計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

帝国は戦争によって発展し、戦争によって衰退する

2023年09月27日 | 何気ない?日常
最近(8月から)少しずつ読み進めていた本です。


山﨑圭一 先生, 2018:一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書.SBクリエイティブ,351pp.

 膨大な内容をコンパクトに圧縮しつつも、歴史の流れが掴みやすく解説されています。各章の初めに歴史全体の流れ図が掲載され、また文章の途中にも判りやすい解説図が挿入されるなど、著者である山﨑先生の豊富な経験に基づいた工夫が随所に見られます。

 また、本の記述に加えて「映像授業」を平行して受講することで、理解を深めました。
高校 世界史 映像授業 Try IT(トライイット)新里将平 先生

 こちらは「372本」の動画で構成されています。動画は1.5倍速で視聴すると丁度良いスピードです。詳細な部分についても、ユーモアも交えつつ丁寧に解説されています。このような動画を手軽に受講できるのはありがたいですね。

 世界史(通史)の範囲を「何とか一巡しただけ」なので、まだ語句や名前を覚える所までは達しておりません。ただ、とりあえず歴史の大まかな流れは掴めました。

 振り返ってみると、世界の歴史上、様々な帝国が興亡を繰り返しています。そのプロセスに目を向けると、一つの法則(のようなもの)が浮かび上がってくるのです。それが、今回の記事のタイトル「帝国は戦争によって発展し、戦争によって衰退する」です。

 強大な力を持つ「帝国」は戦争を繰り返すことで「領土」や「植民地」を拡大し、多様な民族を内包して発展します。しかし、ある程度(限界)を超えると、戦争を繰り返す度に国内は疲弊し、財政を圧迫し、さらには内政もぐらつき始めます。やがて、敗戦もしくは国内の革命勃発により、政権の崩壊を迎えるのです。但し、帝国そのものが滅亡するとは限りません。しかし「存続」はしつつも、その影響力は衰えてゆくのです。

 さて、労働組織については「ピーターの法則」が良く知られています。これは、簡単に言えば「能力の限界まで出世すると、そのポジションで無能化する」というものです。

 帝国の発展と衰退についても、ピーターの法則のような「歴史の法則」があるのかも知れません。そういえば、平家物語にも「盛者必衰の理」「たけき者もつひには滅びぬ」とありますね。
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波形の重ね合わせ

2023年09月12日 | 計算・局地気象分野
 ニューラルネットワークで多く用いられるシグモイド関数を組み合わせると、三角関数のような波形を作り出すことができます。次の図のように、基準となるシグモイド関数(黒)を、x軸方向に正の方向()と負の方向()にそれぞれ平行移動して、その両者を線形結合(重ね合わせ)することで、新たな単発パルス波形()が得られます。



 さて、「フーリエ級数展開」で知られるように、一般的に「任意の関数は三角関数の線形結合で表現(近似)できる」ので、上記のシグモイド関数()の波形でも同様のことができるかも知れません。そこで、三角関数の波形シグモイド関数の単発パルス波形の重ね合わせにより、それぞれ矩形波の近似関数を作ってみました。


 左が三角関数を5つ重ねた波形、右が単発パルス波形を5つ重ねた波形(シグモイド関数は10個に相当)です。右(シグモイド関数)の場合は、左(三角関数)ほどではないにせよ、それなりに「矩形波」を表現(近似)しています。なお、適用区間は「-2≦x≦2」に限定しています。

 ここで、重ね合わせに用いた波形(成分)を列挙してみましょう。まず、三角関数については、下記の5種類の関数を重ね合わせました。


 続いて、シグモイド関数については、下記の5種類の単発パルス波形を重ね合わせました。



 従って、シグモイド関数を幾つも重ね合わせることで(線形結合)、近似関数を作り出すことができます。

 ニューラルネットワークでは、多くのシグモイド関数を段階的に重ね合わせることで、その関数近似能力を高めているのです。しかも、機械学習のプロセスにおいては、個々のシグモイド関数の重みを「自動的に」調節しているのです。
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今年(2023年)の8月は「記録的猛暑」だった。

2023年09月05日 | 山形県の局地気象
 先日(8月25日)の記事「今年(2023年)の猛暑を甘く見てはいけない」でも述べましたが、今年の8月は「猛暑日」が頻発しました。

 山形県内4地点(酒田・新庄・山形・米沢)における8月の日最高気温の推移(1976~2023年)を調べました。日最高気温は「猛暑日」「真夏日」「夏日」「夏日未満」の4階級に分け、各々の出現回数を表示しています。今年(2023年)は「夏日」が各地とも「1日だけ」ありましたが、残りは「真夏日」と「猛暑日」でした。






 ちなみに、8月の山形県内の熱中症による救急搬送状況は下記の通りです。今年(2023年)の8月の暑さの影響の大きさがうかがえます。

・2023年:523名 (7/31 - 8/26) ※速報値
・2022年:139名 (8/ 1 - 8/31)
・2021年:238名 (8/ 1 - 8/31)
・2020年:387名 (8/ 1 - 8/31)
・2019年:447名 (8/ 1 - 8/31)
・2018年:196名 (8/ 1 - 8/31)
・2017年:103名 (8/ 1 - 8/31)
・2016年:177名 (8/ 1 - 8/31)
・2015年:142名 (8/ 1 - 8/31)
・2014年:167名 (8/ 1 - 8/31)

【出典】総務省消防庁のホームページ(2023年09月05日・閲覧)
救急搬送状況 令和5年の情報
過去の全国における熱中症傷病者救急搬送に関わる報道発表一覧


 続いて、山形県内4地点(酒田・新庄・山形・米沢)における8月の降水量の推移(1976~2023年)を調べました。年毎にバラツキはありますが、「今年(2023年)の降水量が少なかった」ことは明らかです。前年(2022年)とのコントラストが顕著です。また、各地の今年(2023年)8月の降水量を平年値と比較してみると、次のようになります。

・酒田:13.0mm (平年値:205.6mm,平年比: 6.3%)
・新庄:53.0mm (平年値:196.4mm,平年比:27.0%)
・山形:60.5mm (平年値:153.0mm,平年比:39.5%)
・米沢:57.5mm (平年値:151.4mm,平年比:38.0%)

 今年(2023年)8月の降水量は、平年の4割に満たないことが判ります。



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