股間の解放記

普通の社会人PEKOの、日々思うことをつづっていきます。

ラビット・ホール

2012年05月15日 11時23分47秒 | 映画評論ヤラワ行
製作年:2010年
製作国:アメリカ
2011年11月5日公開
監督:ジョン・キャメロン・ミッチェル
出演:ニコール・キッドマン,アーロン・エッカート,ダイアン・ウィースト
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郊外の閑静な住宅街に暮らすベッカとハウイーのコーベット夫妻。彼らの幸せな生活が一変したのは8か月前。一人息子ダニーが道路に飛び出して交通事故に遭い、わずか4歳でこの世を去ってしまったのだ。それ以来、2人の心には埋めようのない欠落感が生まれていた。ダニーとの思い出を大切にして前に進もうとするハウイーとは対照的に、亡き息子の面影に心掻き乱されるベッカ。同じ痛みを共有しながらも、夫婦の関係は少しずつ綻び始める。立ち寄った実家でも、母親ナットとの間に漂う気まずい空気。そんな帰り道、ベッカはある少年を目撃する。
愛するものを失った悲しみ。それが愛する自分の子だったら、その喪失感は限りなく大きいだろう。本作はそんな夫婦の物語。“ラビット・ホール(ウサギの穴)”とは、「不思議の国のアリス」でウサギを追いかけてアリスが落ちた穴の事。不思議の国に迷い込んでしまったアリスのように、子どもの死をきっかけに今までとは別な世界に迷い込んでしまったというたとえだろう。この夫婦が悲しみと寄り添いながらも生きていく決意をするまでを丁寧に、そして繊細に描いた作品。キッドマンは本作の演技により、2011年アカデミー賞主演女優賞にノミネート。

大切な人を失う悲しみ。傷の深さや痛みは人それぞれであり、立ち直る方法も人それぞれである。この作品の夫婦も不慮の事故で息子を亡くしてしまいます。同じ悲しみを知る夫婦だから、こういう時こそお互い支えあって前を向かなきゃいけないのだろう。だけど相手との向き合い方が分からない…。
痛みは本人にしか分からない。それは当然かもしれません。「大丈夫だよ」「元気出しなよ」とは言っても本当の苦しみを知ることは出来ない。だけど苦しんでいる人にそっと寄り添ってあげること。何も出来ないけれど、やはりそれが大切なことだと思います。少しでも理解しようとする気持ち、前に進もうとする気持ち、そして過ちを認めて謝る気持ち。加害者のジェイソンだって可哀想とも思えますが、人をひいてしまった事には変わりない。人は突然に被害者になり加害者になる。そんな時に自分はどうなってしまうのか…とても考えさせられました。

人は人生の中で一度は悲しみを経験すると思います。悲しみを乗り越えるにはどうしたらいいのか?劇中でお母さんが言うセリフ

「悲しみは変化する。耐えやすくなっていく。時には忘れさえもする。でもいつもそこにあって、ふとしたときに思い出す。」


まさにその通りだと思います。やはり母は偉大なんですね。
私も大切な人を亡くした経験があります。悲しみを忘れないで生きていくことが大切なのかな。主人公が加害者少年と交流を深めようとする気持ちがちょっと理解できませんでしたが、加害者側と交流することで前に進める人も中にはいるかもしれません。重いテーマではありますが観て良かったと思える作品でした。

この作品の評価・・・・77点
コメント
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