計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

学会発表のエントリー・・・完了!

2013年01月18日 | 気象情報の現場から
 明日は大学入試センター試験ですが、この時期になると何故か寒波がやってくるようです。「センター試験寒波」とでも言うのでしょうか(爆)。「冬の小休止」期間も終わってしまったようですね。 

 さて、(社)日本気象学会2013年度春季大会の申し込みが「1月8日~2月5日」という事で、参加費を支払って、発表予稿も電子データ(pdfファイル)で提出しました。

 発表予稿は「冬の小休止」期間に、一気に書き上げました。とは言え、締切日の2月5日までは予稿資料の修正・差し替えは可能なので(電子データでの提出のため)、それまではまだブラッシュ・アップのチャンスは残されています。締切後に、大会実行委員会により予稿内容の予備審査が行われ、不備や問題点等がなければ、忘れた頃に・・・大会プログラムの番号が通知されます。果たしてどうなるか。

 ちなみに、(社)日本気象学会は、日本の気象学・大気科学etc.に関する学会として組織されています。この学会の一大イベントが「大会」と呼ばれるもので、年に2回(春・秋)開催されます。大会では、国内外の気象学の研究者・行政関係者・実務者等、産・官・学の気象専門家・気象技術者が一堂に会して、最新の研究や調査結果を発表・講演し、質疑討論や意見交換をします。

 今年の春季大会は、2013年5月15日(水)~18日(土)の日程で、国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都内)を会場に開催されます。大会での発表が認められれば、5月の東京出張が自動的に決まります。そしてこの遠征費を捻出するべく、生活面ではより一層の「質素・倹約」を強いられることになるのです(爆)。
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驚愕

2013年01月15日 | 気象情報の現場から
 関東地方の大雪には正直、驚きました。
 関東地方では、14時の時点での地上気温が概ね0~1℃(1℃未満)、1500m付近で概ね-3~0℃(0℃未満)となりました。

 新潟県内で雪が降る時は、1500m付近で「-6~-9℃」は日常茶飯事、これが「-10℃」以下の場合は平地でも大雪に至る可能性があるので、その感覚から見ると上空の寒気のレベルは「なんかイマイチ」と感じてしまいますが、そもそもの降雪のメカニズム(気象場のパターン)が日本海側とは違うようです。

 ザッと見た感じでは、地上から上空に至るまで概ね「氷点下の(またはそれに近い)状態」であると考えられ、上空の水分が落下する際に、雪(またはそれに近い)の状態で地上に達するのもむべなるかな・・・と思えます。また、周辺の山地からの寒気が吹き降りて来た事で、地上気温の低下に拍車がかかったようですね。しかも、南岸低気圧に伴う厚い雲の接近・通過に伴って上空では「多量の水分」がもたらされたため、多量の降雪に至ったものと考えています。

 一般的には、1500m付近の気温が-3℃以下で「ミゾレ」の目安、-6℃以下で「」の目安、とされていますが、そうは問屋が卸さなかったようですね。

 最近は、日々の降雪予報の合間に学会発表に向けた研究やデータ解析を進め、発表予稿もブラッシュ・アップしています。これらの研究成果は局地気象に関する新たな知見として「独自予報の指針」と言う形でフィードバックされるので、両者はまったく別々の仕事と言うわけでは無く、互いに「つながり」を持っています。一見、「定性的には」誰もが知っているような知見や現象論であっても、そこからさらに「定量的に」突き詰めて探究していくと・・・これが、局地予報の際の(重要な)判断基準になる事が少なくありません。地域によってその「閾値」が変わるためです。

 一般的な(局地)気象学は、それら多くの「最大公約数」を集積し、理論的に体系づけたものであるため「汎用性」はありますが、そのまま局地予報に適用しようとしても、そう簡単には行かないものです。つまり、「"所"変われば、"基準"も変わる 」と言うわけです。
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「気象予報士」と掛けて 「ロダン」と解く・・・その心は?

2013年01月11日 | 気象情報の現場から
 今日は「仕事始め」直後の最初の「花金」なので、早速「新年会」の方も少なくないのではないでしょうか。

 さて、気圧配置を見ると、日本付近もようやく高気圧に覆われ始めました。上空の非常に強い寒気も北にシフトしそうな感じです。次に強い寒気に見舞われるのは、おそらく「大学入試センター試験」の辺りかな?・・・という事で、一週間近くは気を張らずに済みそう。このまま「冬の小休止」となって欲しい、と言うのも切なる願いです。

 この冬は次から次へと、引っ切り無しに冬型の気圧配置が現れては解消し、現れては解消し・・・の連続。

─ "気象予報士"と掛けて "ロダン"と解く・・・その心は?・・・『考える人』 ─

 一口に「冬型の気圧配置」とは言っても、微妙な特徴の違いの有無で、局地的な降雪の傾向は大きく変わってきます。私共が担っているのは「曇り 時々 雪」と言う「天気」予報ではなく、例えば「○○市○○地区では××時~××時の間に□□~□□cmの降雪」が予想される、と言うものです。

 この予想には、天気図などのデータを基に上空の寒気の強さ季節風の角度や強さ地上の気圧配置の微妙な違いを見極めなくてはなりません。もちろんコンピューターによる独自の予測計算の結果も考慮しながら、最後は人間が決断しています。ここまで来ると、一般的な気象学の教科書レベルの知識では到底、太刀打ちできません。日々、新たな現象(データ)との格闘です。

 今日の仕事も終わりました。バッハ作曲の「小フーガ ト短調(BWV578)」を聴いて、心穏やかに・・・。
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そろそろ学会発表エントリーの時期だなあ・・・。

2013年01月07日 | 気象情報の現場から
 本日の予報も無事に終わりました・・・さて、今度は書類の準備です。

 2013年5月15日(水)~18日(土)の日程で、(社)日本気象学会2013年度春季大会が、国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都内)を会場に開催されます。過去2年連続で春季大会に参加して発表しておりますので、今年も・・・と言う流れです。

 しかも、参加申込期間が「1月8日~2月5日」という事で、そうのんびりともしていられません。ただ、参加費を支払って「参加します」と表明するだけでは不十分なのです。発表するためには、どのような題目で、どのような内容の研究発表を行うのか、と言った「予稿」を提出し、予備審査?を受けなくてはなりません。

 予稿は1つの発表テーマにつき1ページなので、分量は大したものではありません。しかし、研究の背景→手法→結果→考察→結論、さらには謝辞や参考文献…と言った多岐に渡る内容を効率良く「1ページ」の中に、その研究の全体像=アウトラインをコンパクトに纏め上げなくてはならないため、なかなか大変なものです。

 研究がある程度の段階まで進んでいて、発表当日までにそれなりの成果が出せる"見込み" が無いと、発表の申し込みには踏み切れない所もあり、エントリーするかどうかの判断も難しい所です。

 写真は、昨年の発表予稿の原稿です。2件発表したので、2ページ分です。



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謹賀新年

2013年01月01日 | 気象情報の現場から


 2012年最後の予報配信を終え(大トリ)、静まり返った予報センターの様子。これで2012年の業務が全て終わりました。一応、これで「仕事納め」になりますが、「仕事始め」が元日です。2012年は終わりましたが、この冬は始まったばかり。これからがいよいよ厳冬期の本番。気が抜けません。

 と言うわけで、新年、明けましておめでとうございます m(_ _)m。

 実は「新年を迎えた」と言う実感がありません。雪の予報に関わっていると「1月1日」と言うと「あー、冬が始まって"1か月"になるんだなー」という心境です。でも、ウカウカしていられません。そろそろ、5月の学会発表の事を真剣に考えなければならないからです。



 こちらは2012年12月31日のギリギリのタイミングで間に合った、三次元熱流体シミュレーションの計算結果の一つ。これが何を意味するのかは、今は敢えてコメントは書きません。察しが付く方はパッと見て気付かれるかと思います。この画像は、私が熱流体力学の数値モデルの研究を始めた時からの(十年来の!)悲願です。2012年の内に、何とかここまで到達できました。

 という事は、ここからさらなる飛躍と発展を遂げるのが、この2013年という事になります。ただ、数値モデルを構築するだけに留まらず、そこから得られる知見を、独自の局地予報にしっかりと反映していく事。これが大きな課題です。そのためには今後、検証と改良を幾度も重ねていく事になるでしょう。そのためのプロトタイプが漸く実現した段階です。

 「局地予報」と言う単語は良く見聞きするが、実際には一体どんなものなのか?

 私は長年、アマチュア気象予報士だった頃は正直、局地予報と言うものについての「具体的なイメージ」を持ち合わせてはおりませんでした。しかし、今ではクライアントからのニーズやフィードバックも頂くようになり、少しずつではありますが「マーケット・イン」の流れが出来つつある中で、自分たちの目指す「局地予報」のイメージも鮮明になってきました。

 気象庁から各種メディアを通じて発表される「天気予報」と民間気象会社が提供する「独自予報」とは何が違うのか?その違いは、一言でいえば「プロダクト・アウト」と「マーケット・イン」です。マーケットの期待に応えるためには、基盤となるテクノロジーの充実が欠かせません。

 2012年は、色々な意味で小さな芽が出てきた年でした。今度はその芽をしっかりと育んでいかなくてはなりません。この2013年はそんな一年になりそうです。

 この2013年が皆様にとっても、より良い一年でありますように。

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