計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

北極振動とは何ぞや?

2013年11月29日 | お天気のあれこれ

北極振動とは、北極付近と中緯度の地上気圧が互いにシーソーのように変動する現象です。

 北極付近の地上気圧が平年よりも高い時には中緯度の地上気圧が平年よりも低くなり、その一方で北極付近の地上気圧が平年よりも低い時には中緯度の地上気圧は平年よりも高くなります。このような振動は、特に極夜ジェット気流の強弱と関係があることが知られています。

 前者の「北極付近の地上気圧が平年よりも低く、中緯度の地上気圧は平年よりも高くなる」場合を「AOプラス」と言います。AOプラスの状態では、極夜ジェット気流が強く、その流れはゾーナル・タイプ(東西流型)になりやすいため、北極付近に寒気が蓄積されていきます。



 一方、上記とは反対の「北極付近の地上気圧が平年よりも高く、中緯度の地上気圧は平年よりも低くなる場合」を「AOマイナス」と言います。AOマイナスの状態では、極夜ジェット気流が弱くなり、その流れはメリディオナル・タイプ(南北流型)となるため、北極付近に蓄積された寒気が、中緯度地方に向かって放出されます。


 つまり、「AOマイナス」の時には、北からの寒気の南下が顕著になりやすく、状況次第では日本海側で豪雪に見舞われやすい、言う事なのです。

 北極付近と中緯度との間では、このような「AOプラス」と「AOマイナス」の状態を交互に行きつ戻りつしているのです。

 気候変動については色々な見解がありますが、その中には地球温暖化に伴う海面水温の上昇が上空の偏西風の蛇行を促進するという見方もあるようです。もしそうだとすると、偏西風の蛇行がより一層大きくなると(メアンダー増大)、北極振動の影響がより顕著に現れやすくなると考える事もできます。

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偏西風波動と温帯低気圧

2013年11月28日 | お天気のあれこれ
 昨日の記事の続きです。

 ジェット気流は、北からの寒気と南からの暖気との間に生じる南北の温度コントラストの強化によって形成されます。この温度コントラストが強まっていくにつれて、(有効)位置エネルギーが蓄積されていきます。

 これはこの領域の大気が徐々にストレスを溜め込んでいくようなものです。ストレスが少なければ、ジェット気流の流れ方も下図のような東西流(ゾーナル・タイプ)となります。



 しかし、ストレスが溜まりすぎると、偏西風はこんな感じで大きく南北に波を打って運動し、ストレス解消を図ります。この状態を南北流型(メリディオナル・タイプ)と言います。

 このように(有効)位置エネルギー(有効渦)運動エネルギーに変換する事で、偏西風波動が形成されます。


 偏西風波動の北側に凸になる部分をリッジ、南側に凸となる部分をトラフと言います。リッジでは南側の暖気が北側に流れ込もうとするのに対し、トラフでは北側の寒気が南側に流れ込もうとします。

 次の図で、偏西風波動の立体的な構造を模式的に考えてみましょう。



 左側の上空トラフの中心では反時計回りに流れが集まるので(上昇収束)、集まった空気は下に流れて下降気流となり、地上に達すると時計回りに吹き出します(下層発散)。この形は高気圧になります。

 その一方で、右側の上空リッジの中心では時計回りに空気が吹き出します(上層発散)。これは下層から昇ってくる流れ(上昇気流)があるためです。地上では反時計回りに周囲の空気が流れ込んでおり、この集まった空気が上方へと移動しているのです。この形は低気圧になります。

 こうして、上層と下層は連動している事が理解できます。上の図における考察から、トラフは寒気の下降流場、リッジは暖気の上昇流場に対応することが理解できます。

 さて、偏西風波動は、南側からの暖気と北側からの寒気の接触に伴って形成されます。この暖気と寒気の接触面を前面と言います。ちなみに、前面と地表面が交わる領域を前線と言います。

 前面を境界面にして、その前方で暖気の上昇流場、後面で寒気の下降流場が顕著になると、地上の前線上では反時計回りの渦が発生し、やがてこれが温帯低気圧として発達して行きます。

 従ってこの図は、温帯低気圧が発達する構造を模式的に表したものになるのです。

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大気大循環と偏西風波動

2013年11月27日 | お天気のあれこれ
 地球表面からは常に長波放射(赤外放射)の形で熱エネルギーが放出されている一方、太陽からは日射(短波放射)によるエネルギーを受けています。

 一年を通して、出ていくエネルギー量は地球表面上のどこでも概ね一定ですが、入ってくるエネルギー量赤道付近で最も大きく、極付近では最も少なくなります。これは地軸が公転面に対して傾いているためです。

 このプロセスを通じて、赤道付近は熱源となる一方、極付近は冷源となるような熱の分布を生じます。


 赤道付近の大気は暖められるので次第に上昇気流となり、極付近の大気は冷やされるので次第に下降気流となります。


 こうして南北間(極-赤道間)の熱的コントラストを解消するべく、大気が自らかきまぜられようと動き出します。換言すれば、熱的コントラストによって大気の動き(大循環)が駆動(励起)されるのです。

 実際の大循環は、このような三細胞構造となります。赤道付近の熱源によって直接励起される循環をハドレー循環極付近の冷源によって直接励起される循環を極循環、そして、南北二つの循環の間に間接的に励起される(みかけの)循環をフェレル循環と言います。
 
 フェレル循環は、高緯度側で寒気が上昇する一方、低緯度側で暖気が下降するような形に描かれていますが、このような鉛直循環が存在するわけではありません。実際には、中緯度地方は偏西風波動などの擾乱が支配的です。これらの流れを緯線方向にグルっと一回りした平均をとると、高緯度側で上昇・低緯度側で下降するような循環が現れる、というものです。従って「みかけの間接循環」なのです。


 地球は常に自転しているため、その上にある物体は常に時点(回転)に伴う慣性力(コリオリの力)を受けて続けています。この力は、北半球では進行方向の右向きに働きます。

 このため、地上付近ではハドレー循環極循環、そしてコリオリの力の影響で、低緯度では貿易風、高緯度では偏東風が卓越します。



 それでは、上空はどうでしょう?次の図のように、上空の温度分布を考えてみます。


 ハドレー循環によって赤道付近の暖められた高温の大気が北側に運ばれる一方、フェレル循環(実際は偏西風波動)によって北側からは、より低温の大気が運ばれてきます。

 また、極循環によって北極付近で冷やされた低温の大気が南側に運ばれる一方、フェレル循環(実際は偏西風波動)によって南側からは、より高温の大気が運ばれてきます。

 つまり、隣接する循環が接触する領域では、北側からの寒気南側からの暖気が互いにぶつかります。このため、図の中の黄色の領域のように等温線の間隔も狭くなります


 等温線の間隔が狭くなると「その度合=温度傾度(※狭いほど大きい)」に応じて西風成分が強化されます。これは「温度風の関係」と言う物理学的なメカニズムによるものです。

 このように非常に強い西風の軸(強風軸)が形成されていきます。この風速が非常に強いものをジェット気流と呼びます。極側のジェット気流を寒帯前線ジェット気流、赤道側のジェット気流を亜熱帯ジェット気流と言います。

 ジェット気流は、北からの寒気と南からの暖気との間に生じる南北の温度コントラストの強化によって形成されます。この温度コントラストが強まっていくにつれて、(有効)位置エネルギーが蓄積されていきます。これはこの領域の大気が徐々にストレス(不安定性)を溜め込んでいくようなものです。

 従って、何らかの形でこのストレスを解消しようとします。大気の場合は、「運動」を通じてストレスを解消しようとします。



 ストレスが溜まりすぎると、偏西風はこんな感じで大きく南北に波を打って運動します。こうやってストレスを解消しています。物理学的に言い換えれば「(有効)位置エネルギーを(有効渦)運動エネルギーに変換している」のです。

 このように偏西風が蛇行して形成される波を偏西風波動傾圧不安定波)と言います。この波が高気圧や低気圧を生み出す原動力となっています。
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「市民企画講座」ってのがあるんだね。

2013年11月24日 | 何気ない?日常
 地域によっては「市民プロデュース講座」とか、市民大学の「企画募集講座」と言ったりもするけど、自分の得意分野であったり、経験や知識と言ったものを多くの人に教えたい、何らかの講座を開きたい、という潜在的なニーズはあると思います。そういった夢を実現するためのチャンスも、生涯学習事業の一環として用意されているんですね。私が単に知らなかっただけなのかもしれませんけどね・・・。実は、最寄りの地域でも募集しているようです。締切が目前に控えているけど、まずはダメモトで応募してみようかな。

 これまでは、日本気象予報士会日本気象学会など、所謂「専門家」の方に目を向けてきました。それはそれで有意義なものであったし、これからも変わる事は無いでしょう。しかし、「気象ビジネスの発展」という事を考えて行くならば、さらに「エンドユーザーの皆さん」に対しても目を向けて、分かりやすく説明していく事が必要なんですよね。

 「自らの専門性を高めること」と「エンドユーザーへの理解を広めること」は言わば、互いに「車の両輪」のようなもの。前者はサプライヤーとしての必須条件であり、後者はマーケットの開拓を意味します。その両方があってはじめてビジネスモデルになり得る。

 もちろん「市民講座」では、「企業名」を前面に出すような野暮(?)なことはしません。いきなり「売り込む」ような真似も致しません。あくまで自分がこれまで培ってきた知識や経験を分かりやすくお伝えし、一人でも多くの皆様に役立ててもらう事が基本です。そのプロセスを通じて、まずは一人の「専門家」としての自分の存在を認知して頂くこと。「何か、面白いヤツがいるぞ!」ってな具合に・・・。その上で、多くの皆様と「交流」できること・・・。

 何か、考えただけでもワクワクしてきた・・・。
 いつやるの?

 今でしょ!
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学会発表も無事に終了しました。

2013年11月22日 | 気象情報の現場から
19日の朝の新潟市。ラブラ万代と晴天の空!

万代バスセンターシティにて。この5番乗り場から仙台行きのバスに乗ります。

西会津PAにて休憩時間。清々しい青空が広がっています。

福島松川PAにて休憩時間。良いお天気ですね。

仙台駅に到着。祝!楽天、日本一!

仙台国際センターに到着。ここで気象学会が行われています。

看板発見!「日本気象学会2013年度秋季大会」の文字が・・・。

ポスター会場に入って、掲示完了。

発表終了後、宿泊先のホテルに戻ってホッと一杯。

仙台駅前ではもうクリスマスツリーのイルミネーションが!

翌朝の仙台の空も御覧の通り!

仙台国際センターの近くで見た紅葉が綺麗!

街中から空を見上げる。

そして、いよいよ仙台を去る時間が・・・

おや?米沢行きに変更が・・・?

いよいよバスに乗る・・・って、それは米沢行きでしょ!?乗るべきなのは新潟行きの方!!

帰りの福島松川PAにて。

そして無事に戻ってきました。
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山谷風の基礎

2013年11月17日 | お天気のあれこれ
 山岳の斜面に沿って山頂に昇ったり、または山麓に吹き降りるような山谷風が生じます。夜間は山風は生じ、昼間は谷風が生じます。これは放射冷却や日射によって生じる熱のやり取りが源になっています。

[1] 夜間の山風が生じるメカニズム


 夜間は長波放射(赤外放射)に伴い、地表面から熱が逃げて行きます。


 地表面は冷え込みます。


 地表面が冷え込むと、そこに接する空気もじわりじわりと冷やされていきます。このため、地表付近の気温はどんどん下がります。


 平地の上で冷やされた空気はともかく、斜面上で冷やされた空気は、重力に引きずり下されるように下降します。


 斜面上の空気が下に降りると、その穴を埋めるように周囲の空気が移動してきます(補償流)。


 やがて、地表面では山頂から山麓(谷)へと向かう循環が形成されていきます。


[2] 昼間の谷風が生じるメカニズム


 昼間は短波放射(太陽放射)に伴い、太陽からの熱エネルギー地表面に降り注ぎます。


 地表面は暖まります。


 地表面が暖まると、そこに接する空気もじわりじわりと暖められていきます。このため、地表付近の気温はどんどん上がります。


 斜面上で冷やされた空気は、浮力に持ち上げられるように斜面の上を昇っていきます。


 斜面上の空気が上に昇ると、その穴を埋めるように周囲の空気が移動してきます(補償流)。


 やがて、地表面では山麓(谷)から山頂へと向かう循環が形成されていきます。


 ・・・学会前にこんな記事を書いている場合なのだろうか?・・・でも、実はこのメカニズムが重要だったりするんだよね。 ※ちなみに発表日は19日(火)です。
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「講師」に求められる力とは何だろう。

2013年11月16日 | オピニオン・コメント
 学生時代に塾の講師を4年間経験しました。当時はクラス指導が主流でしたので、クラス指導形態。現在も縁あって、本業の傍らとある学習塾での講師も5年近くさせて頂いておりますが、こちらは個別指導の形態です。つまり、講師の仕事を通算9年近く経験しているんですね。

 形態が違うと、講師に求められるものも自ずと異なってきます。一方で、あくまでも変わらないものもあります。それは「説明のわかりやすさ」です。複雑だったり難解だったりする内容を、簡潔に、分かりやすく、しかも最短距離で理解に導く事を心がけるのです。もちろん、最初から手取り足取り教えるのではなく、相手にも自分の力で考える時間を十分に与え、自力での解決を促します

 クラス指導の場合は特に、だらだら解説していると(←講師は丁寧に解説しているつもりでも)、生徒さんは一方的に話を聞くのに飽き始めます。だからこそ、解説のポイントを、時間を掛けず、手短に、伝える技術やフレーズが必要になります。これが「簡潔に、分かりやすく、最短距離を」なのです。当時の塾長から徹底的に叩き込まれた姿勢です。これは、それ以降の私がプレゼン等を行う時の「フィロソフィー」になっています(※でも、このブログでは「だらだら」と思いつくままに書きます)。

 とは言え、いきなり結論だけを伝えて「これがこうなるのを覚えろ!」という解説では駄目です。必要なステップを段階的に踏んで、相手の理解度を探りながら、順を追って説明しなくてはなりません。相手に「わからせる」のが講師の仕事です。「わからせて」なんぼです。

 個別指導の場合は、生徒さんとの「対話」の比重が非常に高くなります。一人一人と向き合っていると「生徒さん御本人の発する言葉、すなわちバーバル(言語的)な情報だけが、必ずしも全てを物語っているのではない」、という事に気付きます。雰囲気や態度、仕草、何気ない行動、と言ったノンバーバル(非言語的)な情報を敏感に感じ取り、そこから相手の状態を「推測する」ことも必要です。本来は「読み取る」ことができれば望ましいのですが、実際には「推測する」でしょう。大切なのは、読み取るにせよ、推測するにせよ、相手の様子をさりげなく観察し、目の前の相手を「知ろう」「感じ取ろう」とすること

 そして学習に関しては、あくまで生徒さんが「自分の力で考えながら、最適解に辿り着けるように」ガイドすること。時には、考える「やり方」を最初から途中まで、目の前で「実演」することもあります。ただ、多くの言葉を発して「おしゃべり」すれば良い、というものではないんですね。何気ない「おしゃべり」の言葉の端々からも、その奥にあるものを読もうとします

 それはすなわち「一を聞いて十を知ろう」とする姿勢です。しかし、もちろん占い師でもなければ超能力者でもないので、全てを察する事なんてできません。それでも、目の前の相手を「知ろう」「感じ取ろう」とし続けるのです。そうすると、相手に説明する際のわかりやすいフレーズや、その言葉を発するタイミングが見えてくるときがあります。

 自分で言うのも変ですが、講師の時と普段では相当「キャラクター」が変わります。私は「自分なりに思い描いている講師像」を演じている、そして「演じる」ことを「楽しんでいる」と言っても良いでしょう。しかし、自分自身の「本当の人柄=本質」は上辺だけの演技で誤魔化すことはできません。私が「演じる」ことで、相手が少しでも「楽しく」学習に向かう事が出来、そして「何か新しい発見がある」という事がすなわち「価値」なのです。

 上司と部下の関係でも似たようなことが言えるかもしれません。上司が部下に伝えるためには、自分の想いや情熱をただ一方的にぶつけても不十分。自分の想いや情熱の上に、その目的や理念、背景や内容を理解させなければならない。そう考えると、なかなか面倒くさいですね。「はぁ~(ため息)・・・いちいち順を追って分かりやすく説明しなければならないのか・・・」って感じですよね(正確には「説明」ではなく「誘導」です。自分の意図する業務を遂行できるように「誘導」し、実行させる)。

 でも、これを怠ると、後々さらに「面倒」なことになります。「はぁ~(ため息)・・・」どころじゃなくなりますよ。現在では、「コーチング」「ファシリテーション」など様々な手法も確立されています。一見面倒ですけど「いちいち順を追って分かりやすく説明する」・・・これはある意味「講師」に通じるものかもしれません。

 つまり、いちいち「はぁ~(ため息)・・・順を追って分かりやすく説明するなんて・・・めんどくせえなぁ・・・」と言う人は、ズバリ!講師には向きません。むしろ、説明する内容を、一つ一つ順を追って、ストーリー立てて整理し、それを説明することを「楽しめる」人じゃないと、講師は務まらないんじゃないかな・・・。

 私?、私はもちろん「説明する内容を、一つ一つ順を追って、ストーリー立てて整理し、それを説明すること」が楽しいです。ちょっと考えただけでも、わくわくしますね。だから、これまでの経験を体系的に整理して、そろそろ気象に関する「講師」業も始めたいな・・・なんて。
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見ていて「面白い」と感じる「企業ホームページ」の条件

2013年11月13日 | オピニオン・コメント
 様々な企業や事務所の公式ホームページを見ていると、面白い事に気付きます。

 近年、企業を支えるスタッフの姿が垣間見える、一人一人の「個性」や「キャラクター」が現れるホームページが多くなってきたように感じます。例えば、会社の公式ホームページの中にわざわざ「スタッフブログ」を開設して、スタッフが代わる代わる自分の業務や趣味、日常について日記を綴っていくものです。

 確かに「そんなものを公開して何の意味がある」という否定的な見方もあると思います。しかし、私はこの試みには好意的な印象を持っています。

 ホームページはあくまで「企業」の紹介ですが、その本質は一人一人のスタッフという「個人」の集合体です。その「企業」の中では、どんな「人」がその商品を企画して、どんな「人」が作っているんだろう。そして、どんな「人」が売っているんだろう。その「人」の顔や姿が見える方が、より消費者にとっても親近感がわき、信頼にもつながっていくと思うのです。例えば、スーパーの生鮮食品売り場でも、生産者の顔写真や直筆のメッセージなどをつけてアピールしていますね。

 「企業の看板」が通用するのは、所謂「大企業」などの「有名企業」だけであって、特にこれから発展しようとする「ベンチャー企業」では、スタッフの一人一人が企業の看板である、と私は思います。販売店でも、「この人から買いたい」「この人の話を聞きたい」、さらには「この人だから買いたい」「この人だから話を聞いてみたい」と思わせるスタッフが一人でも多い方が良いでしょう。スタッフの一人一人に光を当てて、個々の持ち味が引き出される事により、顧客も親近感や信頼感を抱きやすくなる。これも一つの「営業」手法になるんじゃないかな・・・。

 少なくとも私は、スタッフ一人一人の顔(顔写真と言う意味ではなく、その存在や個性、人間味。またスタッフ全員とは言わない)が見えてこないホームページには、面白みも魅力も感じません。もし、「企業のPR」が目的なら・・・(他に利用目的や実用性があるなら話は別です)。どんな会社も結局はスタッフあっての会社なんです。だから、「人間味」の無い企業アピールは「味気無い」ですね。ホームページも一つの集合体とするならば、その中に色々な個性があっても良いじゃないか、と私は思います。
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空気中に含まれる水蒸気

2013年11月11日 | お天気のあれこれ
 上昇気流に伴って雲が出来、が降ります。このメカニズムには、空気中に含まれる水蒸気(水分)が重要な役割を果たしています。

 そこで、簡単な空気の塊を考えてみましょう。空気の塊の中には水蒸気が含まれています。


 これはまるで、空気の塊が「コップ」を持っていて、その中にを蓄えているようなものだと考えることが出来ます。

 実はこのコップは、ただのコップではありません。ちょっとした仕掛けのあるコップなのです。ちょっと、気になりますね。


 実は、このコップは周囲の気温によって、大きく膨らんだり、小さく萎んだりするのです。

 このコップの大きさ(容積)のことを飽和水蒸気量と言い、コップ一杯に水が入った状態のことを飽和と言います(そう、中学校時代の理科で勉強した、あの訳のわからない、難しい分野ですね)。

 続いて、すでに水の入っているコップが、周囲の気温低下に伴って縮んでいったらどうなるか、考えてみましょう。



 もちろん、コップは縮みますが、コップの中に入っている水の量は全く変わりません。やがて、水の量がコップの大きさよりも大きくなってしまいます。つまり、縮んでしまったコップの中に、水が収まりきらなくなるのです。

 このコップからあふれ出した水は(もはや抱えきれないので)空気の塊の外に放出されます。これが凝結です。

 ちなみに、中学理科では「飽和水蒸気量」を用いますが、気象学では「飽和水蒸気圧」を用います。

 コップの中に水が入っているとき、コップは水に圧力を加えていると考えられます。水の量が増えれば増えるほど、それだけより大きな圧力をかけるわけです。また、コップの容積が大きいほど、コップが水に加え得る(水を支えうる)圧力の許容量も大きくなる、と言うことです。

 結局、コップの中に含まれる水の量に注目したものが「飽和水蒸気量」であり、コップが水に加える(水を支える)圧力に注目したものが「飽和水蒸気圧」になります。
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冬型の気圧配置と上空の寒気

2013年11月10日 | 気象情報の現場から
 低気圧や寒冷前線は東へと抜けて行ったようですね。どうりで午後には雨が強かった。


 さて、気圧配置を見ると「冬型の気圧配置」になってきました。

 テレビの天気予報でも
 「上空では平地でも雪を降らせる寒気
 なんてフレーズが( ̄▽ ̄;)。嫌ですね~

 ちなみに「上空の寒気」について良く使われるのは主にこんなパターンです。

・上空5500m付近(500hPa)で -36℃以下・・・大雪の目安
・上空5500m付近(500hPa)で -30℃以下・・・ 雪の目安
・上空1500m付近(850hPa)で  -6℃以下・・・(平地等での)雪の目安
・上空1500m付近(850hPa)で  -3℃以下・・・(平地等での)霙の目安
・上空1500m付近(850hPa)で   0℃以下・・・(山間部での)雪の目安
 (※数字の表記は多少変わる事があります。)

 ちなみに、地上における海面更生気圧と、上空の850hPa、500hPa等圧面のイメージはこんな感じです。



 ちなみに、高層天気図の詳しい解説は「高層天気図の見方・ポイント解説」まで。
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東北地方の日本海側および北陸地方で特に大雪となりやすいのは・・・

2013年11月10日 | お天気のあれこれ
 冬が近づいてきます。

 冬と言えば、やはり日本海側の地域、特に東北地方の日本海側および北陸地方では大雪という試練の季節でもあります。なぜ、この地域で特に大雪となりやすいのか。その辺の事情を取り上げてみます。

 冷たい冬の季節風は、遥かシベリアの方から日本海上を経て日本列島に吹き付けてきます。その日本海上では、対馬暖流の北上が卓越します。


 シベリア付近に生じるシベリア気団冷たく乾いた空気の集団です。しかし、日本海上を吹走する際に、海面から水分を補給され、湿っていきます。さらに対馬暖流の影響で海面から熱エネルギーも補給され、対流が活発になっていきます。


 どれだけの間、このような補給を受け続けるかによって、その後の雲の発達度合いも変わってきます。


 つまり、この吹走距離が長ければ長いほど、海面からの熱と水蒸気の補給量は多くなります。すなわち対流がより活発化し、雲に含まれる水分量(つまり、その雲からもたらされる雪の量)が増す、ということになるのです。これらの一連の過程に伴って、背の低い雪雲が生じる。この高さは通常2000~3000m程度です。


 さらに北陸地方の降雪を考える上では、日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)の発生も重要です。朝鮮半島北部の山岳の影響により、シベリア気団からの寒気の流れが二分された後、下流側で再び合流する際に収束線(収束帯)を形成します。これを日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)と言います。JPCZのライン上では、しばしば小さな低気圧が発生し、その中心では積乱雲が発達します。これらがラインに沿って北陸地方に近づいてくるのです。
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雪水比の考え方

2013年11月09日 | お天気のあれこれ
 新潟県も、山形県も週明けには初雪?との可能性もあるようですので、週間天気予報を見るときは「天気」だけではなく「気温」も見ると良いでしょう。「気温が2℃を下回るとみぞれが現れやすくなり、1℃以下で概ね雪になりやすい」かもね。

 雪は「フワフワ」したものから「ベチャー」っとしたものまで様々ですが、一般的に気温が低ければ「フワフワ」しやすく、逆に高ければ「ベチャ」っとなりやすいことは感覚的に理解できます。

 天気予報では、降水量ミリ(mm)単位、降雪量センチ(cm)単位で表されますが、「同じ降水量(ミリ)でも気温によって、降雪量(センチ)は変わる」という事です。

 この「何ミリの降水量が何センチの降雪量に相当するか」を表す指標として「雪水比(せっすいひ)」が用いられます。これは文字通り「降雪量と降水量の比」という事です。

 この雪水比(cm/mm)は「気温」によって変わるので、「気温の関数」として扱われます。従って、降水量と気温の予報が求められると、予想気温から雪水比を決定し、予想降水量にこの雪水比を乗じることで、予想降雪量を求めることが出来ます。

 こちらのグラフは、私が以前「パパッ」と算定した簡易的な雪水比の関数です。これは新潟県内の観測データを基に分析したものですが、大雑把に言って「気温が2℃を下回るとみぞれ現れやすくなり、1℃以下で概ね雪になりやすい」感じですね。


【出典】
http://www.metsoc.jp/tenki/pdf/2013/2013_07_0089.pdf

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高層天気図の見方・ポイント解説

2013年11月09日 | お天気のあれこれ

 昨日の地上天気図に引き続き、今日は上空の様子を表す高層天気図のポイントを簡単にまとめてみました。



 例えばこのような地上天気図がある場合を考えてみましょう。このような低気圧や前線があるとき、上空の様子はどうなっているのでしょうか?

 同じ日の同じ時刻の上空の天気図です。



等圧線の代わりに等高度線が引いてあります。単位はm(メートル)を用います。この図は5200~5800m付近の様子を表していることになります。それにしても、この図面は何を基準に描いているのでしょう・・・。

 実は、気圧が「500hPa」になる高さをつなげて一つの面として表しています。地上天気図では海面高度(海抜0m)を基準としていますが、上空の天気図(高層天気図)は気圧の等しい面等圧面)上の天気図を描いているのです。

 地上天気図と高層天気図の違いをイメージで描くとこんな感じです。



 高層天気図では「等高度線の形」(等圧面の凹凸)に注目します。上の図で凹んでいる部分をトラフ(=谷)、膨らんでいる部分をリッジ(=尾根、峰)を言います。

 このような等圧面の高度がどんな意味を持つのでしょうか?

 ここで、500hPa面高度が比較的高い所(面A)と低い所(面B)を比較してみましょう。大気の様子を簡単な柱に置き換えて考えてみます。このような(仮想的な)空気の柱を「気柱」と言います。



 面Aと面Bは高さは見るからに違いますが、各面上の気圧は同じ500hPaです。気圧とは「その真上に乗っている大気の重さによって生じる圧力」なので、少なくとも、A、Bの真上に乗っている大気の重さは同じ、という事になります。



 500hPa面よりも下の部分の重さは、A側の体積の方が大きいので、より重いと考えることが出来ます。



 従って、「地上での気圧」を考えると「A側の方が気圧が高い」ということになります。つまり、等圧面高度が高い所は地上の高気圧、等圧面高度が低い所は地上の低気圧に相当する、ということです。



 もう少し高度を下げてみて、1200~1600m付近の天気図も見てみましょう。この図は、気圧が「850hPa」になる高さをつなげて一つの面として表しています。



 この高さでも、日本付近はトラフになっているようですね。そういえば、地上天気図ではこの辺に、低気圧が2つありましたね。

 ここまで見てきた上空500hPa面、850hPa面の各等圧面の高度と、地上の気圧(海面更正気圧)の3次元イメージを重ねてみましょう。 



 こうしてみると、3つの面の凹凸は概ね一致しているようですね。500hPa面や850hPa面で凹んでいる部分をトラフ、膨らんでいる部分をリッジと言います。

 そして、一番下の海面更正気圧の面の凹んでいる部分は低気圧、膨らんでいる部分は高気圧です。

 この図からは、上空のトラフと地上の低気圧、上空のリッジと地上の高気圧がそれぞれ対応していることがわかりますね。

 冬の間、テレビやラジオの天気予報では「上空5500m付近で-XX℃の強い寒気」「上空1500m付近で-XX℃の強い寒気」という言葉が頻繁に使われるようになると思います。

 この上空5500m付近と言うのは500hPa面、そして上空1500m付近と言うのは850hPa面における気温を指します。テレビやラジオの天気予報を、よくチェックしてみて下さいね。

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地上天気図の見方・ポイント解説

2013年11月08日 | お天気のあれこれ

 気象情報を理解する上で欠かせないものと言えば・・・それは「天気図」。テレビや新聞、インターネットなどでも見ることのできる地上天気図のポイントを簡単にまとめてみました。

 地上天気図とは例えばこんな感じですよね。



 地図の上に、白い線が何本も描かれ、さらには「」や「」というマーク。さらにはおでんに入っているハンペンカマボコがつながったような記号・・・。実は、これらの一つ一つにも、ちゃんとした「名前」があるのです。

 それでは、名前を書き込んでみますね。



等圧線高気圧低気圧、すべて「」という字が入っていますね。さて、この「圧」とは一体、何の「圧力」なのでしょうか?

 これは「大気」の圧力、つまり「気圧」です。気圧とは、その真上に乗っている大気の重さがズッシリと圧し掛かって生じる圧力のことです。単位にはhPa(ヘクトパスカル)を用います。



 つまり、頭上に乗っている大気が「重い」と気圧は「高く」なり、「軽い」と気圧は「低く」なるわけです。

 この結果、周囲よりも気圧の高い所が「高気圧」、周囲よりも気圧の低い所が「低気圧」になります。そして空気は、気圧の高い所から低い所に向かって押し込まれることで移動します。これがとなるのです。



北半球では、高気圧の中心からは時計回りに風が吹き出し、低気圧の中心に向かって反時計回りに流れ込みます。

 低気圧に流れ込んだ空気はそのまま上へ上へと昇り、上空で雲を生み出します。その後、いずれは高気圧の中心に向かって吹き降りてくるのです。


 続いて、前線とは、北からの「冷たい空気(寒気)」と南からの「暖かい空気(暖気)」がぶつかり合う時に、その境目として現れます。温暖前線寒冷前線の違いは、寒気と暖気のぶつかり方によるものです。



寒冷前線の場合は、既に暖気が存在している所で、寒気がその下にムリヤリ潜り込む形になります。このため先に存在している暖気はグワーッと上に持ち上げられて、真上に向かう上昇気流となります。

温暖前線の場合は、既に寒気が存在している所で、暖気がその上を駆け上がっていく形になります。従って、寒気の斜面上を上昇するような上昇気流になります。

 このような上昇気流の違いは、前線上の雲の形にも現れてきます。



寒冷前線に伴う上昇気流は、真上に向かう上昇気流となります。従って、前線上に生じる雲も、まっすぐ上に広がる背の高い雲(積乱雲)になります。

温暖前線に伴う上昇気流は、寒気の斜面上を上昇するため、前線付近に生じる雲も平べったい層状の雲(乱層雲)になります。



 北側の寒気と南側の暖気が接触すると前線帯となり、その上で反時計回りの渦を生じるようになると低気圧が発達します。

 渦に伴って東側では、南からの暖気が北側の寒気の上を昇って行きます。その一方で、西側では北からの寒気が南の暖気の下に潜り込みます。

 等圧線から風向きを読む方法については「等圧線から風向きを読む」をどうぞ。

コメント (4)
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ふと思った事・・・

2013年11月07日 | オピニオン・コメント
 これまで様々な職場を経験してきて・・・

 周囲(特に部下)との円滑なコミュニケーションの機会が無い、または(上→下の)一方的なコミュニケーションになっている人ほど、標語などに「コミュニケーション」と言うフレーズをやたら頻繁に掲げるような気がするのは、単なる気のせいでしょうか・・・。本当に部下との円滑なコミュニケーションが図られているのであれば、何もわざわざ「コミュニケーション」なんて言葉を掲げる必要など無いのではないか。

 本来、標語とは「組織の方向性や目標・目的」が主体であって、そこに向かうためのプロセスや手段として「円滑なコミュニケーション」と言うものが位置付けられるのであり、そのコミュニケーションをわざわざ標語に掲げなければならないという事は、既にその組織において「円滑なコミュニケーションが機能していない」という事の現れなのではないか・・・と。(逆に、そういったものに無頓着なのでコミュニケーションと言う言葉を敢えて掲げない、という見方も出来なくはないが・・・)

 特に「コミュニケーション能力」と言う言葉を何のためらいも無く振り回す人ほど、実は部下との円滑なコミュニケーションを図る事が出来ていなかったりする・・・なんて事も。もちろん、部下の側に本当に「コミュニケーション能力」なるものが欠如している場合も少なくないでしょう。かく言う、この私自身も「コミュニケーション能力」なるものには正直余り自信がありません・・・が、その事を自覚しています。だからこそ、仇とならないように細心の注意を払うのです(でも正直、自覚しているだけマシかもしれない)。

 この「コミュニケーション能力」の定義がまた難しいのですが、基本は「自分の考えや思いを相手に伝える能力」そして「相手の考えや思いを汲み取る能力」であろうと思います。しかも、「ただ伝えれば良い」というものでは無いでしょう。無理矢理、立場の上下や権力で相手をねじ伏せるのではなく、「相手の立場や考え方も尊重しつつ、その上で的確に(相手の目線に立って?)自分の意見を述べ、また、その一方で相手の考えや思いを的確に汲み取る」ことが大切になるのではないか、と思います。要は思いやりの心でしょうか。

 私もまた、どこまで「相手の立場や考え方も尊重しつつ、その上で的確に自分の意見を述べ、また、その一方で相手の考えや思いを的確に汲み取る」ことが出来ているのか、正直、余り自信はありません・・・。しかし、極力これを心掛けて行きたいと思います。わざわざ「コミュニケーション」なんて言葉を標語に掲げなくても良い職業人を目指したいものです。

 それにしても「コミュニケーション能力」なんて言うカタカナ言葉はいつから流行りだしたのか?以前は何と言う日本語で表現されていたのだろうか?
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