計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

単なる「チョコの日」ではないのかも・・・。

2013年02月13日 | オピニオン・コメント
 明日は「St. Valentine's day」という事で、チョコレートの準備に勤しんでいる方も少なくないかもしれません。

 かつては「女性から(お気に入りの)男性にチョコレートを(一方的に)あげる日」だったこの日も、近年では「友チョコ」や「自分のためのチョコ」等のヴァリエーションも広がり、広義の「チョコレートで楽しむイベントの日」に変わってきたように感じます。

 そもそもの起源は、こちら(日本チョコレート・ココア協会HPより「バレンタインデーとチョコレート」)にもあるように、ローマ帝国の時の皇帝・クラウディウス2世は、愛する人を故郷に残した兵士がいると士気が下がるという理由で、兵士の婚姻を禁止した(結婚制限法)のが事の発端とされています。これに反旗を翻し、兵士の『自由に愛する権利』を守ろうとしたヴァレンティヌス司教は、秘かに兵士を結婚させ、それが皇帝の知る所となり、捕らえられ、処刑されました。その日が2月14日。

 人間の歴史を振り返ってみると、何時の世にも「支配する側(支配者)」と「支配される側(被支配者)」が存在し、「支配者が被支配者の自由・権利を制限する」事によって「秩序を保っている」構図が窺えます。その制限は、時として従属者の「人間としての尊厳=基本的人権」を大きく損ねるものに発展する場合もあります。やがて従属者の中の有志が立ち上がり、時の支配者に立ち向かい、自分たちの「自由と権利、人権」を獲得するために声を上げ、戦いを挑む・・・。封建制度時代の一揆から、国家の体制を揺るがす革命まで、その形や規模は千差万別ですが、大なり小なり、このような動乱の繰り返しや変遷が、歴史を次のステージへと動かしているようにも思えます。

 ヴァレンティヌス司教もまた、人々の『自由に愛する権利』を守るために立ち上がりました。彼は武器を手にするのではなく、声を上げるのではなく、静かなれど強い信念を持って、時の権力に挑みました。その結果、殉職という結末を迎えたのです。

 今日のような「自由」や「人権」と言う思想が確立されるまで、どれほど多くの先人達が立ち上がり、そしてその全てを捧げてきたのか・・・。その多くは、後世にその「名前」こそ知られる事は無かったけれど、その「想い」や「願い」は後に「自由」や「人権」と言う思想と言う形で、時空を超えて脈々と生き続けているのです。

 単に「チョコレートをあげた、もらった」と言う表面的な現象で一喜一憂できるのも、一見「たわいもないない事」ですが、その根底にある「自由や権利」の思想が確立されるまでに、多くの試練の歴史があったことに思いを馳せるのです。

 そのような偉大な先人の一人であるヴァレンティヌス司教の命日に、私は敢えて「Happy Valentine」とは申しません。先人たちに敬意を表して"Respcet to Valentine"

 明日は、単なる「チョコの日」ではなく、自由や基本的人権が確立されるまでの闘争の歴史に思いを馳せる良い機会なのかも知れない・・・そんな事を感じました。そんな事を考える事を自体・・・歳をとったと言う事か。
コメント
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