計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

2024年1月は少雪傾向

2024年01月31日 | 気象情報の現場から
 この冬は暖冬・少雪の傾向にあるため「雪のイベント」にも開催規模の縮小など、影響が出ているようです。

 以前(2019年)、「開催直前の気温上昇のリスク」を想定した「天候デリバティブ」を検討したことがあります(その論文)。これは、山形県米沢市の「上杉雪灯籠まつり」を念頭に、「1か月アンサンブル予報」を応用して天候リスクの評価を試みたものです。


 しかし、現実問題としては、そもそもの原材料となる雪が少ない「少雪のリスク」をヘッジするケースも検討した方が良さそうですね。対応策としては様々なアイデアが思い浮かびます。もし、「天候デリバティブ」のプランを想定すると、期待された利益や効果が得られない場合に、そのダメージを最小限に抑えるというアプローチが考えられます。

 また、天候デリバティブで得られた補償金を元手に、降雪装置などを稼働する方向もあるかもしれません。その場合は諸々のコストと比較して検討する必要があると思われます。


 さて、新潟県内にも目を向けてみます。ここでは上越・妙高・十日町における12月と1月の降雪量に関して、平年値と今季の比較を行いました。棒グラフからも明らかなように、12月の高田を除くと、今季は平年値を下回る傾向が現れています。



 ここで、平年値とは過去30年間(2024年の場合は1991~2020年が対象)の平均値です。そこで、この30年分の「平均値」ではなく「変動の範囲」で比較してみましょう。そこで、平年(1991~2020年)の12月と1月の月降雪量の変動を箱ひげ図に表してみました。


 この箱ひげ図において、この冬の12月、1月の値がどこに来るのかを見てみると・・・12月の高田・安塚を除いては、今季は第一四分位点以下の水準となりました。やはり、この1月は「雪の少ない冬」と言えそうです。
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2023年12月の傾向(山形県)

2024年01月05日 | 山形県の局地気象
 先日の記事「2023年12月の傾向(新潟県)」と同様に、山形県における「2023年12月の平均気温と降雪量の推移」を25日まで調べてみました。

 概ね5日~17日頃までは平年より高温傾向で推移しました。その後、平年より低温傾向に転じると顕著な降雪となりました。4地点のグラフからは、17日頃を境に傾向が大きく変わっているのが見て取れます。





 
 過去の記事「2023年12月の傾向と背景」でも述べたように、12月前半は偏西風のリッジ位相が卓越したものの、後半はトラフ位相が進んできたことで寒気の南下が顕著に現れました。

 そこで、平年(1991~2020年)と昨年(2023年)12月の高層850hPa面における気温分布(秋田)を「箱ひげ図」の形で比較しました。箱ひげ図は4つ並んでいます。左から順に、平年の09時、21時、昨年の09時、21時です。この結果、昨年12月の気温は09時、21時共に「平年よりも高めの傾向」が見られた一方、その範囲は「平年の変動の範囲内」に収まっていました。



 続いて、850hPa面気温の平均値について統計学的検定を試みました。まずは、平年と昨年の各々について、09時と21時を一まとめにして「2標本(2群)検定」に持ち込みます。ここで、各標本(群)ともに標本の大きさは十分に大きいことから「大標本」と見做すことができます。

 従って、標準偏差σを標本標準偏差s(不偏分散の正の平方根)で代用した「z検定」を行いました。この結果、有意差(2023年>平年)が見られました。

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年明け早々の地震

2024年01月02日 | 何気ない?日常
 新年早々に「2024年能登半島地震」が発生しました。まずは、被害に遭われた皆様にお見舞いを申し上げます。

 1月1日は私の住む市内でも「震度6弱~震度4」程度と大きく揺れました。海側ほど震度が大きいように見受けられました。

 さて、今はインターネットを通して、様々な情報を得ることが容易になりました。しかし、SNSなどで拡散される情報は玉石混交です。事実とは異なる情報も含まれているようです。まずは、気象庁や自治体をはじめとする公的機関の発表など、出所が信頼できる情報を優先しましょう。また、地震発生のメカニズムについては「専門家」に任せましょう。

 情報収集という観点では、コミュニティFMラジオを聴くのも一つの方法です。身近の被害状況・避難指示や避難所の案内など「地域に根差した情報」は、コミュニティFMラジオでも放送されています。インターネットのサイマルラジオ経由はもちろん、インターネットをお使いでない方でも携帯ラジオで視聴可能です。

─有事の際にラジオを聴いてもらえるよう、平時は楽しい番組をお届けしている─

 以前、コミュニティFM放送の中で聞いた言葉です。自然災害や事故・火災など、地域における「有事」の際に、身近で役立つ情報を提供するメディアが「コミュニティラジオ」です。

 しかし、日頃からラジオに親しんでいないと、「いざ有事」となっても「ラジオを聴く」ことに思い至らない・・・ということにもなりかねません。そこで、「平時から」ラジオに親しんでもらうために、楽しい番組を放送するのです。

 今は「有事」です。放送スタッフの皆さんをはじめ、リスナーの皆さんも、今、自分にできる事から始めていきましょう。
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