結潜熱も考慮した温位」のことです。また、比湿は「空気1kg当たりに含まれる水蒸気の質量」のことです。


 まずは7月5日の鉛直分布(相当温位・相対湿度・比湿)と3時間降水量の時系列変化です。
鉛直分布は9時(青実線)、21時(赤実線)、および7月平年値(緑破線)を表示しています。これは「平均的な状態」からの偏差を見やすくするためです。

 平年値に着目すると、相当温位は地上~3000mまでは高度と共に値は小さくなる一方、4000m以上では高度と共に値が大きくなっています。本来、温位は高度が上がるにつれて値も大きくなる傾向にあります。しかし、地上~3000mの層では水蒸気を多く含んでいるため、その凝結潜熱が(下層の)相当温位の値に反映されています。このため、下層の相当温位は「暖かく湿った空気」の指標としても用いられます。

 平年の相対湿度を見ると、地上~2000mの範囲では70%以上で、1000mの辺りで極大となっています。また、比湿は地上~2000mの範囲で10~15g/kgであるのに対し、4000m以上では5g/kg以下と小さな値となっています。水蒸気が海面から供給されることを考えると、下層では水蒸気量が大きく、上層に行くにつれて急速に小さくなることも理解できます。

 この平年値を比較の基準として、9時と21時の鉛直分布を見てみましょう。相当温位の鉛直分布はの9時の時点では、平年値よりも概ね低い状態にありました。しかし、21時の時点では地上から上空にかけて平年値よりも高い状態に推移しました。

 天気予報では、相当温位の中でも特に「1500m付近」の値に注目します。1500m付近では、9時の時点では331Kであったのに対して、21時の時点では345Kを示しています。この高度で345Kという値は非常に高い水準です。よく「暖かく湿った空気」と表現されますが、その中でも「何等かの大雨や豪雨の可能性を考える」ような高いレベルと言えるでしょう。

 湿度の鉛直分布を見ると、9時の時点では2000~5000mでは平年よりも湿度が低く、乾いた状態にありました。しかし、21時の時点では、地上から上空にかけて80~100%と高く、全体的に湿潤化したことがうかがえます。この事は、比湿の鉛直分布でも確認することができます。9時の時点では概ね平年並みか低い状態でしたが、21時の時点では平年を上回る値となっており、大気全体として水蒸気を多く含んだ状態にありました。

 大気の湿潤化が進むにつれて、降水も発生しました。この日の夕方以降(18時~24時)に降水量が観測されています。


 続いて7月6日の場合です。相当温位は、概ね平年値よりも高い状態を維持しています。これは、地上から上空に至るまで湿潤化が進んだことが反映されています。1500m付近の値を見ると、9時で343K、21時でも340Kと高い水準を維持しています。

 相対湿度を見ると、9時の時点では地上から上空まで100%となっており、21時の時点でも2000m以上は90~100%、2000m以下でも80~90%と湿潤状態が持続しています。比湿を見ても、概ね全層的に平年の水準を上回る水準となっています。大気層全体で(平均的な状態に比べて)過剰な量の水蒸気を蓄えている状態にある様子が浮き彫りになっています。

 線状降水帯の発生に伴い背の高い積乱雲が次々に流れ込んだ結果、大気層全体に対して水蒸気が持続的に流入したことが判ります。この結果、3時間で20~40mmにも達する雨が続いたことが観測されました。


 さらに7月7日の場合です。相当温位は、概ね平年値よりも高い状態を維持しています。また、1500m付近では9時で341K、21時でも345Kと高い水準を維持しています。

 相対湿度を見ると、9時の時点では地上から上空まで、21時の時点でも1000~6000mの範囲で100%が観測されており、湿潤状態が持続しています。また、比湿を見ても、1500~7000mの辺りで平年よりも3~4g/kg程度高い水準となっています。大気層全体で(平均的な状態に比べて)過剰な量の水蒸気を蓄えている状態が続いています。

 大気層に含まれる水蒸気量が多いことは、降水量にも反映されています。3時間で30~50mmにも達する降水が観測されました。


 最後は7月8日の場合です。相当温位は平年値よりも低い水準にまで戻りました。1500m付近では9時で331K、21時でも337Kと、それまで続いた高相当温位の状態が解消されました。

 相対湿度を見ると、2000m以下と8000m以上で湿潤となる一方、その中間では湿度が低下しています。このことが相当温位の全体的な低下にも反映されているわけです。また、比湿も全層的に平年並みか平年よりも低い水準に落ち着いており、降水も小康状態になったことが観測されています。

 付録として、使用した計算式を以下に挙げておきます。ご参考になれば幸いです。

t:気体の温度[℃]
es:飽和水蒸気圧[hPa]
Rh:相対湿度[%]
e:水蒸気圧[hPa]
p:気圧[hPa]
w:混合比[kg/kg]
q:比湿[kg/kg]
p0:基準気圧[hPa]
R:気体定数[J・K-1mol-1]
Cp:定圧比熱[J・K-1kg-1]
T:気体の温度[K]
θ:温位[K]
L:水蒸気凝結の潜熱[J/kg]
θe:相当温位[K]

(注)混合比w[kg/kg]を相当温位θeの式に代入する時は、w[g/kg]に単位換算します。
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防災情報と警戒レベル ~大雨に備えよう~

2020年06月17日 | 気象情報の現場から
 いよいよ梅雨の季節となりました。大雨の危険性が迫ると、行政機関から様々な防災情報が発表されます。避難情報や雨に関する情報、そして河川に関する情報などです。

 これらの情報の警戒レベルを分かりやすくするために、5段階の「警戒レベル」を併せて表示します。各種情報と警戒レベルの対応は次のようになります。


 各「警戒レベル」の意味合いについて、さらに詳しく述べると次のようになります。避難開始の目安は「レベル3」です。


 大雨に伴う災害は、大きく分けると土砂災害・浸水害・洪水です。この各々と上記の各種情報の対応について見ていきましょう。


 土砂災害とは、大雨などに伴い地盤が緩み、山や崖が崩れたり、水と混じり合った土や石が川から流れ出るもので、主に「土石流災害」「地すべり災害」「がけ崩れ災害」などがあります。


 レベル2では「大雨注意報」、レベル3で「大雨警報(土砂災害)」、レベル4で「土砂災害警戒情報」、レベル5で「大雨特別警報(土砂災害)」が発表されます。


 浸水害は、大雨などに伴い地表や河川の増水が急速に進んだため、排水が追いつかず、住宅や田畑が水につかる災害を言います。


 レベル2では「大雨注意報」、レベル3で「大雨警報(浸水害)」、レベル5で「大雨特別警報(浸水害)」が発表されます。レベル4では危険のある地域に「避難指示(緊急)」や「避難勧告」が発令されます。


 洪水は、大雨などによって河川から増水・氾濫した水によって陸地が水浸しになる、または水没する災害を言います。


 レベル2では「洪水注意報」や「氾濫注意情報」、レベル3で「大雨警報(浸水害)」や「氾濫警戒情報」、レベル4で「氾濫危険情報」、レベル5で「大雨特別警報(浸水害)」や「氾濫発生情報」が発表されます。


 さて、ここで気になるのは「自分が今いる場所はどれほど危険なのか」ではないでしょうか。気象庁では、土砂災害・浸水害・洪水害の危険度をメッシュに細分化された分布情報(危険度分布マップ)として発表しています。上記の防災情報と合わせて、下記の危険度分布マップを活用すると良いでしょう。

・大雨警報(土砂災害)の危険度分布(気象庁HP)
https://www.jma.go.jp/jp/doshamesh/index.html

・大雨警報(浸水害)の危険度分布(気象庁HP)
https://www.jma.go.jp/jp/suigaimesh/inund.html

・洪水警報の危険度分布(気象庁HP)
https://www.jma.go.jp/jp/suigaimesh/flood.html

 また、全国各地で地域密着型のコミュニティ放送局が開局されています。放送対象エリアは限られるものの、地域に根差した防災情報を発信する拠点としての役割も担っています。
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学会のWeb開催

2020年06月01日 | 気象情報の現場から
 新型コロナ(COVID-19)の影響で会場開催が見送られた「日本気象学会2020年度春季大会」ですが、一部セッション(ジュニアセッション)について急遽、1週間限定で「Web開催」という形式で開催されました。

 予稿・ポスターおよび発表動画がWeb上に限定公開され、大会参加者および関係者は興味のある研究テーマのコンテンツにアクセス&コメントする(Web上のポスターセッションに近い)と言う新しい形でした。実際に参加してみて「これがWeb学会というものか、実に良い!」というのが率直な感想です。

 まず、予稿に加えて、ポスターも発表動画も「自分のペース」で「ゆっくり」と「何度でも」閲覧できるのが良いです。いつものことですが、(発表される内容は)私にとっては「目新しい内容ばかり」なので、1回見聞きしただけでは全体像を把握できないことも少なくありません。

 そもそもが自分が日頃から接触している分野とは異なるので、テーマの内容を把握し、理解するまでにはどうしても時間が掛かってしまいます。従って(周囲の目を気にせず)ポスターをじっくり読み込んだり、発表動画も(自分の都合で)何度も「一時停止」や「巻き戻し」ができるのはありがたいです。

 さらに「時間的制約が強く、遠方からの参加」となりますと、会場開催に参加すること自体が、そもそも困難です。これまで学会発表やCAMJの研究成果発表会なども含めて、日程などの都合がつかずに参加を見送ったことも数知れず。(研究が失敗してまとまらず断念…ならば潔く諦めもつくのですが、そうでない場合はなおさら無念と言うものです)。

 しかし、この形式であれば「時間的・物理的なハードル」を乗り越えることも十分可能です。これが最大のメリットと言っても過言ではないでしょう。

 一方、実際にお会いして意見交換できる「会場開催・リアルコミュニケーション」ならではのメリットもあるのは否めません。やはり、会場ならではの「臨場感」は「Web開催」では感じ取ることができません。あの臨場感を味わうことができるのも、大会参加の一つの醍醐味です。

 また、実際に発表した後の、個別での脱線話などの交流の機会を持ちやすいのも「会場開催」ならでは、かと思います(中にはその場のノリで意気投合して、その日の夜に一緒に飲みに行く方もいらっしゃるとか・・・下戸の私には考えられない展開ですが、素直に憧れます)。

 しかしながら、「時間的・物理的なハードル」を抱えた私にような者にとっては、「Web開催」は新しい参加の形=新しいチャンスのように思えました。
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今日は学会発表・・・の筈だった

2020年05月19日 | 気象情報の現場から
 今日は「日本気象学会2020年度春季大会」のポスターセッションで発表する予定でした。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から会場開催は見送られ、発表予稿集の発行をもって開催とする「誌上開催」となりました。

 私は研究題目「GSM地上とニューラルネットワークを用いた山形県内の降雪量解析の試み」の発表でエントリーしておりました。


 気象庁のスーパーコンピュータによる数値シミュレーション(数値予報)は、現在の天気予報の核となるものです。3次元空間をジャングルジムのような格子状(マス目)に分割し、その各格子点上における変数(気温、気圧、風、湿度etc.)の将来時点における値(格子点値)を計算して行きます。

 今回、この「格子点値(GPV)」の一部を入力変数(入力信号)、「地域内の降雪量の観測値」を出力変数(出力変数)として、この入出力パターンを人工知能(ニューロ・モデル)に学習させた後、これを基にした降雪量の予測を試みました。

 従来の研究では、入力変数(入力信号)には「ある1地点における高層(上空)の観測値」、また出力変数(出力信号)には「降水量の相対的な大きさ」を用いていました。この場合「降雪量が相対的に大きくなる領域(極大域)」を推定することはできますが、地点別の「降雪量の値そのもの」を対象とするものではありません。また数値予報の「格子点値」があるので、それを入力変数(入力信号)に用いた方が、より実用的な予測モデルになります。

 それでも、なかなか踏み切れなかったのは「アナログ」と「デジタル」の違いの問題があったからです。ニューロ・モデル(ニューラルネットワーク)は本来「デジタル信号(0か1)」を処理するものです。ただ、実際には内部処理でシグモイド関数を用いるため、0から1の任意の実数で取り扱うことが可能です。一方、気象変数はその大きさ(数量のスケール)がバラエティーに富む「アナログ」の数量です。こちらは0から1の範囲にとどまらないのは言うまでもありません。

 このような気象変数をニューラルネットワークで扱うためには、0から1の任意の実数(信号レベル)の形にスケール調整(変換)する必要があります。この辺の取り扱いが長年の課題でした。昨年の大晦日の前日にふと、この問題を解決するアイデアを見出し、正月返上でプログラム開発から学習データの作成、さらにその後もニューロモデルによる予測実験、発表予稿作成・提出・・・と1月はまさに怒涛の日々を駆け抜けました。この辺の話は過去の記事にも書きました。

 今回の実験結果では、特徴を適切に予測できた例もある一方、課題も見えてきました。何はともあれ、ニューロ・モデルの研究開発は「新たなステージ」に進んだので、今後も試行錯誤を続けるのみです。
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