計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

バグの原因は・・・思わぬところに。

2007年02月23日 | 気象情報の現場から
 プログラミングの世界において避けて通れないのがバグ。そう、あのお目々がクリクリッとして、小さなブルドックを髣髴とさせる可愛らしいワンチャン・・・って、それはパグ犬だよーーー!!・・・というギャグは置いといて、バグと言うのは検出するのも難しく、原因を特定するのも非常に難しく、そしていざ判明してみると、たった1文字のスペルミスだったり、ほんの些細な事が諸悪の根源だった・・・という事もザラだったりします。

 前回のブログでお話したように、円筒座標系の流体解析にチャレンジしているのですが、参考にできるHPも少なく、検索エンジンで引っかかる研究論文を見ても、基礎方程式がテンソル表示で記述されているだけで、こちらが本当に知りたい事(数値解法で用いる途中の方程式など)については日本語でちょろちょろっと書いてある程度で・・・。本当にこの●●●●方程式の形であってるんだろうか・・・と不安になって3~4回導出を試みて同じ結果になる事を確認して(←これはもちろん手計算!)、コーディングに入ったわけです。

 しかし・・・案の定と言うべきかウンともスンとも言わず・・・撃沈。確かに、はじめの内は式の形がおかしなところもありました。座標変換に伴って余分な項が新たに発生しますが、その取り扱いが抜けていた所がありました。でも、この類のミスは理論とコードを付き合わせれば早期に解決できます。これで、コーディングされた方程式と手計算の理論は完全に一致しました

 しかし・・・何度やってもウンともスンとも言わず・・・。今回テストケースに選んだのはサーマルグラディエントを与えた円筒容器内の自然対流なので、要は温度の差が重力(浮力)に反映されていないのは一目瞭然でした。でも・・・この項の記述には間違いはありませんでした。まさか「●●●●方程式の形」が、間違っている!?・・・

 疑うべき所はこの方程式のルーチンに絞られました。この方程式に組み込まれる全てのパラメータの値を逐次表示させるように修正して再び走らせました。

 なんじゃこりゃーー!!。画面には目を疑う光景が・・・本来物性値であるはずプラントル数Prが開始直後は当初から設定されている値を示していましたが、突然ゼロに切り替わりました。・・・そんなカバな!いやバカな!・・・プラントル数はずっと一定のはず(おいおい、これって世に言う怪奇現象か)。冗談はさておき、温度の差が重力(浮力)に反映されるためにはプラントル数は当初の設定値のままである必要があります。それがゼロになってしまったので、温度差が重力(浮力)に反映される事は無く、流れはいつまでたっても駆動される事はない・・・従って、ウンともスンとも動かない。ようやく繋がった。

 このプラントル数が勝手に書き換わる、という事はどこかで上書きする記述があるという事ですね。プラントル数の名前(PR)をプログラムの一番上からガンガン検索していくと・・・ありました!・・・何と何と半径方向の圧力傾度の変数名をPRにしてました!。初期の段階では半径方向の圧力傾度は特に与えていない(初期化された状態)ので、確かにゼロになります。

 結論としては同じ変数名をプラントル数と圧力傾度の2つで使っていたのです。これを修正したら・・・アレヨアレヨと動いちゃったではありませんか!?しかも、計算結果も間違ってはなさそう。気になる●●●●方程式の形も問題なかったようです。

 と言う訳で、変数名には気をつけましょう。
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運命の合格発表は3月2日!

2007年02月21日 | 何気ない?日常
 先日受験してきた漢字能力検定2級の合否が、3月2日に協会ホームページで確認できるそうです。ちなみに翌日の3日は地元の大学の公開講座を受講予定ですし、25日はご当地検定の受検日で、合否が月末には判る予定です。まずは、漢字検定が合格している事を祈っています。最近では、テレビの「熱血!平成教育学院」の冒頭の漢字問題(1級・準1級は除く)や、「ネプリーグ」の漢字問題(最後の1~2問はさすがに厳しい)などは、秒殺!電光石火で読み方が判ります。

 最近の業務はと言いますと・・・、大学でのディスカッションの準備やらニューロ・モデルの実験やら、大気大循環やら、いろいろ手を出しすぎておりますが、さらにシリンダー座標系(円筒座標系)による理論解析にまで手を出しております。これまではDNSもLESもデカルト座標系(直交座標系)で、もう10年近く勉強しておりますが・・・シリンダーは扱いがまた難しいですね。なにより、参考資料が少ないです。ホントにこれで合ってるんかなあ・・・基礎方程式までは参考書にもいろいろと記述されていますが、差分スキームに関する記述は結構アバウトだし・・・逆に、余り人がやっていない(orやりたがらない)分野なのかもしれませんね。

 円管内流れとしてはハーゲン・ポアズイユ流れ、サーマル・グラディエントを与えた回転水槽内の熱対流実験(傾圧不安定波のメカニズム)等は有名ですが、円管の管壁を弾性壁として壁の変形を流れを連立して解くことができれば、脈波の解析も可能になります。これは血行力学や血管バイオメカニクス、生体流体力学などのテリトリーですが、技術の幅を広げる事により応用できる分野が広がる、という事です。

 一見、バラバラのような現象もその力学的な本質は共通しているというのは何とも面白いものです。
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大学はデカかった!!

2007年02月17日 | 気象情報の現場から
 さて、昨日は共同研究でお世話になっている大学の研究室に出向いておりました。この大学は総合大学という事で広大なキャンパスの中に人文科学系から自然科学系まで多くの学部がひしめき合っています。最寄のJRの駅から大学までも遠く、しかも駅の出口を間違えたので返って遠回りに・・・でも、時間的には余裕を持って大学の門をくぐりました。しかし、罠はここからだったのです。当初の予定では目的地である工学部のすぐ近くの門から入る予定だったのが、駅の出口を間違えたために結局別の門から大学に入り、すぐ近くの案内板を見ると「大学院人文科学・・・?」・・・ンゲ?見た事無い所に来てしまった・・・。で、工学部はどこだ~ぁ・・・予め印刷していた地図を頼りに工学部に向かうのですが・・・どう見てもこれは遠いなあ・・・やっとのところで理学部まで辿り着き、そこで目にしたのが大学総合案内。これを見るとまだ半分!?。さすがにこりゃあ間に合わないと危機を覚えて、膨大な研究資料がギッシリ詰まった鞄を引提げ猛ダーーーッシュ!!・・・なんとか工学部棟に飛び込みました。早速、3階へ駆け上がり、教官室を探しましたが・・・見つからない。よく見ると電気系のA棟・・・1階に戻って案内を見ると、機械系はC棟との事。エ?C棟ってどこだ・・・案内板をみると・・・ここからまた遠いなあ・・・で、時計を見るとまだ時間的には余裕があったので、とりあえずレストルームへ。で、気を取り直してC棟へ・・・あ、見覚えのある置物が!・・・よっしゃ!栄光のゴールに向かってラストスパートだーーッ!・・・そして、3階に到達。時間にはキッチリ間に合いました。ここまでで殆どのエネルギーを使い果たしてしまいましたが・・・本番はここからです。

 先生の案内でゼミ室に通され、そこでは研究室の学生さんがプロジェクターの準備をしておりました。今回は大学院生のプレゼンを聞いて、企業の現場代表(つまり私)からのアドバイスがメインで、ゼミ後は研究室で実験装置を見学しました。この辺の詳細は諸般の事情により書けませんのであしからず。私からもプレゼンテーションとして、気象理論の導入解説として、大気大循環論、偏西風波動、高・低気圧の発生と構造、局地気象のメカニズム、さらにシミュレーションの解析事例を紹介しました。機械工学の視点からの意見を聞く事が出来た他、先方もまた気象に関する理解を深める事が出来たようでした。非常に有意義なディスカッションができて良かったです。こちらもそれなりに準備した甲斐がありました。

 それにしても大学はデカかった。私の母校も総合大学でしたが、工学部は他学部から独立していたので、迷子になることはなかったんですけどね・・・。まさか、この歳になって迷子になるとは・・・。

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ささやかな贅沢

2007年02月12日 | 何気ない?日常
 この三連休は殆ど勉強に追われていました・・・。14日の事で浮かれてる場合ではありません。16日には大学に出頭予定ですし、来月にはまた試験があります。日々の業務でも新しいテクノロジー導入の事を常に考えています。

 と言うわけでたまにはちょっと贅沢を、という事で、ディナーは山形県の秋の風物詩となっている芋煮です。現在私が居るこの地ではのっぺ汁とか言う物が地方独特の食文化のようですが(ご当地検定のテキストによると)、私にとっては芋煮(厳密には「山形風」芋煮)が大事な文化です。

 前職(メーカー)で東京に勤務していた頃、会社の行事で「不良撲滅BBQ大会」というものがありました。部署や原籍部署毎にチームを結成し、各チームごとにBBQや焼きそばなどの料理を作り、参加者に振る舞うものでした。私の場合は米沢設計チームということで「芋煮」を担当する事に。しかも、前回の米沢設計チームは芋煮で大失敗をしていたために汚名返上が掛かっているというものでした。

 米沢設計チームは私の他に同期1名と先輩1名、そして芋煮について熟知している上司ら数名・・・。私もさすがに芋煮のレシピを何種類も調べて頭に叩き込んで、それでも不安なので当日は印刷して持参して臨みました。そんな私に先輩が一言「大丈夫、こんなもんは適当!適当!」。周囲のサポートもあり、最終的には上出来で参加者からも大好評。前回の雪辱(?)を晴らす事ができました。全国どこに行ってもやはり芋煮のスキルは必要になってくるんだなあ・・・あらためてそう感じた日でした。

 ちなみに、本来の芋煮は秋に、河原で、石とまき木で釜を作って火を興し、その上に大鍋を乗せて煮込みます。また、こんにゃくは角こんにゃくを千切って入れるのが正式なので、写真のように糸こんにゃくを使うのは正式ではありません(単に、千切るのが面倒だったという事と、角こんにゃくより糸こんにゃくの方が安売りだったのです)。
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人間の感性を数値化せよ!

2007年02月09日 | 気象情報の現場から
 天気予報は総合科学。いかにも!って感じですが、このような名言を聞いたことがないのは私だけでしょうか~ぁ。本当に最近はLESに加えて空間補間やニューロ理論にまで手を出してしまっているので、頭の中がスパゲッティ状態です。

 今日の御題の「人間の感性を数値化せよ!」と言うのは、局地気象に関する問題です。局地気象にも様々なその地域特有の現象があります。特定のところで強い風が吹く、気温が異様に高くなる・・・等等。問題はこの「強い風」「高い気温」というのは人間の主観が基になっていて(確かに実害が出るケースもあるので主観だけとは言い切れない)明確な数的基準が無いのです。局地気象の予測や評価の際は、この基準を明確に定めなくてはなりません。しかし、もともとが人間の感性なので、明確な線引きが難しいのです。

 さて、来週の金曜日は、共同研究でお世話になっている大学の研究室内で、今年度の総括を兼ねた研究会が行われるそうです。学生がそれぞれの研究成果をプレゼンするというもので、一種のゼミナールですね。そして何と、そのゼミに弊社の担当スタッフも参加せよとの呼び出しがっ!要は、大学院生のプレゼンを聞いて席上討論やアドバイスをせよ、と言うものですが、折角なのでこちらの取り組み状況について紹介を・・・との事。そーいえば最近、進捗報告が・・・(爆)

 今度は大学院生が相手ですか~。まさに日本の頭脳じゃないですか!科学技術立国・日本の未来は理系大学院生である君たちの双肩にかかっているのだーー!! (思いっきり煽ったる!)
あ゛・・・かつては私も大学院生だったんだ・・・(ヒトゴトじゃなかった・・・)。昔々の事ですが(すっかり歳をとりました)。

 そういえば、大学の専門科目では一部、各大学が独自の講座を開講する事ができるらしく(そういえば私の大学には豪雪都市工学なんてものがあった)、この共同研究のご縁で「エネルギー変換工学」という科目の何コマかを気象に割り当てて(要するに自然エネルギーにつなげたいと言う事)、弊社の気象予報士が講義を行うのはどうかと言う提案を頂きました。気象予報士が学部の教壇に立つ時代なんですね~~(しみじみ)。そんなノミの心臓(?)の私ですから、ここはプロジェクトリーダーの気象予報士にお願いして(もちろん、「おしつけた」のではありません)、ホッと胸を撫で下ろしていた矢先・・・

 ま、こちらのゼミは大学院生が相手との事。乱流理論や数値解析スキーム等の話も遠慮なくできるわけですね。日頃から乱流の数値シミュレーションの研究に明け暮れている(鍛えられている)事でしょうから、さすがの私も会話についていけなくなるかも知れません

 何はともあれ、折角の機会なので自分たちの行っている研究が気象とどのようにつながっていくのかを理解できるような討論をしたいと思っています。この三連休はその準備に追われそうです。彼らは機械工学の専攻、私もかつては機械系でそこから紆余曲折を経て気象に辿り着いた者です。不思議な巡り合わせですね。

 私が気象の道を志したとき「機械なのに何で気象なのか」と陰口を叩く者もおりました。しかし、計算気象を極めた者にとってこれは明らかに愚問ですね。

 私が思うに、気象屋の仕事はただ単に天気の仕組みを解明するに留まらず、各種データを分析し、的確に予測し、またそれらの情報を駆使して問題を解決していく。すなわち気象に関する問題に対して自分なりの答えを出す、と言う事。答えに至るまでのプロセスは無数にあると言うこと。機械工学のやり方もあれば知能情報処理のやり方もあるし統計的手法もある。無論、天気図を分析するアプローチもある。要は、局地気象のプロフェッショナルとしての「答え」を出せるか、それだけなんです。真に問われるべきなのは。

 だからこそ、日々勉強に研究なのです。
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人事を尽くして天命を待つ

2007年02月04日 | 何気ない?日常
 本日、漢字検定2級を受験してきました。試験の時間帯は10:00~11:00の1時間でした。漢字の読み・書きはもちろん、同音異義語や四字熟語についても出題されます。合計200点満点で合格ラインは80%程度の正解との事です。気になる試験の感触ですが・・・やれるだけのことはやったつもりです。その意味では、どのような結果になろうとも後悔はないでしょう。結果が3月半ばには判明するようです。しかし実は、試験直後に「標準解答」が配布されるので、自己採点である程度の見当がつきます。後は、良い結果が返ってくることを祈るのみです。まさに「人事を尽くして天命を待つ」の状態です。

 今度は3月下旬の「ご当地検定」ですね・・・。これから勉強すべき事項は山ほどあります(爆)。でも、まず今日はもう勉強せずに休みます(^^)。
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いよいよ2月になりました。

2007年02月02日 | 気象情報の現場から
 実は、まだ2月2日なんだ・・・。と言うのが正直な印象です。別にこれからの楽しいイベントが待ち遠しいというのではありません。1月はあれこれと手を出した一ヶ月だったのです。

 最近よく出てくる言葉「ニューロ理論」も昨年末から勉強を始めたものなので、ほとんど1月中に進めていたものです。年末年始は殆どマルチパーセプトロンの実験やバックプロパゲーション(BP)の理論検討に追われ、仕事始め以降はBPの実験。その合間を縫って、数値データの空間内挿の手法についても検討・実験を行いました。そうかと思えば、回転系における自然対流の数値シミュレーションで大気大循環のメカニズムにアプローチする研究がありました。

 昨年までは一つ一つの大きな課題に莫大なエネルギーを投入する、という形だったのですが、日々の蓄積により技術の幅が徐々に広がっています。これからは様々な技術の研究・数値実験が同時並行で進んでいくことになるでしょう。この1ヶ月で私の専門分野も広がりました。また、オフタイムは一般知識の勉強に追われています。

 古の哲学者の言葉に「知は力」と言うものがあります。知識は思考のための道具です。そうであればこそ、培った知識のメンテナンスと新しい知識の吸収は日々欠かせないものです。いろいろな実験(とは言っても数値計算実験ですけどね)を繰り返していると、新しいモノの見方や考え方・知見を得ることができます。その一つ一つをノートに書き綴っています。いずれは気象を解き明かしていく上で大きな武器になるでしょう。

 私にとって、プロフェッショナルとは「自分の答え」を導き出せるという事。それだけに日々が勉強の連続です。
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