山本飛鳥の“頑張れコリドラス!”

とりあえず、いろんなことにチャレンジしたいと思います。

翁の知恵

2006-02-07 19:11:52 | 未分類過去
天気予報のとおりに、朝起きると外は銀世界になっていました。

外に置きっぱなしの我が家の自転車には水っぽい雪が厚く積もり、高校に行く娘は手持ちのタオルでサドルとハンドルの上の雪を拭い落としました。
そして、娘は自転車を道路に引っ張り出すと、今度は車輪の間やサドルの上にかたまって詰っている雪を落とそうとしていました。
私は3階の窓からそのようすを見て、すでにいつもより3分も経過していることを確かめ、「そんなに丁寧に落としてると遅刻するよ!雪なんか、走ってりゃあ自然に落ちるでしょ!」と声をかけました。
娘は見上げると「うるさいっ!遅刻になんかならないよっ!」と言い、私をいらだたせるために、何やらわざと丁寧に雪を落としているようにさえ見えました。

そこに、ばしゃーんという水の音。
何かと思ってみると、娘から5メートルほど離れたところに男物の自転車があります。その自転車には雪はまったく積もっていません。というか、それは、一瞬のうちに雪が排除された自転車なのでした。
公営住宅の同じ棟に住む80過ぎのおじいさんが、共同水道からバケツに水を汲んで、それを雪の積もった自転車にぶっ掛けたのです。
思わず、「すごっ!」と叫んでしまいました。娘もおじいさんの自転車を振り返って、目が点になっているようでした。
おじいさんは、雑巾でサドルを拭くと、さっさと自転車に乗って出かけていきました。

娘は、まだそれから前カゴのなかの雪を丁寧に払い落としてから、やっと出かけていきました。

このおじいさん、最近ずいぶんと年老いてきたようで、危なげに見えることもあるのですが、時々かなわないなあと思わされます。

昨年の夏、うちは夫の母の新盆で、初めて迎え火というものをやってみたのですが、「おがら」というのを買ってきて、夫と共に火をつけようとしていたところ、全然うまくいかないのです。マッチを何本も使って広告なんかの紙を燃やして、おがらに燃え移らせようとするのですが、すぐに消えてしまうのでした。

そこに、例のおじいさんが平らな板とおがらを持ってやってきました。
私たちはずっと前から奮闘中だったので、「これなかなか燃えないもんですね」などと声をかけました。おじいさんは無愛想な人なので、何の返事もしないで、板の上におがらだけを置くと、いきなりライターかなんかで火を起こし、あっという間に燃やし終わって、無表情のまま「燃えたよ」と一言言うと、ほんのわずかな炭だけが残って載っている板を持って家に帰っていきました。
すごいっ!
その後、私たちはやっとおがらを燃すことに成功したのですが、おがらが燃えたと言うよりも主に紙を燃したという感じで、大量の広告紙の燃えカスとおがらの燃え残りが残ってしまいました。そこに水を掛けたので、後で地面の上の水にまみれた燃えカスを掃除するのが大変でした。こんなゴミ焼きみたいなやり方では、戻って来るおばあちゃんの霊もあきれてしまったのではないでしょうか。

「あのじいさんすごいね。昔は毎日、石や木で火を起こしていたんじゃないのかな」
「あのやろう、こっち見てバカにしてたみたいだぞ。くやしいけど、かなわないな」
と夫と話しました。




コメント