計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

5月27日より大雨や洪水などの気象警報・注意報が変わります。

2010年05月24日 | 気象情報の現場から

大雨や洪水などの気象警報・注意報の改善について (気象庁)


 気象庁では大雨警報などの気象警報・注意報を、これまで都道府県をいくつかに細分した区域を対象に発表してきましたが、平成22年5月27日から、「○○市に大雨警報を発表」のように、すべての気象警報・注意報について原則として個別の市町村を対象として発表します。
 また、大雨警報を発表する際には、特に警戒を要する災害を、「大雨警報(土砂災害)」、「大雨警報(浸水害)」のように警報名と併せてお知らせします(気象庁HPより引用)。


<気象庁>市区町村単位の気象警報、TV・ラジオ速報せず 「情報量膨大で住民混乱」(gooニュース・毎日新聞)


気象警報・注意報、発表きめ細かく…TVなど困惑(gooニュース・読売新聞)


 新しい情報を伝える役割を担うマスメディア側も、何かと混乱があるようですね・・・。
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建造物内の熱流動シミュレーション

2010年05月23日 | 計算・局地気象分野
 屋外で風が吹いている日に建物の窓を開けた場合、外の風が屋内に入ると室内の熱環境がどのように変化するのかを解析してみました。解析結果のほんの一例です。


建造物の平面図と熱流動(左:1階、右:2階)



建造物の鉛直断面図(階段・吹き抜け部)



 初期状態では室内には熱が篭もっている状況を想定しました。初期状態における室内の温度を赤、外の温度を青で表示し、図の右側から風が流れ込む条件を与えました。時間の経過と共に外からの涼しい空気が室内に入り込んで、建物内部での空気のかき混ぜが起こって行く様子が再現されています。

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建造物の通風・換気シミュレーション

2010年05月17日 | 計算・局地気象分野
 屋外で風が吹いている日に建物の窓を開けた場合、外の風が屋内に入るとどのような気流を形成するのかを解析してみました。解析結果のほんの一例です。


 図1・建物の1階における風の流れの様子(水平断面図)
 真ん中の長方形が階段に相当。左上の長方形はシステムキッチンに相当。


 図2・建物の1階における風の流れの様子(水平断面図)


 図3・階段の吹き抜け部の風の流れの様子(鉛直断面図)

 このような気流の解析の際は、建造物の数値モデルを用意する必要があります。もちろん、局地気象モデルであれば山岳地形の数値モデルが必要になるのです。山岳地形の場合は既に様々なDEM(数値地形モデル)が整備されておりますが、建造物の場合はその都度、自分でモデルを構築しなければなりません。しかも、単なる凹凸の組合せではなく、ボックスの配置を一つ一つ3次元的に設定しなければなりません。

 このため、まずは建造物の構造をプログラム言語のようなコード形式で記述する方法を考案し、このコード記述から数値モデルに自動変換するプログラムを作成しました。気流解析(熱流体解析)のプログラムは既にある3次元LESの局地気象モデルをベースに応用しました。

 ぶっちゃけ、建造物の構造をコードで記述するのが面倒です(爆)。もちろん、建築設計事務所など、建設系のシミュレーションを行う企業向けには専用のCAD/CAEツールも用意されているようですが・・・導入価格がン百万円のオーダーです。建築用図面の電子データをそのまま読み込んでシミュレーションまで自動的に行うようなツールですので、その位の高価なソフトウェアになるのも無理もないのでしょう・・・。

 こうやって、計算解析の技術も日夜研究を続けているのです・・・。

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