最近の研究でニューラルネットワークにGPVを入力する時にちょっとした工夫をする事で(施さなかった場合に比べて)精度が僅かながら向上する?兆しが見えてきました。この仮説は本当にそうなのか?と言った点については更に検証が必要です。また、学習させる範囲についても、色々とコツがあるようです。ニューラルネットワークに気象の学習をさせておりますが、その一連の過程を通じて、人間の側も学習を重ねております。
ニューラルネットワークの凄いところは入力と出力のパターン(教師信号)をドンドン学習させると、自動的にその入出力関係を分析して、その関係にマッチしたモデルに進化してくれる事だと思います。一度、ニューラルネットワークモデルを構築すれば、後はそのモデル(計算プログラム)を修正する事は無いのです。
勿論、これは人間の脳も同じ事で、脳の構造は生まれたときからベースは既に出来上がっていて、後は体の成長と共に発育し、情報については実際に色々な経験や勉強を通じて蓄積していくわけです。例えば、さて来年は○○大学を受験するから○○大学入試対応仕様の脳にしようとか言って、こともあろうに自分の脳を取り出してパーツを追加・交換したり・・・極端な話、大脳新皮質のこの部分をこちらのパーツに交換して脳のメモリを強化して、ついでに小脳もこっちの小脳に交換して・・・なんてことはしないですよね。
もっとも、ニューラルネットワークは人間の脳の構造(神経回路網)の構造を簡略化したものですから、人間の脳構造よりは遥かに単純です。それにしても、この技術を発案した人は凄い。
さて、気象予測においては様々な計算手法を駆使した数値予報モデルが開発されておりますが、それでもやはり読みきれない現象も少なくありません。精度の向上、と一口に言っても非常に難しい事である、と言う事は言うまでも無い事と思います。
先日、日本気象学会(←CAMJじゃないよ)の「2007年秋季大会講演予稿集」が私の所にも届きました。分厚いのでまだ各テーマの詳細を見きれていませんが、過去の事例検証や大気擾乱等の現象そのものに関する研究が多く、逆に予報に関するテーマが少ないように感じました(もっと言えば、なかなか見当たらない)。それだけ、予測精度の向上は難しいテーマなのでしょう。逆にだからこそ、やりがいのあるテーマなのだと言う事もできます。
現在、未来の天気はコンピュータによる数値シミュレーションで予測している、という事実は周知の事でしょう。コンピュータによる予測結果も最終的に気象予報士による判断で修正される事で精度をギャランティーするのはこれまでお話してきた通りです。
しかし、数値シミュレーションはただ未来を予測するためだけにあるのではありません。様々なパラメータの組み合わせを想定して「もしこのような条件が起こればどのような現象が発生するか」と言った仮想実験を行う事ができます。天気図や観測値は既に起こった(=既知の)現象を表現するものです。逆に言えば、未知の現象を語るものではありません。私達が狙う相手は未来に起こり得る「未知の現象」です。
既知の現象を数多く分析して局地的な気象特性を解き明かす事は大切です。そして、この過程を通じて得られた知見なり理論、仮説と言ったものが本当に妥当なものであるのかを検証し、裏付けるに当たっては数値シミュレーションはその威力を発揮します。(この場合の数値シミュレーションは物理学の理論に基づくものである事が望ましいでしょう。なぜならば、物理学の理論に基づく根拠があるからです。)
実況の解析と数値シミュレーションによる検証の連動は、これからの局地気象の数値シミュレーション技術の有効な方向性ではないかと考えています。
ニューラルネットワークは単純な入出力関係をパターン化した計算ですので、経験的学習に基づく予測計算を行います。一方、熱流体シミュレーションは物理学の理論を基にした計算ですので、物理学の法則に基づく予測計算を行います。天気図等の資料だけでは見えないものを見る、そのようなツールとして数値シミュレーションは有効なのです。予測精度を向上するためには、より深く局地的な気象特性を知らなければなりません。この特性を見出すための技術と、予測するための技術を研究しているのです。
ようやく少しずつではありますが、一つ一つの研究が形になり始めています。近い将来、学会の講演予稿集に私の論文が掲載する日が来るでしょう。そして、そろそろ気象特性そのものの研究にも取り掛かっていかなければならないなあ・・・と焦りを感じている今日この頃です。(そもそもシミュレーション技術開発の目的がこのような所にあるので・・・)
ニューラルネットワークの凄いところは入力と出力のパターン(教師信号)をドンドン学習させると、自動的にその入出力関係を分析して、その関係にマッチしたモデルに進化してくれる事だと思います。一度、ニューラルネットワークモデルを構築すれば、後はそのモデル(計算プログラム)を修正する事は無いのです。
勿論、これは人間の脳も同じ事で、脳の構造は生まれたときからベースは既に出来上がっていて、後は体の成長と共に発育し、情報については実際に色々な経験や勉強を通じて蓄積していくわけです。例えば、さて来年は○○大学を受験するから○○大学入試対応仕様の脳にしようとか言って、こともあろうに自分の脳を取り出してパーツを追加・交換したり・・・極端な話、大脳新皮質のこの部分をこちらのパーツに交換して脳のメモリを強化して、ついでに小脳もこっちの小脳に交換して・・・なんてことはしないですよね。
もっとも、ニューラルネットワークは人間の脳の構造(神経回路網)の構造を簡略化したものですから、人間の脳構造よりは遥かに単純です。それにしても、この技術を発案した人は凄い。
さて、気象予測においては様々な計算手法を駆使した数値予報モデルが開発されておりますが、それでもやはり読みきれない現象も少なくありません。精度の向上、と一口に言っても非常に難しい事である、と言う事は言うまでも無い事と思います。
先日、日本気象学会(←CAMJじゃないよ)の「2007年秋季大会講演予稿集」が私の所にも届きました。分厚いのでまだ各テーマの詳細を見きれていませんが、過去の事例検証や大気擾乱等の現象そのものに関する研究が多く、逆に予報に関するテーマが少ないように感じました(もっと言えば、なかなか見当たらない)。それだけ、予測精度の向上は難しいテーマなのでしょう。逆にだからこそ、やりがいのあるテーマなのだと言う事もできます。
現在、未来の天気はコンピュータによる数値シミュレーションで予測している、という事実は周知の事でしょう。コンピュータによる予測結果も最終的に気象予報士による判断で修正される事で精度をギャランティーするのはこれまでお話してきた通りです。
しかし、数値シミュレーションはただ未来を予測するためだけにあるのではありません。様々なパラメータの組み合わせを想定して「もしこのような条件が起こればどのような現象が発生するか」と言った仮想実験を行う事ができます。天気図や観測値は既に起こった(=既知の)現象を表現するものです。逆に言えば、未知の現象を語るものではありません。私達が狙う相手は未来に起こり得る「未知の現象」です。
既知の現象を数多く分析して局地的な気象特性を解き明かす事は大切です。そして、この過程を通じて得られた知見なり理論、仮説と言ったものが本当に妥当なものであるのかを検証し、裏付けるに当たっては数値シミュレーションはその威力を発揮します。(この場合の数値シミュレーションは物理学の理論に基づくものである事が望ましいでしょう。なぜならば、物理学の理論に基づく根拠があるからです。)
実況の解析と数値シミュレーションによる検証の連動は、これからの局地気象の数値シミュレーション技術の有効な方向性ではないかと考えています。
ニューラルネットワークは単純な入出力関係をパターン化した計算ですので、経験的学習に基づく予測計算を行います。一方、熱流体シミュレーションは物理学の理論を基にした計算ですので、物理学の法則に基づく予測計算を行います。天気図等の資料だけでは見えないものを見る、そのようなツールとして数値シミュレーションは有効なのです。予測精度を向上するためには、より深く局地的な気象特性を知らなければなりません。この特性を見出すための技術と、予測するための技術を研究しているのです。
ようやく少しずつではありますが、一つ一つの研究が形になり始めています。近い将来、学会の講演予稿集に私の論文が掲載する日が来るでしょう。そして、そろそろ気象特性そのものの研究にも取り掛かっていかなければならないなあ・・・と焦りを感じている今日この頃です。(そもそもシミュレーション技術開発の目的がこのような所にあるので・・・)