計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

2022年8月3日の山形県置賜地方の大雨

2022年08月04日 | 山形県の局地気象
 2022年8月3日は山形県内で大雨に見舞われました。さらには、一時的に大雨特別警報が発表されるに至りました。まずは、被害にあわれた皆様に、お見舞いを申し上げます。


 雨の状況を概観するために、この日の山形県内の24時間降水量の分布を見てみましょう。山形県南部の置賜地方が明瞭な極大域となっています。例えば、南東部の米沢では239mmが観測されています。


 参考までに米沢の平均的な雨温図を見てみると、夏場は1か月で150mm程度の降水です。1日の間に1か月半の雨に相当する降水があったことになります。



 この大雨の背景として、梅雨末期のような前線が山形県置賜の北側に停滞したことが挙げられます。その上空では南西から暖かく湿った空気も流入し、大気の不安定化が進みました。これに伴い、水蒸気も持続的に供給され湿潤場が形成されました。



 また、前線の停滞位置が、山形県置賜地方から見て「佐渡島2~3個分だけ」北側であったことも大きな要因の一つです。一般的な梅雨前線の構造を考えると、前線から見て「佐渡島2~3個分だけ」南側が前線帯の南端に相当し、この付近で対流活動が活発になります。この条件下で海上において何らかの形で収束を生じ、線状降水帯が発生したと考えられます。

 前線の南側では西風も顕著で、海上で生じた線状降水帯が内陸まで進入しました。このような場合、朝日・飯豊の両連峰で雲の進入に歯止めが掛かることも期待されます。しかし、夏場の対流雲は特に上空まで発達する(背の高い雲となる)ため、この歯止めも効きにくかったようです。この結果、西置賜から東南置賜まで大雨の範囲も拡大しました。
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梅雨の戻りと「シン・梅雨前線」?

2022年07月14日 | 気象情報の現場から
 さて、2022年の梅雨は短く「観測史上最早の梅雨明け」となりました。これに伴い、非常に厳しい暑さが続いておりましたが、今度は「梅雨の戻り」の様相を呈してきました。

 ラニーニャ現象と負のIOD(インド洋ダイポール現象)の影響で熱帯の対流の位置がシフトしたのに加え、偏西風も大きく蛇行した結果、チベット高気圧やオホーツク海高気圧が顕著となっているように見受けられます。また、オホーツク海高気圧と南下した太平洋高気圧の間に現れる湿潤域と暖湿気流に伴い、雨が降りやすくなっているようです。

 その背景について簡単な模式図を描いてみました。



(1)ラニーニャ現象の影響で、熱帯の対流の位置は西側(概ねフィリピン付近)にシフトします。

(2)負のIOD(インド洋ダイポール現象)の影響で、熱帯の対流は概ねフィリピン付近にシフトします。負のIODとは、熱帯付近の海面水温が(平年に比べて)「アフリカ側で低温、フィリピン側で高温」となる方向にシフトする現象です。

(3)活発な対流は上昇気流を形成します。これに伴い「下層では収束場、その上空では発散場」の流れを作り出します。また、北側に目を向けると、何やら偏西風の蛇行が大きくなっています。

(4)上空では発散場となるため、北側を流れる偏西風をさらに北側に押し上げます。この影響で「チベット高気圧」が顕著となります。

(5)偏西風がチベット付近で北に押し上げられた反動で、その東側では一旦南に下がり、日本付近で再び北上するように蛇行します。

(6)偏西風は日本付近で北上しますが、もともと蛇行が大きいので、「オホーツク海高気圧」が顕著になります。なお、日本付近の偏西風の蛇行には「台風4号から変わった低気圧」の渦も影響したと考えられます。

(7)「オホーツク海高気圧」が顕著となり、「太平洋高気圧」は南に押しやられます。そして、両者の間に「梅雨前線」改め「シン・梅雨前線」が現れる?
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観測史上最早の梅雨明け

2022年06月30日 | 気象情報の現場から
 2022年の「梅雨」はアッという間でした。北陸地方は6月28日に「梅雨明け」が発表され、翌29日には東北南部でも「梅雨明け」が発表されました。

 特に、6月下旬は「太平洋高気圧」の勢力が特に強く、その勢いで梅雨前線も押し上げられてしまったようです。その背景について簡単な模式図を描いてみました。



 ポイントを簡単に書くと・・・

(1)ラニーニャ現象の影響で熱帯域の活発な対流が西側(フィリピン付近)にシフト。

(2)この対流の上空では顕著な発散場となるため、その北側を流れる偏西風がさらに北にシフト。

(3)偏西風が大きく蛇行して持続し(シルクロードパターン)、太平洋高気圧も西側に勢力拡大。

(4)正のPJパターン(フィリピン付近で対流が活発になり、日本付近の高気圧が強化)が成立。

(5)太平洋高気圧に押し上げられて、梅雨前線の北上が進み「梅雨明け」。

 このような背景で一先ず「梅雨明け」は発表されましたが、この後「梅雨の戻り」の可能性も予想されております。
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梅雨なのに…猛暑日

2022年06月24日 | 気象情報の現場から
 今日(6/24)の新潟県内は、厳しい暑さに見舞われました。最高気温35℃以上を観測した地点を挙げてみますと・・・

・十日町:37.1
・大 潟:37.0
・小 出:36.9
・糸魚川:36.8
・高 田:36.7
・安 塚:36.5
・柏 崎:36.1
・長 岡:35.8
・湯 沢:35.4
・津 南:35.2
・三 条:35.1
・守 門:35.0

 正午時点の新潟県内の気温分布を見てみますと、上・中・下越の広い範囲で30℃を超えており、特に上越地方を中心に35℃を超えている地域が見られました。



 今日は日本海の低気圧や前線に向かって、太平洋高気圧の縁辺から顕著な暖気が流れ込んでいました。上空では1500m付近で18℃以上の暖気となっており、これは地上で30℃以上の目安でもあります。

 さらに、暖気の流れが山を乗り越える際の「フェーン現象」の影響も加わったため、真夏日を超えて猛暑日となる地点が現れました。それにしても、この時期にしては太平洋高気圧の勢力が強いように見えます。



 そういえば、まだラニーニャ現象が継続しているんですね・・・。
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4種類の線状降水帯

2022年06月20日 | お天気のあれこれ
 暦も6月に入り、梅雨前線の季節が近づいてきました。豪雨などの大雨に伴う被害が未然に防止されることを願って止みません。

 梅雨の時期はやはり「大雨」が気になります。集中豪雨のような大雨において重要な要因は、下層約1kmまでの範囲内に含まれる水蒸気量です。また、大雨がもたらされた結果、その上空3km程度の高さで湿舌が形成されます。

 さて、暖かく湿った空気が流れ込む等の要因で、大気の状態が非常に不安定になると、活発な対流が起こりやすくなります。このような場において、地形の影響等から誘発された上昇気流に伴って積乱雲が発生します。

 そして、様々な条件が重なると、積乱雲が列を成すような線状の激しい降水域(線状降水帯)が形成されます。今回は、線状降水帯の主な4つのパターンについて簡単なイメージを描いてみました。

(1) バックビルディング型

 下層の風と中層の風の向きが同じ場合、発生した積乱雲は中層の風に伴って風下側に移動します。そして、この背後には新たな積乱雲が発生します。

 このように同じ場所(後方)で積乱雲が次々に発生するパターンを「バックビルディング型」と言います。なお、バックビルディング型の線状降水帯については、過去にこちらの記事にも書きました。




(2) バックアンドサイドビルディング型

 下層の風と中層の風の向きが直向する場合、発生した積乱雲は中層の風に伴って風下側に移動します。ただ、下層の風が側方から加わるので、積乱雲の移動方向は少しずつ斜めに傾いていきます。そして、この積乱雲の背後や側方で新たな積乱雲が発生します。

 このように後方に加えて側方でも積乱雲が次々に発生するパターンを「バックアンドサイドビルディング型」と言います。上から見ると、雲や雨の領域は細長い三角形(ニンジン型)を形成しています。(中層の風の)風下側を頂点とし、風下に向かって横幅が広がるためです。




(3) スコールライン型

 下層の風と中層の風の向きが逆向きの場合、両者のぶつかり合う領域(収束帯)で上昇気流を生じます。この上昇気流に伴って積乱雲が発達するため、収束線収束帯)に沿って幾つもの積乱雲が列を成すような形となります。このようなパターンを「スコールライン型」と言います。


(4) 破線型

 局地前線上に暖かく湿った空気が流入することで、前線上に積乱雲が発生します。もともとは、前線上に個々の積乱雲が生じるため、破線を描くような形となります。これらの積乱雲の発達に伴い、その領域が広がることで線状の降水帯となります。



 日本で多く見られるのは、「バックビルディング型」と「破線型」と言われています。

 ※以上、4つのパターンについて紹介しましたが、実際の雲列を取り巻く風の流れはとても複雑です。その詳しい立体構造については、この記事では割愛しています。

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オメガ方程式のイメージ

2022年06月12日 | お天気のあれこれ
 気象予報士試験の勉強では必ず登場する「オメガ方程式」。その姿は見る者を圧倒します。



 少し解りやすくするために、次の2つの式を適用すると



 このように書き直すことができます。


 鉛直運動(鉛直流の分布)は「渦度移流の鉛直シア」と「温度移流」によって生じる、という意味です。また、上の式には書いておりませんが、「非断熱効果」を加えることもあります。

 数式自体が長く、複雑な形をしているので、その意味するイメージを描きにくいのが特徴です。試験対策としては、「鉛直流」の要因を考える際は「渦度移流の鉛直シア」「温度移流」あとは「非断熱効果」に着目する、と言うことを押さえておけばよいでしょう(実際、私がそうでした)。

 この記事では、「ごく簡単な条件」を想定することで、この複雑・難解な「オメガ方程式」のイメージを読み解いていきます。

 例えば、次のような場を考えてみましょう。x軸は東西方向、y軸は南北方向を表します。ここで、擾乱はy軸,p軸方向に一様とし、鉛直シアを持つ西風の一般流U(p)の場に重なるものと仮定します。


 今回は4つの等圧面(500,700,850,1000hPa)に着目します。
 想定する領域の長さをLxとし、500hPa面は渦度ζw500(西端)とζe500(東端)、700hPa面は鉛直流ω700(中央)、そして850hPa面は温度Tw850(西端)とTe850(東端)とします。また、一般流として等圧面毎にU500、U700、U850、U1000とします。これらは一様に西風とします(但し、上空ほど速度が増す)。

 つまり、「500hPa面と1000hPa面の間の渦度移流の鉛直シア」および「850hPa面の温度移流」から「700hPa面の鉛直流」が決まることを考えています。FAX天気図のイメージです。

 擾乱はy軸,p軸方向に一様と仮定したので、これらの物理量は「x軸方向のみ」を考えます。



 ここで、解ωの関数形について、次のような三角関数で表すことができると仮定します。



 続いて、微分演算子、一般流の鉛直シア、1000hPa面の一般流を次のように近似します。



 以上を「x軸方向のみ」のオメガ方程式に適用すると、次のような式が得られます。



 こうして簡単な代数方程式の形に帰着しました。あとは右辺の各項について見てみましょう。

右辺第1項について
・ζe500<ζw500 ⇒ (-ω700)>0 の側に作用する(上昇流)
・ζe500>ζw500 ⇒ (-ω700)<0 の側に作用する(下降流)

右辺第2項について
・Te850>Tw850 ⇒ (-ω700)>0 の側に作用する(上昇流)
・Te850<Tw850 ⇒ (-ω700)<0 の側に作用する(下降流)

 このように、渦度や温度の「移流」が「傾き」の形で表現されるので、イメージがつかみやすくなります。
 
 さて、上昇流となる場合のイメージ図は既出ですので、下降流となる場合のイメージ図も掲載しておきましょう。


 ちなみに、Qベクトルを用いると、オメガ方程式は次のように書き表されます。


 とってもシンプルになりました。
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水平温度場の変化と鉛直循環を結ぶQベクトル

2022年06月11日 | お天気のあれこれ
 1か月ほど前の記事「前線形成と鉛直循環の励起」では、水平面上において地衡風による温度場(温位場)の変化が生じると、二次的な鉛直循環が励起されることを紹介しました。

 そして、この鉛直循環は、地衡風による温度場(温位場)の変化によって生じた温度風バランスの崩れを解消する(基に戻す)働きを持っていました。


 水平面で地衡風の収束が生じ、フロントジェネシス(前線強化・温位傾度が増大)を生じると、鉛直面ではフロントリシス(前線消滅・温位傾度が減少)の二次循環を生じます。

 一方、水平面で地衡風の発散が生じ、フロントリシスを生じると、鉛直面ではフロントジェネシスの二次循環を生じます。

 このような「水平面上の温度場(温位場)の変化」と「鉛直循環の発生」を関連付ける指標として「Qベクトル」が用いられます。Qベクトルの定義は、主に次の式が用いられます。


 この式を、水平面上におけるフロントジェネシスとフロントリシスの各ケースについて適用してみます。まずは、各ケースについて、ごく簡単な条件を設定してみましょう。



 水平面(x-y平面)上に等温線を3本引いています。つまり、y方向に温度傾度を生じています。ここで、同じくy方向の地衡風を仮定します。

 いま、対象領域(水色の正方形の中心「●」におけるQベクトルを考えます。簡単のため、正方形のx方向、y方向の距離(Δx、Δy)は単位長さ(=1)とします。

 フロントジェネシス(左側)では、y方向の地衡風(上・-v,下・+v)が対象領域の中心に向かうように収束しています。このため、温度傾度が増大する等温線の間隔が狭まる)ように推移します。

 フロントリシス(右側)では、y方向の地衡風(上・+v,下・-v)が対象領域の中心から離れるように発散しています。このため、温度傾度が減少する等温線の間隔が広がる)ように推移します。

 各ケースで仮定した条件をQベクトルの定義式に適用します。


 このように、各ケースにおけるQベクトルが得られました。式だけを見ても判りにくいので、先ほどの図にQベクトルを重ねて書いてみます。Qベクトルは赤で示しました。



 フロントジェネシスの場合(左側)、Qベクトルはy軸負の向きとなりました。等温線に垂直で、暖気側を指しています。

 フロントリシスの場合(右側)、Qベクトルはy軸正の向きとなりました。等温線に垂直で、寒気側を指しています。

 それで、Qベクトルと鉛直循環の間にはどのような関係があるのでしょうか。冒頭の図に倣って、立体的に考えてみましょう。


 冒頭の図をベースにQベクトルを重ねてみました。この結果、Qベクトルの指す側で上昇流、反対側で下降流となるような鉛直循環が励起されることが判ります。


 ここまでは、水平面上における等温線と地衡風が垂直に交わる場合を考えてきました。続いては、等温線と地衡風が互いに斜めの場合を考えてみましょう。


 今回は一例として、斜めの地衡風に伴って温度場自体が(等温線の間隔を保ちながら)回転するような場合を想定してみます。

 上の図で仮定した条件をQベクトルの定義式に適用します。


 得られたQベクトルを、図に重ねて書いてみます。これまでと同様にQベクトルは赤で示しました。

 Qベクトルはx軸、y軸共に正の向きとなりました。等温線に平行な向きを指しています。

 さて、一般的なQベクトルと鉛直流の関係については、Qベクトルを用いたオメガ方程式で説明されます。この辺の話はまたの機会に。
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ジェットストリークと鉛直循環の励起

2022年05月21日 | お天気のあれこれ
 先日の記事「前線形成と鉛直循環の励起」では、下層の水平面上における前線の形成や消滅に伴って、鉛直面上にも二次循環が現れる、と言う話題に触れました。

 そこで、今回は上空の水平風の強弱に伴って生じる鉛直循環の話題に触れたいと思います。上空のジェット気流の中で、特に風速の大きい領域を「ジェットストリーク」と言います。

 次の図では、ある等圧面上のジェット気流の様子を模式的に表してみました。左側が西(風上)、右側が東(風下)に相当します。


 等圧面高度は下(南)から上(北)に掛けて低下します。ジェット気流を流れる空気塊に着目すると、北向きに気圧傾度力、南向きにコリオリ力が働いており、この両者が釣り合った地衡風となっています。

 (1)の段階では等高度線の間隔は広く、(2)の段階に進むとその間隔が狭くなっています。その後、(3)まで進むと再び間隔は広がる場を想定します。

 (1)→(2)の変化では、等高度線の間隔が狭まるので、気圧傾度力は強まります。これに伴い、コリオリ力も順応して強まります。両者の釣り合いの結果、地衡風の速度も大きくなります

 (2)→(3)の変化では、等高度線の間隔が広がるので、気圧傾度力は弱まります。これに伴い、コリオリ力も順応して弱まります。両者の釣り合いの結果、地衡風の速度も小さくなります

 このように、風上から風下にかけて等高度線の間隔が変化するのに伴い、気圧傾度力も変化します。ただし、気圧傾度力の変化コリオリ力の順応常に同時に進むわけではありません



 (1)→(2)に変化する途中の(1)’では気圧傾度力が強まるのに対し、コリオリ力の順応が遅れています。地衡風のバランスが崩れ、気圧傾度力の方が強い状態となり、空気塊は北側に引き寄せられようとします。つまり、従来の地衡風(西風成分)の他に、新たに非地衡風成分(南風成分)が励起されます。

 (2)→(3)に変化する途中の(2)’では気圧傾度力が弱まるのに対し、コリオリ力の順応が遅れています。地衡風のバランスが崩れ、コリオリ力の方が強い状態となり、空気塊は南側に引き寄せられようとします。つまり、従来の地衡風(西風成分)の他に、新たに非地衡風成分(北風成分)が励起されます。

 このように、コリオリ力の順応の遅れに伴って、(過渡的に)地衡風のバランスが崩れ、新たに非地衡風成分が励起されます。さらに、この非地衡風成分によって二次的な鉛直循環が作り出されます。


 風上側(1)’の循環は直接循環であり「フロントリシス」に対応します。(1)→(2)の変化は等高度線の間隔を狭める(フロントジェネシスに相当する)ものであるため、この状態を解消する(等高度線の間隔を広げる)方向に働きかける循環が現れます。

 風上側(2)’の循環は間接循環であり「フロントジェネシス」に対応します。(2)→(3)の変化は等高度線の間隔を広げる(フロントリシスに相当する)ものであるため、この状態を対抗する(等高度線の間隔を狭める)方向に働きかける循環が現れます。

 この結果、上層では次のような収束域と発散域を生じます。


 この図のように、下層からの上昇流が上層に達すると発散域となる一方、上層で収束すると下降流に転じます。
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pythonで単振動のシミュレーション

2022年05月18日 | 計算・局地気象分野
 最近、プログラミング言語「python」の勉強を始めました。最近、「python」が流行っているという話を聞いており、何やら人工知能の分野での活用も進んでいるというので興味を持ちました。

 まずは「Python ゼロからはじめるプログラミング」の公開資料で一通り「基本的な文法」を学びました。そして今度は手始めに、簡単な単振動のシミュレーションのプログラムを試作してみました。


 さて、単振動の定義はネット上にも多く解説されています。上の図は一つの例ですが、概ね次のようなイメージです。

(1) 水平な床の上に、一端を固定されたバネを用意する(バネ定数:k)。
(2) バネの固定されていない端に、おもり(質点)を取り付ける(質量:m)。
(3) おもりをずらしてバネを自然長(x=0[m])からr[m]だけ伸ばし、その位置でおもりを離す。
(4) 以降、バネが伸縮するのに伴い、おもりも一直線上を往復する(振動)。

 ここで、バネの自然長を基準としたおもりの位置をx[m]、おもりの速度をv[m/s]と表記しています。

 単振動の運動方程式それ自体は上記の通り、至ってシンプルです。この運動方程式(微分方程式)を差分方程式に書き換えて、積分するプログラムを書けば、後の仕事はコンピュータがやってくれます。


 プログラムのフローチャートを描くと、上の図のようになります。

 まずは、バネ定数や質量などのパラメータ、さらにバネを伸ばしておもりを離す長さなどの初期条件を設定します。その後、速度vや位置xの差分方程式を計算することで積分を進めます。最後に時間t[s]と位置x[m]の関係をグラフに表示して終わります。

これをpythonを用いてプログラムの形に書き表すと次のようになります。


 プログラムの詳細は見ての通りです。書き方がおぼつかないのは「python初心者」と言うことで御容赦下さい。

 このプログラムを実行すると、横軸に時刻t[s]、縦軸に位置x[m]のグラフが描かれます。グラフの描画に際しては、「matplotlib」という外部ライブラリを使用しています。


 そして、グラフが表示されました。初めてのpythonプログラムは何とか動きました。

 先日、「Pythonで始めるプログラミング入門」という本を購入したので、今後はこの本に沿ってさらに勉強を続けます。
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前線形成と鉛直循環の励起

2022年05月10日 | お天気のあれこれ
 前回の記事「前線形成関数を構成する4要素」の続編です。

 前回の記事で述べたように、前線付近では温位傾度は増大します。このため、等圧面における温位傾度の時間変化で定義される「前線形成関数」を用いて、温位傾度の変化を評価します。

 今回は、水平面上の温位傾度の変化によって励起される「二次的な鉛直循環」(ソーヤー・エリアッセンの鉛直循環)について扱います。以下、フロントジェネシス(温位傾度が増大)する場合と、フロントリシス(温位傾度が減少)する場合について各々考えてみます。


【(1)フロントジェネシスに伴う直接循環の励起】


①初期状態

 等温位線は水平面上には横向きに、鉛直面上では傾斜している状態を想定します。また、水平面上では手前側が暖気(高温位)、奥側が寒気(低温位)に相当します。また、赤矢印は上層・下層における相対的な風速を表しており、互いに温度風の関係を満たした状態にあると考えます。つまり、風の鉛直シアのバランスが取れた状態と言うことです。

②前線形成

 このように温位傾度が増大すると温度風が強化されるので、上空ほど西風が強まります。このため、風の鉛直シアのバランスが崩れます


③鉛直循環(二次循環)

 上記のフロントジェネシスに伴って生じた「風の鉛直シアのアンバランス」を解消するため、温位傾度を基に戻そうとする「直接循環」が励起されます(上図右側・前線消滅を参照)。これは、前線形成関数の「立ち上がり項」がフロントリシスの側に働くことに相当します。

※上図では、左側と右側・前線消滅では等温位線の傾きが逆向きに描かれています。これは、直接循環によって等温位線の傾きが逆向きに誘導されるという趣旨です。


 ただし、合流項・シアー項はフロントジェネシスの側に働き、また非断熱項の影響も加わるため、(各項の綱引きの結果)温位分布は新たな均衡状態に落ち着きます。そして、この新しい温位分布の下で風の鉛直シアのバランスが再構築されます。この結果、下層では温位傾度が強く、上層に行くほど温位傾度は弱まります。


【(2)フロントリシスに伴う間接循環の励起】


①初期状態

 先の「(1)フロントジェネシスに伴う直接循環の励起」と同じです。こちらでは、予め「温位傾度が大きい状態」で風の鉛直シアのバランスが取れた状態を想定しています。

②前線消滅

 このように温位傾度が減少すると温度風が弱まるので、上空の西風も弱まります。このため、風の鉛直シアのバランスが崩れます


③鉛直循環(二次循環)

 上記のフロントリシスに伴って生じた「風の鉛直シアのアンバランス」を解消するため、温位傾度を基に戻そうとする「間接循環」が励起されます(上図右側・前線形成を参照)。これは、前線形成関数の「立ち上がり項」がフロントジェネシスの側に働くことに相当します。

 ただし、合流項・シアー項はフロントリシスの側に働き、また非断熱項の影響も加わるため、(各項の綱引きの結果)温位分布は新たな均衡状態に落ち着きます。そして、この新しい温位分布の下で風の鉛直シアのバランスが再構築されます。

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前線形成関数を構成する4要素

2022年05月09日 | お天気のあれこれ
(1)2次元流れの変形・渦度・発散

 2次元の流れを考える上で、流体のある微小片に着目すると、この後の変化の仕方は大きく4つのパターンに分類することができます。


 ここで、微小片の変形前を灰破線の正方形、変形後を黒実線、また変化に伴って微小片が動く方向を赤矢印で表現しています。

【左上・合流変形】
 一方の軸方向に縮む一方、もう一方の軸方向に伸びるような変形です。上の図では微小片に向かって、上下からの流れが合流し、その後左右の両側に広がっています。この場合の横軸(黄緑色)を拡大軸と言います。

【右上・シアー変形】
 合流変形が縦横の軸から傾いた形です。上の図では微小片に向かって、左上と右下からの流れが合流し、その後左下と右上の両側に広がっています。この場合の左下から右上に向かう傾斜した軸(黄緑色)が拡大軸になります。

【左下・渦度】
 微小片が流れの中で回転するパターンです。上の図では反時計回りに回転しています。これが正の渦度です。また、時計回りに回転する場合は負の渦度となります。

【右下・発散】
 微小片が内側から外側に向かって湧き出るように拡大する形です。上の図では赤の矢印が全て外側を向いています。これが正の発散です。一方、赤の矢印が全て内側を向くと、微小片は内側に向かって吸い込まれるように縮小します。これが負の発散(収束)に当たります。


(2)前線形成関数とは

 さて「前線」とは、寒気と暖気がぶつかり合う際の境目として現れます。詳しいことは過去の記事「地上天気図の見方・ポイント解説」を御参考下さい。要は、寒気の流れと暖気の流れがぶつかる領域(前線帯)が発生すると、そこでは等温線が帯状に密集します。つまり、温度傾度の大きな帯状の領域が現れるのです。

 ここでは、寒暖の度合いを表す指標として「温度」ではなく「温位」を用います。温位については、過去の記事「温位=ポテンシャル温度・・・これは一体、何なのか?」で述べています。こちらも併せて御参考下さい。

 あらためて「寒気と暖気がぶつかり合う」と言うことは、水平面上では「合流変形」や「シアー変形」を生じることになります。また、この他にも鉛直流の影響非断熱効果による影響も加わり、明瞭な前線が形成(温位傾度が強化)されます。この温位傾度の指標として用いられるのが「前線形成関数」です。これは等圧面における温位傾度の時間変化で定義されます。

 前線形成関数Fは、合流項Fc、シアー項Fs、立ち上がり項Ft、非断熱項Fdの和で表されます。F>0ならば前線は形成・強化され(温位傾度は増大:フロントジェネシス)、F<0ならば前線は衰退・消滅に向かいます(温位傾度は減少:フロントリシス)。


(3)前線形成関数を構成する4要素

 上述の通り、前線形成関数Fは「F=Fc+Fs+Ft+Fd」と表されます。そこで、右辺の各項のイメージについて各々述べていきます。


≪合流項:Fc≫

 合流項は、流れの「合流変形」に伴う影響を表しています。次の図では「水平面上における流れ場」を考えます。上下から流入した流れが中ほどでぶつかった後、左右両側に抜けていくことを想定しています。従って、拡大軸は横向きとなっています。


 この図の上段と下段では等温位線の向きが異なります。上段では下側が暖気、上側が寒気となっており、上下方向に温位傾度を生じています。一方、下段では左側が暖気、右側が寒気となっています。こちらは、左右方向に温位傾度を生じています。

 上段の場合、上下の流れが拡大軸に向かうのに伴って、上側からの寒気移流と下側からの暖気移流を生じ、拡大軸の上下にある等温位線が互いに近づいてきます。つまり、拡大軸付近の温位傾度が増大します(黄色の領域:フロントジェネシス)。

 下段の場合、上下の流れが拡大軸に沿って左右に抜けていくのに伴って、左側の暖気はより左側に、右側の寒気もより右側に運ばれていきます。このため、等温位線が互いに離れて行き、温位傾度は減少します(フロントリシス)。


≪シアー項:Fs≫

 シアー項は、流れの「シアー変形」に伴う影響を表しています。次の図も「水平面上における流れ場」を考えます。先の「合流変形」の流れと本質的には同じものですが、こちらでは拡大軸が傾いているのが特徴です。


 この図の上段と下段では等温位線の向きが等しく、下側が暖気、上側が寒気で、上下方向に温位傾度を生じています。また、等温位線に対して、拡大軸が角度α°だけ傾いています。上段では傾斜角α°が45°より小さく、下段では傾斜角α°が45°より大きい点が異なります。

 上段の場合、上下の流れが拡大軸に向かうのに伴って、上側からの寒気移流と下側からの暖気移流を生じ、拡大軸の上下にある等温位線が(傾斜しながら)互いに近づいてきます。つまり、拡大軸付近の温位傾度が増大します(黄色の領域:フロントジェネシス)。

 下段の場合、上下の流れが拡大軸に沿って左下・右上に抜けていくのに伴って、下側の暖気はより左下側に、上側の寒気もより右上側に運ばれていきます。このため、等温位線が(傾斜しながら)互いに離れて行き、温位傾度は減少します(フロントリシス)。


≪立ち上がり項:Fs≫

 立ち上がり項は「鉛直流」に伴う影響を表しています。次の図は「鉛直面上における流れ場」を考えます。等温位線は鉛直方向でも傾きを持っており、「寒」は低温位側、「暖」は高温位側を表しています。次の図ではいずれも下層が低温位側(「寒」)、上層が高温位(「暖」)を想定しています。


 上段では、左下から右上にかけて温位が増す分布を想定しています。また、鉛直流は左側に行くほど上昇流、右側に行くほど下降流が強まっています。つまり、間接循環の場(寒気側で上昇流、暖気側で下降流)となっています。この場合、下層からの寒気(低温位)移流と上層からの暖気(高温位)移流に伴い、左上から右下にかけて等温位線が互いに近づくため、温位傾度が増大します(黄色の領域:フロントジェネシス)。

 下段では鉛直流が左側に行くほど下降流、右側に行くほど上昇流が強まっています。つまり、直接循環の場(寒気側で下降流、暖気側で上昇流)となっています。この場合、温位傾度を弱める方向に働きます(フロントリシス)。


≪非断熱項:Fd≫

 非断熱項は非断熱効果に伴う影響を表しています。次の図は一例として、日射に伴う加熱を挙げてみます。次の図も「鉛直面上における流れ場」を考えています。


 ここでは、左下から右上にかけて温位が増す分布を想定しています。また、図の左側では雲が広がる一方、右側では日射し優勢となっています。左側は雲に覆われるため、加熱がなかなか進まず、温位の分布はそれほど変化しません。一方、右側は日射に伴って加熱が進み、温位が上昇するため、温位傾度も増大します(黄色の領域:フロントジェネシス)。
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2022年度の幕開け

2022年04月01日 | 気象情報の現場から
 新年度、あけましておめでとうございます
 2022年度が幕を開けました。

 昨年11月半ばから続いた約4か月半に及んだ降雪予報期間もようやく終わり、安堵した心境で新年度を迎えています。

 さて、現在は「データサイエンス」の分野が脚光を浴びています。昔のプログラミング言語の一つである「FORTRAN」が主流だった頃は、「科学技術計算」という言葉がありました。「データサイエンス」も本質的には「科学技術計算」の延長上にありますが、想定される対象分野がより広がっているものと認識しています。しかし「対象を『数理モデル』の形に表現し、将来の予測に役立てる」という基本は変わらないでしょう。

 また、「数理モデル」の構築に際しては「4種類の表現」を使い分ける必要があります。それは「言語」「イメージ」「数式」そして「プログラミング」です。対象を「言語」や「イメージ」を通して理解し、これを「数式」を用いて定量的に表現します。この「数式」を基にアルゴリズムを構築し、最終的に「プログラミング」の形に落とし込むのです。

 このような「数理モデル」の一つの現れとして「人工知能(AI)」が挙げられます。私も今では「機械学習」の一環である「ニューラルネットワーク」の応用に取り組んでいます。

 過去記事「最近の雑感(2017年09月22日)」の中で、「『予報』とは『決断』である」という言葉を紹介しました。これは、未来における可能性を「予測」し、何を・どのように伝える(報じる)べきかを「決断」すると言う趣旨です。AIが「予測」を担い、その結果を基に人間が「決断」するものです。さらに「決断」には「意思」と「責任」を伴います。

 将来は「AIが天気予報を担うだろう」と言われて久しい中、そのような時代における「気象予報士」の「レーゾンデートル」とは何なのか?この問題について、ふと思いを巡らすことがあります。AIが天気予報を行うようになれば、気象予報士は不要となるのだろうか?

 私は言わば「AI天気予報の実現に加担している」側になります。その立ち位置からの見解として「気象予報士のレーゾンデートルが失われる事は無く、むしろ求められる役割が変化する」と考えています。

 まずは「『誰が』『どうやって』予報するのか」が変わります。従来の概念では、「人間が」「天気図やデータを自分で解析して」予報を行うものでした。それが現在では、「人間が」「機械に」「予報をやらしめる」形に徐々にシフトしています。もちろん、人間も天気図やデータの解析は行います。ただし、それは機械が予測した結果を理解し、または必要に応じて修正を加えるためのものです。

 また「人間」の役割はこれで終わりません。さらに、「機械が行った」予報の結果を活用して「社会に役立てる」こと(社会実装)が求められます。機械は詳細な計算を行います。この計算結果を人間社会の中で役立てるためには、両者の「橋渡し」を担う存在が必要です。まさに「機械が行う専門的な予測計算」と「その応用分野」の双方に深い理解を持つ存在です。

 このことは「天気を予報して何を実現したいのか?」という根本的な問題に辿り着くのです。予報を通して実現したいことは何か?そのためにはどのような予報が必要なのか?その予報を行うためにはどのような数理モデルが必要なのか?そんな所にも新たな活躍のチャンスがあるのかも知れません。

 それでは、新年度も宜しくお願い申し上げます。
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そろそろ年度末

2022年03月16日 | オピニオン・コメント
 2021年度も残す所、あと半月となりました。

 毎度のことながら、年度替わりの時期は何かと異動の知らせも賑やかに感じております。三月末を以って「卒業」など、それまでの活動に終止符を打ち、この四月から新生活・新しい門出を迎えられる方も多いのではないかと思います。まずは、お疲れ様でした(ちょっと早いかな)。私も昨年11月半ばから続いている降雪予報期間のゴールが近づいてきました。

 さて、昭和から平成、平成から令和に移り変わるにつれて、世の中の在り様は怒涛の如く変化しています。まさに「VUCA時代」と言う言葉に象徴されるように、従来の常識を覆すような社会変化が次々と起こっており、今となっては「将来」を予測するのが困難な状況です。

 この「VUCA(ブーカ)」とは「Volatility:変動性,Uncertainty:不確実性,Complexity:複雑性,Ambiguity:曖昧性」を組み合わせた用語です。現代の状況を端的に表す4つのキーワードともいえるでしょう。まるで「下りのエスカレータをひたすら上っている」ような錯覚さえ覚えます。

 このような時代の流れの中で変化を拒み続けることは、最早「保守的」や「停滞」所の話ではなく、確実な「衰退」を意味します。さらに時代の変化に伴い「加速度」も加わります。従って、この現代を生きていくためには、常に「学び、考え、行動し、成長する」ことが必要です。そして、この積み重ねこそが「努力」です。人は何のために学ぶのか。それは、このような激流の中を「生きるため、生き抜いていくため」と言っても過言では無いでしょう。

 ところで、巷では「○○ガチャ」と言う言葉が流行しているようです。この言葉を使うことには賛否両論ありますが、私は肯定的に捉えています。要は「人に与えられる条件は必ずしも平等ではない」と言う本質を、カジュアルに表現したものです。別の言い方をすれば、人生には「自分の努力ではどうにもならない」要素が多いと言うことです。

 確かに「ガチャ」に当たった人は幸運であり、「ガチャ」に外れた人は不運と言えますが、そもそも人生の「ガチャ」は無数にあります。ある「ガチャ」には当たれども、別の「ガチャ」には外れることもあり得ます。とは言え周囲を見渡せば、「当たりガチャ」が多い人もいれば、「外れガチャ」の多い人もいます。「やはり、人に与えられる条件は平等ではないのだ」とあらためて実感します。

 しかし、「それならしょうがない」とばかりに、いつまでも同じ所に留まって、ボーッと救いの手を待っていても、誰かが手を差し伸べてくれるわけではありません。それこそ「ボーッと生きてんじゃねーよ!」と言われるのがオチでしょう。「ガチャ」に外れたならば、その不運を乗り越えるための「努力」が必要です。しかし、「ガチャ」に当たったとしても、やはりその幸運を活かすための「努力」は必要です。

 もちろん「ガチャ」と言うのは「努力ではどうにもならない」ものですが、「ある程度のダメージ・コントロール」はできるでしょう。いわば「運命」と言う名の荒波に乗るサーファーのようなイメージ、もしくは人生の「リスクマネジメント」とも言えるでしょう。努力は成功の必要条件なれど、十分条件ではありません。それでも努力を続ければ、どこかで道は開けるかも知れません。

 私も何かと「ガチャ」に振り回されることが多い人生と感じてます。一方、人生の節目・分かれ道において「天の見えざる手」によって導かれているではないか、と感じることもあります。ただし、ここで「天」とはいかなる存在かについては考えません(これは「宗教」の領域なので、宗教家の皆様にお任せします)。

 ふと、外に目を向けてみると「私たちの社会が多くの仕事によって構成されている」ことに気付きます。社会を構成する一人一人が各々の役割を担っており、各自の務めを果たすことで成り立っている、と言い換えることもできるでしょう。

 別に「社会」と言った大きなものに限りません。例えば、「オーケストラ」であれば、大きくは弦楽器・管楽器・打楽器に分けられ、さらに指揮者やソリスト、曲目によっては合唱団が加わることもあります。各々の奏者が譜面を通して与えられた旋律を奏でる事で、全体として壮大な音楽が作り出されます。また、「野球」や「サッカー」などの団体球技でも、様々なポジションがあり、その各々に固有の役割があるはずです。

 さらに、様々な意味でマジョリティが存在する一方、マイノリティも存在します。そして、それぞれに何らかの役割があるはずです。社会はまさに多様な人材多様な役割によって構成されています。この多様性こそが「ダイバーシティ」です。

 ただ、ここで悩ましいのは、個々人が「どのような役割を担ってこの世に生を受けたのか」つまりは「天によって与えられた役割(使命)」が判らない、と言うことです。予めそれが判っていれば、今更「何を学ぶべきか、どのような行動を起こすべきか」と迷うこともありません。しかし、現実は違います。それは、換言すれば「自らの創意工夫によって、自らの活路を切り開くことが可能」と言うことです。

 もし「大まかな役割(方向性)」は与えられていたとしても、その具体的な在り様は、時々刻々とその状況に応じて変わります。VUCA時代には「決まった答え」のない問題が山積しています。自分の役割を果たすといっても、その現れ方のヴァリエーションは無限にあるでしょう。

 そして、その活躍の「根源」となるのは、自らの中に構築される「知識・知恵の体系」すなわち「知のテーパ」です。そして、自らの中にどのような「知のテーパ」を構築するのか、それは人それぞれです。昨今のコロナ禍における制約もありますが、学び、考え、行動と成長を重ねることで、来るべき「アフターコロナ」に備えましょう。
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春の訪れと積算最高気温

2022年03月14日 | お天気のあれこれ
 暦は3月を迎え、いよいよ春の足音が聞こえてみました。
 さて、この時期に参考になる積算最高気温の目安として次のようなものがあります。

1月1日から日々の最高気温を足して、300~350℃が東日本で花粉飛散が始まる目安。
2月1日から日々の最高気温を足して、600℃サクラの開花時期の目安。

 そろそろ花粉も飛び始めているようです。気温も上がってきているので、サクラの生育も進みそうですね。

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このブログについて ~いまさらながらのトリセツ~

2022年03月13日 | このブログについて
【1.はじめに】

 この記事は、主に「はじめてこのブログに訪れた方」のための内容です。

 このブログは「2005年12月27日」に開設されました。従って、この記事を上げる時点で既に「17年目」となります。最近は様々な検索を通じてアクセス頂くことが増えてきたため、あらためてブログの説明を上げることにしました。

 私にとってこのブログは「サイバー空間における落書きのようなもの」です。特にこれと言った「コンセプト」を決めず、徒然なるままに書き綴る方針を貫いています。更新頻度や記事の内容も、気が向いたときに書きたいことを書きたいように書いています。

 記事の内容も、自分の勉強や思索に関する「メモ書き」「雑感・つぶやき」と言ったものから、「人生の記録」と言ったものまで様々なジャンルを含んでいます。

 また、かつて理解するのに苦労した物理学や気象学の概念を、図や言葉で判りやすく解説する「学習ノート」という意味合いもあります。このような記事については「かつての自分が教えて欲しかった疑問や悩みについて、今の自分の視点で回答する」ようなイメージで書いています。

 なお、ブログはあくまで「落書き」なので、後から修正を加えることもあります。学術論文のような厳格なものでは無く、極めてアバウトなものです。

 従って、当ブログの内容に基づいて行った活動により発生した、いかなる生命、身体、財産上の損失又は損害について責任を負いかねますので、予めご了承下さい。

※この記事(トリセツ)も必要に応じて、アップデートします。


【2.タイトルについて】

 これまでタイトルを2回変更しています。現在のタイトルは3つ目です。

 1つ目:計算気象予報士の「ここだけの話」
 2つ目:計算気象予報士の「こんなの解けるかーーっ!?」
 3つ目:計算気象予報士の「知のテーパ」

 正直、ブログのタイトルは深く考えておりません。始めの2つはほとんど思いつきノリで決めました。

 1つ目は開設当初と言うこともあり無難なタイトルを付けました。しかし、余りにもありきたりなネーミングだったので、インパクト重視を狙ったのが2つ目です。その後、タイトルの存在はすっかり忘れていました。

 そして、最近の少し真面目な記事の傾向に合うように、現在のタイトルに代えました。ここで「知のテーパ」とは、様々な学びや経験を通して自らの中に構築される「知識・知恵などを体系化したイメージ」を表現しています。こちらの過去記事も御参考下さい。


【3.引用・リンクについて】

 著作権法の扱いについては文化庁のサイトで詳しく解説されています。
 著作物が自由に使える場合(文化庁)

 その上で、必要要件(出典の明記など)を満たした「引用」については私の許諾は必須ではありません。実際、当ブログの図を引用しているサイトを見かけます(出典を明記して頂けるのはありがたいです)。ただ、引用先の内容については、私は一切責任を負いません

 また、リンクの許諾も原則不要(リンクフリー)です。既に様々なQ&Aサイトでも当ブログの記事のURLを御紹介頂いているようですが、その状況については私も十分には把握していません(でも、たまに見かけます)。ただし、リンク元の内容についても、私は一切責任を負いません

 また、当ブログの記事を引用・リンクしたことに伴う損害などの責任は一切負いません。従って、記事の内容や図を御精査頂き、引用・リンクするに値するか御検討をお願い申し上げます。


【4.連絡先について】

 当ブログの図や記事の他の著作物等への改変・転載、または取材・講演・出版・事業(※)などの案件でコンタクトを希望される場合は、この記事のコメント欄に下記の事項を記載して下さい。頂いた記載内容はブログ上では「非公開」とした上で、折り返し御連絡致します。

・御担当者様のお名前
・返信先メールアドレス
・御相談内容

 但し、頂いた内容によっては返答できない、または対応を保留する場合もございます。予め、御了承下さい。なお、その他の過去記事についてはコメント欄を閉じています。交流の場については別途SNS(ツイッター、フェイスブック)に移行しております。

(※)99.99%無いと思いますが、一応書いておきます。


【5.著者(ブログ管理者)について】

 私は地方の気象情報会社で予報業務に従事しています。日々の業務として、放送番組用の天気原稿の作成、地域行事の開催・運営に関わる気象支援、さらに冬季は除雪作業のための降雪量や最低気温の予報も行います。

 主な専門分野は「山形県・新潟県の地域気象に関する数理モデルと情報システムの開発」です。熱流体計算や機械学習など工学的手法による地域気象の解析や、経済学・金融工学の手法による気象情報のビジネスへの応用を研究しています。
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