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ビール・ストリートの恋人たち★★★

2019年04月05日 | アクション映画ーハ行

前作「ムーンライト」がアカデミー作品賞に輝いたバリー・ジェンキンズ監督が、公民権運動家としても知られたアメリカ黒人文学の巨匠ジェイムズ・ボールドウィンの同名小説を映画化した純愛ストーリー。1970年代のニューヨークを舞台に、理不尽な人種差別に立ち向かい愛を貫こうとする若い恋人たちの姿と、それを支える家族や友人たちとの愛と絆の物語をエモーショナルに綴る。主演は本作が長編映画デビューの新星キキ・レイン。共演にステファン・ジェームズ、ディエゴ・ルナ、レジーナ・キング。

あらすじ:1970年代のニューヨーク。19歳の黒人女性ティッシュは幼なじみのファニーと恋人同士。ところがある日、白人警官の怒りを買ってしまったファニーは、強姦の罪をでっち上げられ留置所送りとなってしまう。その直後、ファニーの子をお腹に授かったことが判明したティッシュ。留置所のファニーに妊娠の事実を伝えるとともに、子どもが生まれてくるまでに自由の身にしてあげると誓う。そして母のシャロンをはじめ家族や周囲の人たちの協力を得ながら、無実の証明に奔走していくティッシュだったが…。

<感想>1970年代ニューヨークのハーレムに生きる若いカップルの純粋なラブストーリーと聞けば、ありきたりの印象しか与えないが、そこは不滅の巨匠ジェイムズ・ボールドウィン文学だけに、瑞々しい描写の中にも1本筋の通った怒りと抵抗の映画に仕上がっていた。

それにしても、なんと物静かで優しく、しかも心のひだにぐいぐいと分け入るような強い映像が続くことか。主人公の19歳のティッシュとその恋人で22歳のファニー。愛し合う2人に子供ができたのだ。当然、喜ぶべきのはずなのに、彼のファニーは強姦という無実の罪で警察の留置所に入っていた。

驚くティッシュとファニーの両家族は、何とかファニーを助けだそうと奔走するのだが。極めてシンプルな構造のドラマではあるが、そこは黒人の心情を描き続けてきたジェンキンズ監督のこと。まるで舞台劇のように場面を巧みに転換させて、周到な準備のもとに構築した一点、一画を揺るがせにしないカメラワークで、個々の人物を見つめて行くのである。

そのバランスが崩れて一気にドラマが進展するのが、後半部分。事件の真相を求めて娘の母親、レジーナ・キングが事件の被害者のいる、プエルト・リコに乗り込むあたりからである。その怒りと憎しみを爆発させるキングの演技は評判通りであって、一見に値します。

それにしても、男のファニーとその母親の断絶についても気になるところだ。それに、妹2人もだ。情けない父親も。ずかずかとファニーの家にやってきて、母親が厳しい口調で娘をけなすのだ。本当に腹の子供は、息子の子供なのかとか。家と家との風習が違うとか、教育も躾も、男の母親が厳しい口調で物申すのだった。

本当だったら、強姦で捕まったファニーの家族が、弁護士を雇いなんとかするだろうに。相手の男の両親は、話にならない。息子が刑務所に入っているのに。それがどうにもならないので、娘のお腹の子供のこともあり、母親が被害者に会いにいくことになるとは。

それでも、映画は彼と彼女が愛を深める描写が、かなりの分量でカットバックされるのだから。髪をアップして化粧をして、ワンピースを着るティッシュは美しい。友達の紹介でデパートで香水の販売をする。黒人が売り子なので、白人の男性の客が嫌がらせをする。白人の婦人もそうだった。結局はお腹が目立ってきて、クビになってしまう。それゆえに、女の受難が際立つのが目につくのだった。

何にも解決しないまま「終わり」を迎えるストーリーに、やるせない気持ちが残ります。「人間の違いは母親が違うだけだ。」というセリフがあったが、娘ティッシュのためにと、母親が颯爽と被害者のいるプエルト・リコに乗り込んでいく。これもどうかと思うのだが、下調べもしないで。

偉大なる母親の愛と、盗品を売りさばいて、金を工面する父親の愛の対比にも、何だか嫌な気分にさせるのだ。いくら貧しいからといって、盗んだ物を売りさばいて金を作ることは、やっぱりいけないことですよ。

だが、どうにも納得がいかないのだ。嘘の証言をした女、被害者も適当な女であり、絶対に嘘の証言をしている。どうして、彼は強姦をすることになったのか、とんと理由が分からないのだ。弁護士は白人であり、要領がえず、結局は裁判でも黒人であるファニーが不利の判決を受けてしまう。刑務所へ生まれた息子を連れて面会に行くティッシュ。子供も5歳くらいであり、すでに6年近く留置されている。結局は、男は強姦をしたことになり、罪を償うのだ。

無実の罪で黒人男性が収監されてしまう。それにはきっと奥深い理由があるのだろうが、何故に、愛する女がいるのに強姦とは?・・・それがとんと理解できない。黒人の人種差別の苦悩を描く社会派ドラマなのだが、主人公の2人の若者が、どんな差別にも、どんな逆境にも揺るがない純粋な愛。その強い愛情の強さを物語っているのが、留置所のガラス越しでの面会シーンである。面会室で、ガラス越しに向き合ったティッシュとファニーが愛の言葉を口にするとき、2人を隔てるものは全てなくなるのだった。

最後にでも、もっとしっかりとした結末が見られると思ったのに、社会の理不尽さをあまり主張しないで、穏便にすまそうということなのか。

 

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