計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

暖冬は何処へ行った?

2010年01月31日 | 気象情報の現場から
 昨年の段階ではエルニーニョの影響で、もしかすると暖冬かなぁ・・・と感じており、11月25日の時点での3ヶ月予報でも暖冬傾向の見解が発表されていたのですが、1ヶ月予報の最新のアンサンブル数値予報図を見ていると・・・

 500hPa面ジオポテンシャル高度について、北極付近が正偏差で北海道~東北辺りで負偏差となっているのが気になりました。これは、北極の気圧が平年よりも高くなる一方、中緯度付近の気圧が平年よりも低くなるパターンに近いので、要は北極からの寒気が南方の中緯度地域に放出される構図の可能性が高まります。やっぱりAOの方がドミナントだったか・・・。

 その一方で、地上の気圧配置の傾向を見てみると、日本の南岸沿いを通過・北上する南岸低気圧が発生しやすくなるようです。この南岸低気圧は急速に発達しやすく(テレビ等の天気予報でも「爆弾低気圧」と言う用語が登場するかも)、またアリューシャンの東に達する際には中心気圧が非常に低くなるため、非常に強い冬型の気圧配置を形成しやすい傾向があります。

 この2月は北国の日本海側(つまり「雪国」)では恐らく気温が平年よりもやや低めで、降雪量もやや多めになるかもしれません・・・(これ以上の詳しいコメントは、法令順守の都合上、差し控えますので悪しからず)。詳しい長期予報は気象庁HPや各気象系サイトでも確認する事ができますので、そちらをどうぞ。

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この冬はAO?

2010年01月14日 | 気象情報の現場から
 この週末は大学入試センター試験ですね。大学入試の多様化に伴い、様々なAO入試も実施されています。

 天気予報の解説でも「北極からの寒気が放出されるパターン」というフレーズが度々出てきたので、今年の冬の激しい豪雪は「北極振動」の影響ではないか、と見ています。

 北極振動(AO)というのは、勿論「AO入試」とは別物で、簡単に言うと北極と北半球中緯度の気圧が互いにシーソーのように変動する現象です。つまり、北極の気圧が平年よりも高い時には中緯度の気圧が平年よりも低くなり、その一方で北極の気圧が平年よりも低い時には中緯度の気圧は平年よりも高くなると言うわけです。また、北極と中緯度の気圧の気圧の偏差の程度を表す値の事を「北極振動指数」と言います。

 北極振動指数が正の時は「北極の気圧が平年よりも低く、中緯度の気圧は平年よりも高く」なる一方、北極振動指数が負の時は「北極の気圧が平年よりも高く、中緯度の気圧は平年よりも低く」なります。つまり、北極振動指数が負を示すパターンの時には、北極からの寒気が南方の中緯度地域に放出されるパターンとなり、日本海側で豪雪が発生しやすいと言う事なのです。

 ここ2~3日の大雪はそれこそ第一級の寒気とも最強クラスとも称されているようですが、予報によると週明けからは気温も次第に上がってくる見通しです。

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スカラー移流過程の試解析

2010年01月10日 | 計算・局地気象分野
 事業計画書案(アイデア提案)も期限内に無事に提出した所で、数値シミュレーションの試計算結果を整理しています。三次元の数値計算プログラムは問題なく動作するようになりました。次の課題は「如何にして適切な計算条件を設定するか」です。

 局地的な気象特性のメカニズムを考察する際は気象観測データや局地天気図から考察する事が多いのですが、実際に数値シミュレーションを行って見ると新たな発見に出くわす事もあります。このような時はやっぱり目からウロコという心境になります。

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いよいよ新しい年が明けました・・・。

2010年01月01日 | 何気ない?日常
 年末恒例の「紅白歌合戦」を見ながら新規事業の資料を作成し、一区切り着いた所で熱流体数値シミュレーション計算をスタートした所で、新たな年が明けました。

 今は、この2010年が一体どんな一年となるのだろうか、と思いを馳せています。年末になると「良いお年を」という挨拶が頻繁に交わされますが、実際に良い年であるかどうかは、結局の所「その年末」になってみないとわからないものです。

 日本全体に漂う閉塞感。そしてこの状態の打開の希望を見出そうとして遂に実現した政権交代。若者が未来に希望を持てない、この時代。経済面ではデフレ・スパイラルと言う言葉が横行し、色々な意味で「苦しい」時代が続いているように感じています。

 四字熟語の一つに「苦尽甘来(くじんかんらい)」と言う言葉があります。これは「苦みがなくなり、甘みがやって来る。苦しい時期が去って、やっと楽しい日々が訪れること。」と言う意味です。

 新しい一年が、日本全体にとって「苦尽甘来」の年となる事を、心静かに願っております。私にとっても「苦尽甘来」そして「飛躍」の年としたい所です。
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