計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

受賞の御報告

2019年10月31日 | 気象情報の現場から
 この度、10月29日付けで(公社)日本気象学会より「2019年度小倉奨励賞」を賜りました。

 (公社)日本気象学会では様々な表彰を行っておりますが、小倉奨励賞は「研究を本務としない環境において,気象学・気象技術に関する,優秀な調査・研究を行っている者,あるいは初等・中等教育等において優れた気象教育を行っている者等に対する顕彰」とされています。


 私の場合は、これまで20年近くに渡り取り組んできた、いわば気象予報士としてのライフワークでもある「山形県及び新潟県の気象解析のための数理モデルの開発」を高く評価して頂きました。

 今年の気象学会の秋季大会は、10月28日~31日の日程で福岡国際会議場(福岡市博多区)を会場に開催され、贈呈式は大会2日目の10月29日の午後に行われました。去る7月下旬に受賞の内示を頂き、8月下旬には気象学会のWebでも受賞者決定の旨が公表されました。そして、無事に贈呈式まで終了しましたので、この場をお借りして御報告致します。

 振り返れば、この取り組みを進めて行く中で様々な出会いがありました。一期一会の御縁もあれば、その後の人生を大きく変える御縁もありました。また、学会発表や論文投稿の際に、専門家の諸先輩方から頂いたコメントやアドバイスの一つ一つが、私にとって貴重な学びとなりました。

 実は内示のメールと頂いた直後は、しばし呆然としていました。まさか、自分が受賞することになろうとは、夢にさえ思ったことはなかったからです。そんな中での今回の受賞は、自分の取り組んできたことを「誰かが見てくれていたのだ」と実感できる出来事でした。

 さて、昨今の気象情報を取り巻く昨今の情勢に目を向けてみますと、防災面は勿論ですが産業界からも熱い視線が注がれています。今や気象情報は「リスクを減らす」のみならず、さらにチャンスを掴むための「羅針盤」となり得るものです。

 その意味では、最先端の気象学の「シーズ」と、ユーザーサイドの「ニーズ」の両者の橋渡しをしていくこともまた、気象予報士としての大切な役割と考えています。今後さらに地域に根差した形でフィードバックできるよう、努力・精進して行きたいと、想いを新たにしております。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

(一社)日本気象予報士会の講習会 2019

2019年10月19日 | CAMJ参加記録


 今日は(一社)日本気象予報士会(CAMJ)の講習会を受講してきました。今回は局地風の基本である「山越え気流」や「海陸風」などの講義、および大気の熱的状態を把握する「エマグラム」の読み取り方などの演習を行いました。

 さて、「山越え気流」については、所々で見聞きした図や用語が登場してきました。私の熱流体数値モデル(LES)も「山越え気流」の古典的な解析モデルをベースとしているため、2次元山越え気流のシミュレーションに取り組んでいた当時のことを懐かしく思い出しました。もう十数年も前のことになります。

 また、「エマグラム」は最近ご無沙汰になっております。これは大気の熱力学的な状態を図上でシミュレートできるので、熱力学的な考察を行う上でも重要なツールです。データを基に、自分で手を動かすのはとても勉強になります(しかし、時間も掛かる)。実際の現場では、スーパーコンピューターが計算した格子点値(GPV)やそれに基づく量的予報ガイダンスという専門資料・数値データを使うことが多いです。

 気象予報士に限らず「資格」と言うのは、資格を取得するまでの勉強内容(カリキュラム)はある程度、決まっているものです。しかし、いざ合格した後に何をどのように深めていくのかは、人それぞれです。合格するまでに勉強した内容を「共通のベース」としながらも、そこからどのように発展して行くのかが重要になってきます。

 私の場合は、CAMJの講習会・会報や気象学会の機関誌などを通してのインプット、そして研究成果の発表や討論を通してのアウトプットやディスカッションが重要な学びの機会となっています。今後とも、このように日常業務から離れた形での勉強の機会(Off The Job Training)を見つけて参加したいと思っています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

台風19号に伴う大雨(10月12日~13日・48時間降水量)

2019年10月14日 | 気象情報の現場から
 記事「台風19号に伴う大雨(10月12日)」に続いて、10月12日~13日の48時間降水量の分布を分析してみました。主な地点のみのプロットなので、かなりラフな分析ですが大まかな傾向は掴めました。


 地形の影響も併せて考察するために、さらに地形図を重ね合わせてみます。


 この結果、山沿いの地域で特に降水量が大きく極大域となっているのが判ります。

 この特徴から、そもそも台風本体の雲自体が大雨をもたらす力を持っていたのに加えて、さらに地形の条件が重なったことが窺えます。暖かく湿った空気が山の斜面に向かって流れ込み、そこで上昇気流となったことで、付近の対流活動がさらに活発化したものと考えられます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

台風一過、信濃川河川敷の夕日

2019年10月13日 | 何気ない?日常
 台風が過ぎ去った翌日の信濃川河川敷の夕日です。


 私の居る市内でも河川の氾濫や洪水が発生したようです。テレビでヘリコプターから撮影された映像を見て驚きました。

 同じ市内の中でも特に被害の大きな所をクローズアップして放映しているものと思いますが、あのような映像を見せられると、まるで「その市内全域が浸水している」かのように錯覚してしまうかも知れません。

 地元の情報サイトのライブカメラを見ると、浸水や洪水までは行かないものの、河川が増水し、水面が上昇してきてる様子が見て取れました。様々な情報を確認した上で、川の近くのスーパーに買い物に出かけ、そのついでに川の写真を撮りました。

 同じ時刻に別の角度から撮影した写真です。


 見ての通り、かなり増水しています。

 今日はスマホの緊急速報メールが何度も鳴り響いていました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする