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計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

2025年2月の積雪を振り返る

2025年03月07日 | 山形県の局地気象
 山形県内における1976-2024年の各2月の降雪量(月降雪量)を地点毎に「箱ひげ図」で比較しました。「×」は平均値、「○」は外れ値を表しています。各地点で平均値と中央値の間に大きな差は見られなかったものの、変動の幅が広いことが見て取れます。

 この箱ひげ図の上に、この冬の実況値(2025年2月)を「★」で重ねてみました。過去の変動の範囲内には収まるものの、多くの地点で平均水準(×)を上回り、多雪傾向が現れました。



 続いて、米沢市について、2024年12月1日~2025年3月2日までの市内アメダスの日最深積雪と市内スキー場の平均積雪との推移をグラフ化しました。

 積雪量のスケール自体は地点毎に異なるものの、増加・減少の動向は概ね一致しました。積雪量の増え方が「階段状」になっているのが印象的です。また、アメダスの積雪増加から1日遅れてスキー場の積雪も増加する傾向が見られます。これは情報更新のタイミングの違いによるものと思われます。



 そこで、アメダスとスキー場の積雪深を1日ずらして相関関係を調べてみました。この結果、両者の間には強い正の相関が見られました。


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山形県内の花粉飛散の傾向

2025年03月06日 | 山形県の局地気象
 山形県内の3地点(庄内・山形・米沢)における春シーズン(2~5月)を通しての花粉飛散量を調べました。花粉飛散量の観測値は、環境省花粉観測システム「はなこさん」のデータを使用しました。

 まずは、地点毎の春シーズン(2~5月)を通しての花粉飛散量を箱ひげ図に表してみました。ここで、「×」は平均値、「○」は外れ値です。年(シーズン)毎にバラつきがありますが、米沢>山形>庄内の傾向が見られます。



 続いて、この3地点(庄内・山形・米沢)における花粉飛散量と気象要素の相関関係も調べました。この結果、翌春のシーズンを通しての花粉飛散量は「10月中旬の平均気温・11月上旬の降水量」との間に弱い正の相関が見られました(庄内の降水量は除く)。







 一般的には「前年の夏の気温が影響する」と言われているので、「タイミングの遅れ」が気になる所です。久光製薬「アレグラFX」の公式HPより「花粉の飛散量や時期ってどうやって調べているの?」(2025.02.27 閲覧)によると「花粉の雄花は秋に大きく成長する」とのことでした。

 夏の気象要因が秋の成長に寄与するとも考えられますが、秋の「成長の時期」の気象要因もまた重要と言えそうです。ただ、相関が「いまいち弱い」ようにも感じるので、引き続き検討が必要です。


 さらに、花粉飛散量の風向別比率および時別比率の関係を調べました。ここでは春シーズン(2~5月)を通しての花粉飛散量に対する風向別・時別の積算値の比率を算出しています。この結果から、地点毎に「花粉が飛散しやすい風向」や「ピークとなる時間帯」が窺えます。


 庄内では南西や東南東の風向の比率が顕著です。また、米沢は北西寄り(北西~西北西)や南南東寄り(南東~南)、山形は南西寄り(西南西~南南西)や北寄り(北北西~北)の比率が大きい傾向が見られました。


 時間帯に目を向けると、庄内は朝から昼過ぎにかけて、山形は昼前から夕方にかけての時間に山が見られます。また、米沢は昼前から夜にかけての時間帯に山が二つ現れています。


 最後に、花粉飛散量の累積比率と時別気温の関係についても調べました。ここでは春シーズン(2~5月)を通しての気温毎(四捨五入で整数化)の積算値の比率を算出しています。花粉飛散の約半数は、山形・庄内で11℃以上、米沢で8℃以上の時に発生しているようです。
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