パピとママ映画のblog

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ジェーン ★★★

2016年10月24日 | アクション映画ーサ行

『ブラック・スワン』や『マイティ・ソー』シリーズなどのナタリー・ポートマンが、製作と主演を務めたウエスタン。ニューメキシコを舞台に、夫を傷つけた悪漢に戦いを挑む女性とその手助けをする元恋人の姿を描く。メガホンを取るのは、『ウォーリアー』などのギャヴィン・オコナー。『スター・ウォーズ』シリーズなどのユアン・マクレガー、『ウォーリアー』にも出演したジョエル・エドガートンらが共演している。ナタリーが見せるガンアクションに注目。
あらすじ:ニューメキシコで夫のハム(ノア・エメリッヒ)と娘の三人で平穏な日々を過ごしていたジェーン(ナタリー・ポートマン)だったが、ハムが悪名をとどろかせているビショップ一家を率いるジョン・ビショップ(ユアン・マクレガー)に撃たれてしまう。重傷を負って苦しむ夫と娘を守る決意をしたジェーンは、以前付き合っていた南北戦争の英雄でもあるダン(ジョエル・エドガートン)に助けを請う。久々の対面を果たしたのを機に過去を思い返す二人。そして、ビショップ一家との対決が近づいていた。

<感想>久しぶりのナタリー・ポートマン主演の作品、それも汚れ役ときてる。彼女にはとてもハマリ役だと思う。「I’ll be back」と言い、必ず君のもとに帰ってくるから待っていて。映画や小説の中でこの手のセリフを男が女に置いて去る時には、悪い予感がするものだ。十中八九、男は戻ってこないから。たったこの一言で“待つ女”をセッティングできることは確かである。待たされるのは女だけではなく、観客も同様であります。期待と不安を詰め込まれた観客は、たちまち女となり替わり、先延ばしされた約束を待つことに付き合わされるのだ。

その結果が苦いものであれ、甘いものであれ「I’ll be back」の効果は物語を躍動させるほどに劇的になっている。戦前のジェーンは恋人のダンが南北戦争に徴兵されたために、“待つ女”になってしまう。それにダンの子供を妊娠していたのだから。
まさにこれが「ジェーン」という長いドラマの起点となる。今度は夫のハムにジェーンが、「I’ll be back」と言って家を出て行く。“待つ女”から“待たせる女”へと立場を逆転させるのだ。ところがジェーンは、わりとあっさりと帰ってくる。

ダンの「I’ll be back」に比べれば、ジェーンのそれはさりげなく、身構えた観客に対して呆気ないほど。その後も、夫のサムは戻って来なくていい、自分を見殺しにして逃げろと言うも、瀕死の夫のもとにジェーンは意地でも残るのだ。
つまり、ジェーンは自分が待たされたようには、男を待たせることをしないと決めた女なのだ。

女性が自立する物語ですが、単なる男女の反転ではない。戦時にあたって銃後の守りについた彼女が、戦後になって銃を手に取り武装する。あらたに彼女が何を戦い始めたかと言えば、夫と子供を守ること。ジェーンは家族が一番に大事なのだ。

生活保守の武装自衛戦が始まるわけだが、敵は戦中戦後の混乱を利用して女たちを半ば誘拐する形で売春街の経営に乗り出した反社会的勢力である。しだいに観客に明らかにされるように、ジェーンはその売春宿で働かされた上に決定的な喪失感をもたらされた過去を持つ。それはダンの娘を拉致されて殺されたということ。

だから、ジェーンの戦いは私的な動機に支えられているが、戦闘を開始するにあたりジェーンは拳銃の撃ち方を習うがどうにも酷い腕前であった。ところが拳銃を猟銃に持ち替えた途端、ジェーンは優秀なヒットマンに様変わりする。彼女曰く、生きるために獣を狩りしなければならない。夫や子供のために自分で獣を仕留めてきたから。
それは、床下の貯蔵庫の保存食で火炎瓶を作り、猟銃で敵をぶっ殺すのだ。どうして、恋人のダンを待っていなかったのかというと、戦時中の女は弱いものであり男に誘拐され、売春婦として働かされる。売春宿にいる時に、今のサムに見受けをしてもらい、現在の小屋に住んでいる。夫の仕事はどうやら賞金稼ぎのよう。そういう夫にも2000ドルの賞金が掛かっている。

敵は、その売春宿を経営していたビショップのユアン・マクレガーであり、昔の恋人ダンに金を払って助っ人を頼むも断られる。仕方なく、町へ行き大量の弾薬を購入。その時に運悪くビショップの子分に見つかり、絶体絶命のピンチに立たされる。その場を救ったのが、銃を手にしたダンである。

困っているジェーンを助けようと、家まで一緒に来て、襲撃に備えてビショップたちが現れるまで、家の庭にワナを仕掛けて、家の床下に夫のサムを隠して準備をする。
それから、2人は過去のことを語り初め、ビショップに拉致され売春宿で働かされていたことを。ハムに助け出されたことも。

夜になり、ついにビショップたちが襲ってきた。珍しく悪役のビショップを演じたユアン・マクレガー、顔が童顔なので髭ズラで決めているが、それでも私にはいい男にしか見えなかった。敵は10数人であり、家は蜂の素状態に穴が開き、夫も重体で今にも死にそうだ。それに、ジェーンも腹を撃たれており、最悪な状態に。それでも、敵を倒して、裏の崖まで馬で逃げようと頑張る2人。ダンには、「ブラック・スキャンダル」のジョエル・エドガートンが扮しており、最後まで諦めないというジェーンの心情が伝わってくる。

それは、友人に預けたハムとの娘と、ビショップに殺されたと思っていたダンの娘を連れ戻して一緒に暮らすことを。ラストでジェーンがビショップを追い詰めて殺すところ、命乞いするビショップがダンの娘がまだ生きているということを知らされる。それに、5000ドルの賞金がかかているビショップを、ジェーンが殺して金に換えるという、彼女が一流の賞金稼ぎになったと言うことも分かる。
ナタリー・ポートマンが、主演と共に自らの制作会社でプロデュースも担当しており、女優だけでなく製作者としても彼女が活発な活動を続けていることが分かる。

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