計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

2024年07月25日の庄内・最上地方の大雨

2024年07月26日 | 山形県の局地気象
 2024年7月25日は山形県内で大雨に見舞われました。さらには、一時的に大雨特別警報が発表されるに至りました。まずは、被害に遭われた皆様に、お見舞いを申し上げます。

 この間、梅雨前線が日本海北部を通って北日本へ延びており、南西から暖かく湿った空気も流れ込んでいました。大気の状態も不安定になり、線状降水帯が発生したようです。持続的な大雨に見舞われた地域は「梅雨前線の南側(佐渡島2~3個分)」に位置しており、ちょうど対流が活発な部分に重なったものと推察されます。

 2024年7月25日06時~翌26日06時の山形県の「24時間降水量」の分布を見てみましょう。比較のため「平年の7月の降水量(1か月分)に対する比率(%)」を併記しています。


 左側の図は「24時間降水量」です。庄内~最上地方を中心に顕著な降水が観測されました。また、右側の図の「平年の7月の降水量に対する比率」が100%を超える地域も見られました。すなわち、この24時間で1か月分に相当~それ以上の大雨に見舞われたということです。


 続いて、2024年7月25日06時~18時の12時間について「3時間毎の降水量の推移」を見てみましょう。初めは庄内地方を中心に顕著な降水が観測されました。その後、最上地方まで広がり、やがて村山地方や置賜地方の一部に達したようです。




 2022年8月3日にも置賜地方を中心とする大雨(記事1,記事2)に見舞われており、その影響が心配されます。
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梅雨明けの時期

2024年07月19日 | 気象情報の現場から
 6月9日の「梅雨入りの時期」と同様に、梅雨明けの時期も検討してみます。

 さて、この記事を書く時点(2024年07月19日)で、沖縄・奄美・九州南部・四国・東海・関東甲信の梅雨明けが発表されました。本格的な夏が近づいているのを感じます。

 まずは、1951-2023年の梅雨明けの時期を地方毎に「箱ひげ図」で比較しました。沖縄・奄美では6月下旬~7月初旬、その他の地域では7月半ば~下旬が多いようです。

 前回も述べた通り、梅雨入り・梅雨明けは「人間の主観的な判断」によるものであり、明確な基準があるわけではありません。その意味では「概ねこの日辺りの時期」という目安です。「平年値」も公表されていますが、変動の幅が広いことが見て取れます。

 平年と比べて「○日早い」「○日遅い」とも言われますが、この「○日」が概ね±5日程度であれば、「通常の変化の範囲内」と言えるでしょう。

 その事を踏まえつつ、「梅雨明けが年々早まる、または遅くなっているのかどうか」が気になる所です。そこで、梅雨明け日の年次変化の傾向(経年トレンド)をを調べてみました。ここでは、北陸地方と東北地方南部を例に取り上げてみます。

 まず、北陸地方の場合は回帰直線(赤線)が右上がりになっています。しかし、相関係数は0.1387と小さいため、年(x)と入梅時期(y)の間に相関があるとは言えません。


 続いて、東北地方南部の場合も回帰直線(赤線)が右上がりになっています。こちらも相関係数は0.1793と小さいため、年(x)と入梅時期(y)の間に相関があるとは言えません。

 少なくとも、梅雨明けの時期が年々「早まる」または「遅れる」と言った傾向は見られないと言えるでしょう。引き続き、週間予報の推移を見守りましょう。
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梅雨末期の降水

2024年07月09日 | 山形県の局地気象
 前回の記事では、今年(2024年)6月の山形県内の降水量が平年よりも低かったことを紹介しました。

 暦は7月に入り、梅雨前線も日本海まで北上してきました。この影響で、山形県でも昨日(8日)と今日(9日)と2日連続でまとまった降水が見られました。


 左は昨日(8日)の6時~12時の6時間降水量の分布です。梅雨前線が日本海から東北地方に延びており、この前線に向かって暖かく湿った空気の流入が顕著となりました。このため、前線付近の対流が活発となり、山形県内でも強い雨となりました。これで、水不足は緩和されるのでしょうか。

 右は本日(9日)の6時~12時の山形県内の6時間降水量の分布です。新潟県村上市から山形県の庄内・最上地方にかけて、まとまった雨が観測されました。新潟県村上市付近では朝日連峰、山形県最上町付近では奥羽山脈に沿うような形で降水量の極大域が形成されています。土砂災害や河川の増水などにも注意が必要です。


 続いて、本日(9日)の気象場のポイントを見てみましょう。梅雨前線が日本海にあって、東西に長く延びています。また、南西からの暖かく湿った空気(高相当温位)が太平洋高気圧の縁辺に沿って北上し、梅雨前線に持続的に流入しました。上空の気圧の谷の影響も加わり、前線付近では対流が活発となりました。

 梅雨末期は、急な強い雨や大雨のおそれもあるので、最新情報の確認を心掛けましょう。まずは、お手持ちのスマホに「お天気アプリ」をインストール、またPCを使用される方は「お天気サイト」を幾つかブックマークに入れておきましょう。
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2024年6月の降水量

2024年07月05日 | 気象情報の現場から
 山形県と新潟県の6月の積算降水量について、平年値と今年(2024年)で比較しました。

 山形県の一部(北部の酒田・新庄)では平年よりも多い傾向が見られました。一方、その他の地点では、梅雨入りが平年より遅れたこともあり「少雨」傾向が顕著となりました。今後の水不足などの影響が気になる所です。


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