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計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

現在と将来の自動車の姿

2025年05月31日 | お天気のあれこれ
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現在と将来の電力エネルギー供給

2025年05月26日 | お天気のあれこれ
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梅雨前線の背景

2025年05月23日 | お天気のあれこれ
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地球温暖化に対する緩和策と適応策

2025年05月20日 | お天気のあれこれ
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地球温暖化の論点整理(脅威論と懐疑論)

2025年05月09日 | お天気のあれこれ
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角運動量と渦度を基にした「渦位」のイメージ

2024年09月06日 | お天気のあれこれ
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 4年前の記事「角運動量保存の法則」(2020-08-26)で、「気が向いたらまたの機会に…」と記していた「渦位」について、今回は書いていきます。

 さて、気象の世界では「渦位」とは「絶対渦度と安定度の積」と表記されることが多いようです。しかし、それだけでは直感的なイメージがなかなか浮かび上がりません。

 そこで今回は、「渦位」とは「角運動量と(絶対)渦度の性質を合体した物理量」との観点からイメージを描いていこうと思います。まずは「角運動量」と「渦度」のイメージをそれぞれ再確認し、その後で「渦位」のイメージを組み立てていきます。

1.角運動量のイメージを再確認

 過去の記事「角運動量保存の法則」(2020-08-26)も併せて御参照下さい。


 回転半径と回転速度の積が一定になる原理を「角運動量保存の法則」と言います。

 いま、回転軸の周りを半径r[m]、角速度ω[rad/s]で円運動する質量m[kg]の質点を考えます。この時、質点mの速度v[m/s]はv=rωで表されます。

 ここで運動量は「(質量)×(速度)=mv=mrω」で定義されます。回転運動の場合は新たに、角運動量「(質量)×(半径)×(速度)=mrv=mrω2」という物理量を考えます。

 この角運動量が保存される「(角運動量)=(質量)×(半径)×(速度)=(一定)」というのが「角運動量保存の法則」です。


 例えば、円柱形の空気塊が回転している時に、周囲の上昇流に伴って空気塊が鉛直に引き延ばされると、その回転の勢いが増します。

 上の図では、左側の状態では回転半径が大きく、ゆっくりと回転しています。この空気塊が、何らかの理由で生じた上昇流によって、鉛直方向に引き延ばされると、右側のように細長くなってしまいます。

 つまり、容積は一定のまま、回転半径は小さくなります。先の「角運動量保存の法則」の考え方に基づけば、半径が小さくなる分、回転速度が増すことになります。


 空気塊を鉛直に引き延ばすような上昇流は、積乱雲による場合もあれば、日射による地表面の加熱の場合もあります。

 竜巻は「積乱雲に伴う活発な上昇流」によって発生するものです。この上昇流によって、空気塊は鉛直方向に引き延ばされることで、強い渦が形成されます。

 一方、つむじ風(塵旋風)は「地面が日射によって加熱されることで生じる上昇流」によって発生します。この上昇流によって、空気塊は鉛直方向に引き延ばされます。

 両者は一見すると形が似ていますが、上昇流の要因は異なります。


2.渦度のイメージを再確認

 渦度については、こちらの過去記事も併せて御参照下さい。
絶対渦度と相対渦度のイメージ(2018-01-18)
ベータ効果のイメージ(2018-01-19)


 流れ場の中に「羽根車」を置くと、羽根車はクルクルと回転しながら下流へ移動します。この回転の指標が「渦度」であり、回転軸上の「ベクトル量」として表されます。流れ場が水平面上にある場合、渦度ベクトルは鉛直方向に生じます。この渦度(鉛直成分)の大きさをζ、水平面上のベクトル場を(u,v)と表記すると、「ζ=(∂v/∂x)-(∂u/∂y)」の関係が成り立ちます。


 羽根車の回転と渦度の向きの関係は「右手の法則」で表すこともできます。右手の4本の指を回転の向きとすると、親指が渦度ベクトルの向きに対応します。正の渦度は「反時計回り」、負の渦度は「時計回り」の回転です。


 続いて、既に回転している羽根車(渦度ω)を「そっくりそのまま」別の回転状態にある回転台(渦度Ω)の上に乗せてみます。この時、羽根車の回転に伴う渦度は、回転台の上から見た場合と回転台の外から見た場合では、見え方が違ってきます。


 ここで、2人の観測者AとBに登場してもらいます。一緒に回転台に乗るAから見た羽根車の渦度は「ω」のままです。一方、回転台の外のBから見ると、渦度は「Ω+ω」となります。前者を「相対渦度」、後者を「絶対渦度」と言います。



 この「絶対渦度」と「相対渦度」の概念は、地球を取り巻く大気の流れに伴って生じる渦度を考える際に重要になります。「地球上にいる人」が「地球上で生じる渦度」を見た場合は「相対渦度」となる一方、「宇宙空間のある地点に固定された場所」から「地球上で生じる渦度」を見た場合は「絶対渦度」という事です。

 いま、自転する地球は「回転台」(渦度f=2Ω)に相当します。fの値は緯度φ°に応じて変化し、f=2Ωsinφです。


 さらに大気の流れに伴い、「ある地点」で別の渦度が生じると、これは「羽根車」(渦度ζ)に相当します。この時、羽根車の渦度は地球上のAから見ると「ζ」、宇宙空間のBから見ると「f+ζ」となります。


3.渦位のイメージを構築

 以上の内容を踏まえて、渦位のイメージを組み立てていきます。


 流れ場の中に「羽根車」を置くと、羽根車は回転しながら下流へ移動します。この回転の指標が「渦度」です。また「角運動量保存則」によれば、回転する円柱形の空気塊が鉛直に引き延ばされると、その回転の勢いが増します。これらの概念を一つにまとめると「渦位」のイメージが浮かび上がります。


 流体要素の「回転」と「伸縮」は表裏一体です。流れ場の面を水平面とすると、水平面の回転が変われば鉛直方向にも伸縮し、また鉛直方向に伸縮すれば水平面の回転も変わります。このように「互いのバランスを取るように」流体の挙動は形作られます。ここで、回転の度合いは「渦度」に相当し、伸縮の度合いは「角運動量」に相当します。

 ここで「空気塊の上端と下端を挟む平面が何なのか」によって、渦位を表現する式が変わります。例えば、浅水系の順圧大気であれば「等圧面」が考えられます。また、傾圧大気の場合は「等温位面」が多く用いられます。この上下の面の間隔が変化することで、流体要素が引き延ばされたり、縮められることで、回転の勢いも変化するわけです。


 ここからは、傾圧大気の場合を考えてみます。簡単のため、初期状態では(上図の上段のように)圏界面と等温位面は水平であると考えます。また、温位の分布については「下層で低く、上層で高い」ものとし、温位の鉛直傾度は対流圏より成層圏で大きいものとします。

 ここで、上下を等温位面で挟まれた空気塊の渦位を考えた場合、圏界面付近で渦位の正偏差を生じると、その付近では(上図の下段のように)圏界面が次第に垂れ下がります。これに伴って、等温位面にも変化が生じます。


 ここで、これまでのイメージを描き加えてみましょう。圏界面が垂れ下がった領域では、等温位面の間隔が広がるため、空気塊が鉛直に引き延ばされます。このため、正の回転が強まります。渦位の正偏差の成せる業ですね。

 また、対流圏上部の等温位面が一部、圏界面の上方に取り込まれるため、部分的に等温位面が盛り上がります。従って、この付近では周囲よりも温位が低くなります。この影響は下層にも及ぶため、下層で寒気ドームを形成します。


 今度は視点を変えて、等圧面と温度場の観点から見てみましょう。

 渦位の正偏差と言うことは「正の回転(低気圧性循環)」となるので、その西側では北風成分、東側では南風成分が卓越することになります。ここで、北半球の等圧面の高度分布を考えてみると「南側で高く、北側で低い」傾向があります。

 つまり、渦位の正偏差から見て、西側では北風成分に伴い「低高度の移流(高度が下がる)」、東側では南風成分に伴い「高高度の移流(高度が上がる)」を生じます。従って、西側では下降気流、東側では上昇気流の場の構造が浮かび上がります。

 さらに、北半球の等圧面の温度分布を考えてみると「南側で高く、北側で低い」傾向があります。つまり、渦位の正偏差から見て、西側では北風成分に伴い「寒気移流」、東側では南風成分に伴い「暖気移流」を生じます。


 以上をまとめると、渦位の正偏差の周囲では低気圧性循環が卓越し、その下層では寒気ドームが形成されます。また、西側では寒気移流の下降流場、東側では暖気移流の上昇流場が顕著になる構造が描けるのです。

 さて、「絶対渦度」は「非発散・断熱・摩擦無し」の条件で保存されるのに対し、「渦位」は「断熱・摩擦無し」の条件で保存されます。収束・発散があっても保存されるという点で、大気の流れを追跡するのに都合が良いという利点があります。

 対流圏中層(500hPa面)では、他の高度より収束・発散が小さいため「相対渦度」が用いられます。その一方で、対流圏界面付近では「渦位」が用いられます。

 低気圧の発達や上空の寒冷渦などの成因を考察する上で、圏界面付近の渦位の偏差を把握することも重要であることを述べて、この記事の締め括りとしましょう。

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速度ポテンシャルΦ と 流れ関数(流線関数)Ψ

2024年08月12日 | お天気のあれこれ
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https://ameblo.jp/qq-otenki-s/entry-12897846524.html


 大気の流れを表す指標には「速度ポテンシャルΦ」と「流れ関数(流線関数)Ψ」があります。

 大気は速度ポテンシャルΦの低い方から高い方に流れ、その極大・極小は収束・発散の中心を表します。また、流れの速度ベクトルの向きは、速度ポテンシャルの等値線(Φ=一定)に対して直角です。簡単な場を考えてみましょう。


 一様な西風と南風の2つの場合を考えてみます。速度ポテンシャルΦは、東西風(u成分)の場合は東西方向(x軸方向)に勾配を持つ一方、南北風(v成分)の場合は南北方向(y軸方向)に勾配を持ちます。

 西風の場合は東西位置x、x+δxにおける速度ポテンシャルΦ(x)、Φ(x+δx)と風のu成分の関係を差分で表現し、u>0(西風)となる条件を求めます。この結果「Φ(x+δx)>Φ(x)」となり、「(風下のΦ)>(風上のΦ)」となります。

 南風の場合は南北位置y、y+δyにおける速度ポテンシャルΦ(y)、Φ(y+δy)と風のv成分の関係を差分で表現し、v>0(南風)となる条件を求めます。この結果「Φ(y+δy)>Φ(y)」となり、「(風下のΦ)>(風上のΦ)」となります。


 こちらの図では、速度ポテンシャルΦが同心円状に分布する場を考え、その中心がΦの極大・極小になる場合を考えてみましょう。速度ポテンシャルΦの値が低い方から高い方に風は流れるので、中心が極小の場合は、中心から周囲に向かって風が流れます(発散)。一方、中心が極大の場合は、周囲から中心に向かって風が流れます(収束)


 続いて、大気は流れ関数(流線関数)Ψの高い方を右に見るように流れ、その極大・極小は高気圧性・低気圧性循環の中心を表します。また、流れの速度ベクトルの向きは、流れ関数(流線関数)の等値線(Ψ=一定,流線)に沿った(接線)の向きとなります。簡単な場を考えてみましょう。


 一様な西風と南風の2つの場合を考えてみます。流れ関数(流線関数)Ψは、東西風(u成分)の場合は南北方向(y軸方向)に勾配を持つ一方、南北風(v成分)の場合は東西方向(x軸方向)に勾配を持ちます。

 西風の場合は南北位置y、y+δyにおける流れ関数(流線関数)Ψ(y)、Ψ(y+δy)と風のu成分の関係を差分で表現し、u>0(西風)となる条件を求めます。この結果「Ψ(y)>Ψ(y+δy)」となり、「Ψが高い方を右手に見るように」流れを生じます。

 南風の場合は東西位置x、x+δxにおける流れ関数(流線関数)Ψ(x)、Ψ(x+δx)と風のv成分の関係を差分で表現し、v>0(南風)となる条件を求めます。この結果「Ψ(x+δx)>Ψ(x)」となり、「Ψが高い方を右手に見るように」流れを生じます。


 こちらの図では、流れ関数(流線関数)Ψが同心円状に分布する場を考え、その中心がΨの極大・極小になる場合を考えてみましょう。流れ関数(流線関数)Ψの値が高い方を右に見るように風は流れるので、中心が極小の場合は、反時計回りに風が流れます(低気圧性循環)。一方、中心が極大の場合は、時計回りに風が流れます(高気圧性循環)。

 最後にもう一点、速度ポテンシャルの等値線と流れ関数(流線関数)の等値線は直交します。

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モンスーントラフ と モンスーンジャイア

2024年08月07日 | お天気のあれこれ
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 この記事を書いている2024年08月07日の時点で、日本の南海上には2つの熱帯低気圧が確認されています。梅雨が明けて、本格的な夏を迎えました。これから気になるのが、熱帯低気圧や台風です。

 熱帯低気圧や台風の発生するメカニズムは多様ですが、日本の南側の海上に見られる「モンスーントラフ」や「モンスーンジャイア」の動向も重要なカギとなります。

 日本の南側の海上では、まず南西から季節風(モンスーン)が流れ込みます。一方、太平洋高気圧の縁辺を回るように貿易風(東風)も流れ込むため、2つの流れが収束します。そこで形成される低圧部のことを「モンスーントラフ」と言います。この海域では熱帯低気圧や台風が発生しやすいのが特徴です。

 このモンスーントラフにおける低気圧性循環が成長することで、閉じた等圧線で囲まれた同心円状の低圧部(※)を形成することがあります。これを「モンスーンジャイア」または「モンスーン渦」と言います。この閉じた等圧線の直径は約2500kmにも及びます。また、モンスーンジャイアに伴う雲は、渦の中心から離れた東縁部~南縁部に形成されます。


 また、モンスーンジャイアと似た現象に「モンスーン低気圧」があります。こちらも閉じた等圧線で囲まれた同心円状の低圧部(※)となりますが、その直径は約1000km程度です。また、中心付近に対流活動を持たず、全体としてドーナツ状の雲分布を持つのが特徴です。

 いわゆる「台風」は中心付近で対流雲が組織化されるのに対し、「モンスーンジャイア」や「モンスーン渦」は中心ではなく周辺部で対流活動が活発になる傾向があります。

(※)実際の天気図上は、必ずしも綺麗に「閉じた同心円状」になるとは限りません。

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4種類の線状降水帯

2022年06月20日 | お天気のあれこれ
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 暦も6月に入り、梅雨前線の季節が近づいてきました。豪雨などの大雨に伴う被害が未然に防止されることを願って止みません。

 梅雨の時期はやはり「大雨」が気になります。集中豪雨のような大雨において重要な要因は、下層約1kmまでの範囲内に含まれる水蒸気量です。また、大雨がもたらされた結果、その上空3km程度の高さで湿舌が形成されます。

 さて、暖かく湿った空気が流れ込む等の要因で、大気の状態が非常に不安定になると、活発な対流が起こりやすくなります。このような場において、地形の影響等から誘発された上昇気流に伴って積乱雲が発生します。

 そして、様々な条件が重なると、積乱雲が列を成すような線状の激しい降水域(線状降水帯)が形成されます。今回は、線状降水帯の主な4つのパターンについて簡単なイメージを描いてみました。

(1) バックビルディング型

 下層の風と中層の風の向きが同じ場合、発生した積乱雲は中層の風に伴って風下側に移動します。そして、この背後には新たな積乱雲が発生します。

 このように同じ場所(後方)で積乱雲が次々に発生するパターンを「バックビルディング型」と言います。なお、バックビルディング型の線状降水帯については、過去にこちらの記事にも書きました。




(2) バックアンドサイドビルディング型

 下層の風と中層の風の向きが直向する場合、発生した積乱雲は中層の風に伴って風下側に移動します。ただ、下層の風が側方から加わるので、積乱雲の移動方向は少しずつ斜めに傾いていきます。そして、この積乱雲の背後や側方で新たな積乱雲が発生します。

 このように後方に加えて側方でも積乱雲が次々に発生するパターンを「バックアンドサイドビルディング型」と言います。上から見ると、雲や雨の領域は細長い三角形(ニンジン型)を形成しています。(中層の風の)風下側を頂点とし、風下に向かって横幅が広がるためです。




(3) スコールライン型

 下層の風と中層の風の向きが逆向きの場合、両者のぶつかり合う領域(収束帯)で上昇気流を生じます。この上昇気流に伴って積乱雲が発達するため、収束線収束帯)に沿って幾つもの積乱雲が列を成すような形となります。このようなパターンを「スコールライン型」と言います。


(4) 破線型

 局地前線上に暖かく湿った空気が流入することで、前線上に積乱雲が発生します。もともとは、前線上に個々の積乱雲が生じるため、破線を描くような形となります。これらの積乱雲の発達に伴い、その領域が広がることで線状の降水帯となります。



 日本で多く見られるのは、「バックビルディング型」と「破線型」と言われています。

 ※以上、4つのパターンについて紹介しましたが、実際の雲列を取り巻く風の流れはとても複雑です。その詳しい立体構造については、この記事では割愛しています。



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オメガ方程式のイメージ

2022年06月12日 | お天気のあれこれ
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 気象予報士試験の勉強では必ず登場する「オメガ方程式」。その姿は見る者を圧倒します。



 少し解りやすくするために、次の2つの式を適用すると



 このように書き直すことができます。


 鉛直運動(鉛直流の分布)は「渦度移流の鉛直シア」と「温度移流」によって生じる、という意味です。また、上の式には書いておりませんが、「非断熱効果」を加えることもあります。

 数式自体が長く、複雑な形をしているので、その意味するイメージを描きにくいのが特徴です。試験対策としては、「鉛直流」の要因を考える際は「渦度移流の鉛直シア」「温度移流」あとは「非断熱効果」に着目する、と言うことを押さえておけばよいでしょう(実際、私がそうでした)。

 この記事では、「ごく簡単な条件」を想定することで、この複雑・難解な「オメガ方程式」のイメージを読み解いていきます。

 例えば、次のような場を考えてみましょう。x軸は東西方向、y軸は南北方向を表します。ここで、擾乱はy軸,p軸方向に一様とし、鉛直シアを持つ西風の一般流U(p)の場に重なるものと仮定します。


 今回は4つの等圧面(500,700,850,1000hPa)に着目します。
 想定する領域の長さをLxとし、500hPa面は渦度ζw500(西端)とζe500(東端)、700hPa面は鉛直流ω700(中央)、そして850hPa面は温度Tw850(西端)とTe850(東端)とします。また、一般流として等圧面毎にU500、U700、U850、U1000とします。これらは一様に西風とします(但し、上空ほど速度が増す)。

 つまり、「500hPa面と1000hPa面の間の渦度移流の鉛直シア」および「850hPa面の温度移流」から「700hPa面の鉛直流」が決まることを考えています。FAX天気図のイメージです。

 擾乱はy軸,p軸方向に一様と仮定したので、これらの物理量は「x軸方向のみ」を考えます。



 ここで、解ωの関数形について、次のような三角関数で表すことができると仮定します。



 続いて、微分演算子、一般流の鉛直シア、1000hPa面の一般流を次のように近似します。



 以上を「x軸方向のみ」のオメガ方程式に適用すると、次のような式が得られます。



 こうして簡単な代数方程式の形に帰着しました。あとは右辺の各項について見てみましょう。

右辺第1項について
・ζe500<ζw500 ⇒ (-ω700)>0 の側に作用する(上昇流)
・ζe500>ζw500 ⇒ (-ω700)<0 の側に作用する(下降流)

右辺第2項について
・Te850>Tw850 ⇒ (-ω700)>0 の側に作用する(上昇流)
・Te850<Tw850 ⇒ (-ω700)<0 の側に作用する(下降流)

 このように、渦度や温度の「移流」が「傾き」の形で表現されるので、イメージがつかみやすくなります。
 
 さて、上昇流となる場合のイメージ図は既出ですので、下降流となる場合のイメージ図も掲載しておきましょう。


 ちなみに、Qベクトルを用いると、オメガ方程式は次のように書き表されます。


 とってもシンプルになりました。

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水平温度場の変化と鉛直循環を結ぶQベクトル

2022年06月11日 | お天気のあれこれ
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 1か月ほど前の記事「前線形成と鉛直循環の励起」では、水平面上において地衡風による温度場(温位場)の変化が生じると、二次的な鉛直循環が励起されることを紹介しました。

 そして、この鉛直循環は、地衡風による温度場(温位場)の変化によって生じた温度風バランスの崩れを解消する(基に戻す)働きを持っていました。


 水平面で地衡風の収束が生じ、フロントジェネシス(前線強化・温位傾度が増大)を生じると、鉛直面ではフロントリシス(前線消滅・温位傾度が減少)の二次循環を生じます。

 一方、水平面で地衡風の発散が生じ、フロントリシスを生じると、鉛直面ではフロントジェネシスの二次循環を生じます。

 このような「水平面上の温度場(温位場)の変化」と「鉛直循環の発生」を関連付ける指標として「Qベクトル」が用いられます。Qベクトルの定義は、主に次の式が用いられます。


 この式を、水平面上におけるフロントジェネシスとフロントリシスの各ケースについて適用してみます。まずは、各ケースについて、ごく簡単な条件を設定してみましょう。



 水平面(x-y平面)上に等温線を3本引いています。つまり、y方向に温度傾度を生じています。ここで、同じくy方向の地衡風を仮定します。

 いま、対象領域(水色の正方形の中心「●」におけるQベクトルを考えます。簡単のため、正方形のx方向、y方向の距離(Δx、Δy)は単位長さ(=1)とします。

 フロントジェネシス(左側)では、y方向の地衡風(上・-v,下・+v)が対象領域の中心に向かうように収束しています。このため、温度傾度が増大する等温線の間隔が狭まる)ように推移します。

 フロントリシス(右側)では、y方向の地衡風(上・+v,下・-v)が対象領域の中心から離れるように発散しています。このため、温度傾度が減少する等温線の間隔が広がる)ように推移します。

 各ケースで仮定した条件をQベクトルの定義式に適用します。


 このように、各ケースにおけるQベクトルが得られました。式だけを見ても判りにくいので、先ほどの図にQベクトルを重ねて書いてみます。Qベクトルは赤で示しました。



 フロントジェネシスの場合(左側)、Qベクトルはy軸負の向きとなりました。等温線に垂直で、暖気側を指しています。

 フロントリシスの場合(右側)、Qベクトルはy軸正の向きとなりました。等温線に垂直で、寒気側を指しています。

 それで、Qベクトルと鉛直循環の間にはどのような関係があるのでしょうか。冒頭の図に倣って、立体的に考えてみましょう。


 冒頭の図をベースにQベクトルを重ねてみました。この結果、Qベクトルの指す側で上昇流、反対側で下降流となるような鉛直循環が励起されることが判ります。


 ここまでは、水平面上における等温線と地衡風が垂直に交わる場合を考えてきました。続いては、等温線と地衡風が互いに斜めの場合を考えてみましょう。


 今回は一例として、斜めの地衡風に伴って温度場自体が(等温線の間隔を保ちながら)回転するような場合を想定してみます。

 上の図で仮定した条件をQベクトルの定義式に適用します。


 得られたQベクトルを、図に重ねて書いてみます。これまでと同様にQベクトルは赤で示しました。

 Qベクトルはx軸、y軸共に正の向きとなりました。等温線に平行な向きを指しています。

 さて、一般的なQベクトルと鉛直流の関係については、Qベクトルを用いたオメガ方程式で説明されます。この辺の話はまたの機会に。

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ジェットストリークと鉛直循環の励起

2022年05月21日 | お天気のあれこれ
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 先日の記事「前線形成と鉛直循環の励起」では、下層の水平面上における前線の形成や消滅に伴って、鉛直面上にも二次循環が現れる、と言う話題に触れました。

 そこで、今回は上空の水平風の強弱に伴って生じる鉛直循環の話題に触れたいと思います。上空のジェット気流の中で、特に風速の大きい領域を「ジェットストリーク」と言います。

 次の図では、ある等圧面上のジェット気流の様子を模式的に表してみました。左側が西(風上)、右側が東(風下)に相当します。


 等圧面高度は下(南)から上(北)に掛けて低下します。ジェット気流を流れる空気塊に着目すると、北向きに気圧傾度力、南向きにコリオリ力が働いており、この両者が釣り合った地衡風となっています。

 (1)の段階では等高度線の間隔は広く、(2)の段階に進むとその間隔が狭くなっています。その後、(3)まで進むと再び間隔は広がる場を想定します。

 (1)→(2)の変化では、等高度線の間隔が狭まるので、気圧傾度力は強まります。これに伴い、コリオリ力も順応して強まります。両者の釣り合いの結果、地衡風の速度も大きくなります

 (2)→(3)の変化では、等高度線の間隔が広がるので、気圧傾度力は弱まります。これに伴い、コリオリ力も順応して弱まります。両者の釣り合いの結果、地衡風の速度も小さくなります

 このように、風上から風下にかけて等高度線の間隔が変化するのに伴い、気圧傾度力も変化します。ただし、気圧傾度力の変化コリオリ力の順応常に同時に進むわけではありません



 (1)→(2)に変化する途中の(1)’では気圧傾度力が強まるのに対し、コリオリ力の順応が遅れています。地衡風のバランスが崩れ、気圧傾度力の方が強い状態となり、空気塊は北側に引き寄せられようとします。つまり、従来の地衡風(西風成分)の他に、新たに非地衡風成分(南風成分)が励起されます。

 (2)→(3)に変化する途中の(2)’では気圧傾度力が弱まるのに対し、コリオリ力の順応が遅れています。地衡風のバランスが崩れ、コリオリ力の方が強い状態となり、空気塊は南側に引き寄せられようとします。つまり、従来の地衡風(西風成分)の他に、新たに非地衡風成分(北風成分)が励起されます。

 このように、コリオリ力の順応の遅れに伴って、(過渡的に)地衡風のバランスが崩れ、新たに非地衡風成分が励起されます。さらに、この非地衡風成分によって二次的な鉛直循環が作り出されます。


 風上側(1)’の循環は直接循環であり「フロントリシス」に対応します。(1)→(2)の変化は等高度線の間隔を狭める(フロントジェネシスに相当する)ものであるため、この状態を解消する(等高度線の間隔を広げる)方向に働きかける循環が現れます。

 風上側(2)’の循環は間接循環であり「フロントジェネシス」に対応します。(2)→(3)の変化は等高度線の間隔を広げる(フロントリシスに相当する)ものであるため、この状態を対抗する(等高度線の間隔を狭める)方向に働きかける循環が現れます。

 この結果、上層では次のような収束域と発散域を生じます。


 この図のように、下層からの上昇流が上層に達すると発散域となる一方、上層で収束すると下降流に転じます。

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前線形成と鉛直循環の励起

2022年05月10日 | お天気のあれこれ
【※】gooブログのサービス終了に伴い、アメーバブログに移転しています。
https://ameblo.jp/qq-otenki-s/entry-12897845936.html


 前回の記事「前線形成関数を構成する4要素」の続編です。

 前回の記事で述べたように、前線付近では温位傾度は増大します。このため、等圧面における温位傾度の時間変化で定義される「前線形成関数」を用いて、温位傾度の変化を評価します。

 今回は、水平面上の温位傾度の変化によって励起される「二次的な鉛直循環」(ソーヤー・エリアッセンの鉛直循環)について扱います。以下、フロントジェネシス(温位傾度が増大)する場合と、フロントリシス(温位傾度が減少)する場合について各々考えてみます。


【(1)フロントジェネシスに伴う直接循環の励起】


①初期状態

 等温位線は水平面上には横向きに、鉛直面上では傾斜している状態を想定します。また、水平面上では手前側が暖気(高温位)、奥側が寒気(低温位)に相当します。また、赤矢印は上層・下層における相対的な風速を表しており、互いに温度風の関係を満たした状態にあると考えます。つまり、風の鉛直シアのバランスが取れた状態と言うことです。

②前線形成

 このように温位傾度が増大すると温度風が強化されるので、上空ほど西風が強まります。このため、風の鉛直シアのバランスが崩れます


③鉛直循環(二次循環)

 上記のフロントジェネシスに伴って生じた「風の鉛直シアのアンバランス」を解消するため、温位傾度を基に戻そうとする「直接循環」が励起されます(上図右側・前線消滅を参照)。これは、前線形成関数の「立ち上がり項」がフロントリシスの側に働くことに相当します。

※上図では、左側と右側・前線消滅では等温位線の傾きが逆向きに描かれています。これは、直接循環によって等温位線の傾きが逆向きに誘導されるという趣旨です。


 ただし、合流項・シアー項はフロントジェネシスの側に働き、また非断熱項の影響も加わるため、(各項の綱引きの結果)温位分布は新たな均衡状態に落ち着きます。そして、この新しい温位分布の下で風の鉛直シアのバランスが再構築されます。この結果、下層では温位傾度が強く、上層に行くほど温位傾度は弱まります。


【(2)フロントリシスに伴う間接循環の励起】


①初期状態

 先の「(1)フロントジェネシスに伴う直接循環の励起」と同じです。こちらでは、予め「温位傾度が大きい状態」で風の鉛直シアのバランスが取れた状態を想定しています。

②前線消滅

 このように温位傾度が減少すると温度風が弱まるので、上空の西風も弱まります。このため、風の鉛直シアのバランスが崩れます


③鉛直循環(二次循環)

 上記のフロントリシスに伴って生じた「風の鉛直シアのアンバランス」を解消するため、温位傾度を基に戻そうとする「間接循環」が励起されます(上図右側・前線形成を参照)。これは、前線形成関数の「立ち上がり項」がフロントジェネシスの側に働くことに相当します。

 ただし、合流項・シアー項はフロントリシスの側に働き、また非断熱項の影響も加わるため、(各項の綱引きの結果)温位分布は新たな均衡状態に落ち着きます。そして、この新しい温位分布の下で風の鉛直シアのバランスが再構築されます。

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前線形成関数を構成する4要素

2022年05月09日 | お天気のあれこれ
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https://ameblo.jp/qq-otenki-s/entry-12897845928.html


(1)2次元流れの変形・渦度・発散

 2次元の流れを考える上で、流体のある微小片に着目すると、この後の変化の仕方は大きく4つのパターンに分類することができます。


 ここで、微小片の変形前を灰破線の正方形、変形後を黒実線、また変化に伴って微小片が動く方向を赤矢印で表現しています。

【左上・合流変形】
 一方の軸方向に縮む一方、もう一方の軸方向に伸びるような変形です。上の図では微小片に向かって、上下からの流れが合流し、その後左右の両側に広がっています。この場合の横軸(黄緑色)を拡大軸と言います。

【右上・シアー変形】
 合流変形が縦横の軸から傾いた形です。上の図では微小片に向かって、左上と右下からの流れが合流し、その後左下と右上の両側に広がっています。この場合の左下から右上に向かう傾斜した軸(黄緑色)が拡大軸になります。

【左下・渦度】
 微小片が流れの中で回転するパターンです。上の図では反時計回りに回転しています。これが正の渦度です。また、時計回りに回転する場合は負の渦度となります。

【右下・発散】
 微小片が内側から外側に向かって湧き出るように拡大する形です。上の図では赤の矢印が全て外側を向いています。これが正の発散です。一方、赤の矢印が全て内側を向くと、微小片は内側に向かって吸い込まれるように縮小します。これが負の発散(収束)に当たります。


(2)前線形成関数とは

 さて「前線」とは、寒気と暖気がぶつかり合う際の境目として現れます。詳しいことは過去の記事「地上天気図の見方・ポイント解説」を御参考下さい。要は、寒気の流れと暖気の流れがぶつかる領域(前線帯)が発生すると、そこでは等温線が帯状に密集します。つまり、温度傾度の大きな帯状の領域が現れるのです。

 ここでは、寒暖の度合いを表す指標として「温度」ではなく「温位」を用います。温位については、過去の記事「温位=ポテンシャル温度・・・これは一体、何なのか?」で述べています。こちらも併せて御参考下さい。

 あらためて「寒気と暖気がぶつかり合う」と言うことは、水平面上では「合流変形」や「シアー変形」を生じることになります。また、この他にも鉛直流の影響非断熱効果による影響も加わり、明瞭な前線が形成(温位傾度が強化)されます。この温位傾度の指標として用いられるのが「前線形成関数」です。これは等圧面における温位傾度の時間変化で定義されます。

 前線形成関数Fは、合流項Fc、シアー項Fs、立ち上がり項Ft、非断熱項Fdの和で表されます。F>0ならば前線は形成・強化され(温位傾度は増大:フロントジェネシス)、F<0ならば前線は衰退・消滅に向かいます(温位傾度は減少:フロントリシス)。


(3)前線形成関数を構成する4要素

 上述の通り、前線形成関数Fは「F=Fc+Fs+Ft+Fd」と表されます。そこで、右辺の各項のイメージについて各々述べていきます。


≪合流項:Fc≫

 合流項は、流れの「合流変形」に伴う影響を表しています。次の図では「水平面上における流れ場」を考えます。上下から流入した流れが中ほどでぶつかった後、左右両側に抜けていくことを想定しています。従って、拡大軸は横向きとなっています。


 この図の上段と下段では等温位線の向きが異なります。上段では下側が暖気、上側が寒気となっており、上下方向に温位傾度を生じています。一方、下段では左側が暖気、右側が寒気となっています。こちらは、左右方向に温位傾度を生じています。

 上段の場合、上下の流れが拡大軸に向かうのに伴って、上側からの寒気移流と下側からの暖気移流を生じ、拡大軸の上下にある等温位線が互いに近づいてきます。つまり、拡大軸付近の温位傾度が増大します(黄色の領域:フロントジェネシス)。

 下段の場合、上下の流れが拡大軸に沿って左右に抜けていくのに伴って、左側の暖気はより左側に、右側の寒気もより右側に運ばれていきます。このため、等温位線が互いに離れて行き、温位傾度は減少します(フロントリシス)。


≪シアー項:Fs≫

 シアー項は、流れの「シアー変形」に伴う影響を表しています。次の図も「水平面上における流れ場」を考えます。先の「合流変形」の流れと本質的には同じものですが、こちらでは拡大軸が傾いているのが特徴です。


 この図の上段と下段では等温位線の向きが等しく、下側が暖気、上側が寒気で、上下方向に温位傾度を生じています。また、等温位線に対して、拡大軸が角度α°だけ傾いています。上段では傾斜角α°が45°より小さく、下段では傾斜角α°が45°より大きい点が異なります。

 上段の場合、上下の流れが拡大軸に向かうのに伴って、上側からの寒気移流と下側からの暖気移流を生じ、拡大軸の上下にある等温位線が(傾斜しながら)互いに近づいてきます。つまり、拡大軸付近の温位傾度が増大します(黄色の領域:フロントジェネシス)。

 下段の場合、上下の流れが拡大軸に沿って左下・右上に抜けていくのに伴って、下側の暖気はより左下側に、上側の寒気もより右上側に運ばれていきます。このため、等温位線が(傾斜しながら)互いに離れて行き、温位傾度は減少します(フロントリシス)。


≪立ち上がり項:Fs≫

 立ち上がり項は「鉛直流」に伴う影響を表しています。次の図は「鉛直面上における流れ場」を考えます。等温位線は鉛直方向でも傾きを持っており、「寒」は低温位側、「暖」は高温位側を表しています。次の図ではいずれも下層が低温位側(「寒」)、上層が高温位(「暖」)を想定しています。


 上段では、左下から右上にかけて温位が増す分布を想定しています。また、鉛直流は左側に行くほど上昇流、右側に行くほど下降流が強まっています。つまり、間接循環の場(寒気側で上昇流、暖気側で下降流)となっています。この場合、下層からの寒気(低温位)移流と上層からの暖気(高温位)移流に伴い、左上から右下にかけて等温位線が互いに近づくため、温位傾度が増大します(黄色の領域:フロントジェネシス)。

 下段では鉛直流が左側に行くほど下降流、右側に行くほど上昇流が強まっています。つまり、直接循環の場(寒気側で下降流、暖気側で上昇流)となっています。この場合、温位傾度を弱める方向に働きます(フロントリシス)。


≪非断熱項:Fd≫

 非断熱項は非断熱効果に伴う影響を表しています。次の図は一例として、日射に伴う加熱を挙げてみます。次の図も「鉛直面上における流れ場」を考えています。


 ここでは、左下から右上にかけて温位が増す分布を想定しています。また、図の左側では雲が広がる一方、右側では日射し優勢となっています。左側は雲に覆われるため、加熱がなかなか進まず、温位の分布はそれほど変化しません。一方、右側は日射に伴って加熱が進み、温位が上昇するため、温位傾度も増大します(黄色の領域:フロントジェネシス)。

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春の訪れと積算最高気温

2022年03月14日 | お天気のあれこれ
【※】gooブログのサービス終了に伴い、アメーバブログに移転しています。
https://ameblo.jp/qq-otenki-s/entry-12897845912.html


 暦は3月を迎え、いよいよ春の足音が聞こえてみました。
 さて、この時期に参考になる積算最高気温の目安として次のようなものがあります。

1月1日から日々の最高気温を足して、300~350℃が東日本で花粉飛散が始まる目安。
2月1日から日々の最高気温を足して、600℃サクラの開花時期の目安。

 そろそろ花粉も飛び始めているようです。気温も上がってきているので、サクラの生育も進みそうですね。



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