計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

2016年12月-2017年02月の新潟県の冬の傾向

2017年03月05日 | 気象情報の現場から
 先日、2月25日に(一社)日本気象予報士会の第9回研究成果発表会が無事に終了しました。

 そして、今度は3月9日に一般市民の皆様を対象とする講座(まちなかカフェ)が控えております。当日は「天気と景気」をテーマに、天気の変化と身近な経済活動にまつわるリスクマネジメントのお話をする予定です。

 その打合せが3月1日に催され、この冬の新潟県内の天候の特徴についての話題も浮上しました。さすがに一応、資料をまとめておいた方が良さそうなので分析してみました。平年値と比較することで、今シーズンの特性が色々と見えてきました。


 降雪量の分布を見てみると、沿岸平野部では平年よりも少なく、山沿いの地域ではほぼ平年並みの傾向でした。もともと平年値自体が「沿岸平野部では少雪となる一方、山沿いの地域では大雪となる」分布を示しているので、このコントラストがより一層強調される結果となりました。山雪型の特性が色濃く反映された感じです。

 確かに、降雪予報に従事していて、今シーズンは等圧線が縦縞模様となる山雪型のパターンが多かったように感じていましたので、やはりそうだったか・・・との印象を受けました。


 降水量の分布を見てみると「平年よりも特に少ない」という地域は無さそうです。むしろ、平年より1割以上も降水量が多い地域が見られました。特に降雪量の多い中越地方の山間部に加えて、上越市でも降水量が多い傾向が見られました。


 日照時間は、中越地方の山間部で平年よりも少ない傾向が見られました。降雪量が特に多い地域と概ね一致しています。その一方で、平野部の日照時間は平年並みであったことから、山沿いの地域により集中して降雪が生じたことが推察されます。


 1月の平均気温を見てみると、中越地方と下越地方北部の沿岸平野部で、気温が平年よりも高めとなっています。北西の季節風が強く吹き付けた結果、より気温の高い海上の空気が流入していることがうかがえます。


 そこで、上空1500m付近の季節風に着目してみます。この高度で北西寄りの季節風(10m/s以上)が観測された日数を調べてみました。これを偏差(平均値からの差)の形で表示しています。この結果、今シーズン・2017年は特に日数が多いことが判ります。つまり、北西の季節風が強い頻度が大きく、山雪型の傾向が出現しやすいシーズンであったことが判ります。

コメント
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