パピとママ映画のblog

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探偵ミタライの事件簿 星籠(せいろ)の海 ★★★・5

2016年06月08日 | アクション映画ータ行

人気ミステリー作家・島田荘司が手掛けた人気シリーズ「御手洗潔シリーズ」のエピソードを基にした謎解きミステリー。6時間ごとに潮の満ち引きが繰り返される海を舞台に、探偵御手洗潔が謎を推理していく。主人公の天才探偵役には玉木宏。『相棒』シリーズなどの和泉聖治がメガホンを取り、島田がシリーズ初の映画化にあたり新構成の考案に参加。映画オリジナルのヒロインを演じる広瀬アリスのほか、石田ひかりや小倉久寛といった共演者たちにも注目。
あらすじ:天才的な頭脳で、数々の難事件を解決に導いてきた脳科学者・御手洗潔(玉木宏)。ある日、御手洗は半年の間に6体もの死体が海岸で発見されたという“死体島”の存在を知る。事件の現場である瀬戸内海の興居島に着いた御手洗は、死体が海流によってある場所からこの島に流れてきたと推理。その場所を広島県福山市だと突き止め、福山へ移動した御手洗たちだったが、外国人女性の変死体が発見されるなど奇妙な事件に遭遇し……。

<感想>探偵が趣味という変わった科学者の御手洗潔が登場する小説は、34年間で中短編合わせて49もあるという。原作は未読だが、人気ミステリー作家・島田荘司の故郷である広島の福山市が舞台である「星籠(せいろ)の海」が選ばれた。シリーズの集大成と太鼓判を押す作品であり、“時計仕掛けの海”こと瀬戸内海にまつわるミステリーであります。

主人公御手洗潔には玉木宏、イケメンでなければいけないのでぴったりなキャスティングでした。約10ページの台本を一人で話続けるシーンも、ほぼテイクなしでワンカットで撮影したそうな、一度もセリフを間違えなかった玉木宏の天才肌の俳優さん。その助手の小川みゆき役の広瀬アリス、そして福山署の刑事に小倉久寛が、その他には歴史館の石田ひかり、要潤、吉田栄作他。玉木宏を見ていると「シャーロックホームズ」を思い出す。

難事件:1瀬戸内海に浮かぶ風光明媚(び)な島の入江に、半年間で6体もの遺体が流れ着いていることが判明する。遺体はどれも死後3~4日間経過しており、激しい損傷と身元・死因が不明である点が共通している。御手洗は、この島で行方不明になった者が皆無であることからも、「時計仕掛けの海」と称される瀬戸内海の特殊な現象が関わっていると推察する。

難事件:2広島県・福山市のアパートで、東南アジア系女性の遺体が発見される。水漏れによる階下からの苦情で部屋を訪れた管理人が第一発見者。現場に到着した御手洗と刑事たちは、足の指の間に注射痕を発見し、死因が危険ドラッグの過剰摂取によるショック死であると判断する。すぐに現場検証しようとする刑事たちを制し、御手洗は現場をそのままにして張り込みすることを提案する。

難事件:3豪雨の中、龍神の滝・滝つぼで居比修三・篤子夫妻がくいに縛られた姿で発見される。そばにはまだ赤ん坊の息子・善樹の遺体が浮かんでいた。夫妻は誘拐された息子と身代金の交換の際に拉致され、生きたまま拘束されたが、誘拐事件は、ベビーシッターの辰見洋子が子守をしていた際に自宅に侵入した何者かによって行われていた。御手洗は夫妻に加え、誘拐犯行時に腹を刺されて入院中の洋子にも事情を聞こうとする。
「死体島」「外国人女性変死事件」「居比家誘拐殺人事件」 3つの難事件がつながる。パズルのピースが1つになる謎解き感がたまらないのだ。織田信長や村上水軍など、歴史要素も絡んだ3つの壮大な謎を御手洗はどう解決するのか。

いくつもの変死体や不可解な状況での無惨な家族皆殺し事件など、横溝正史の世界を思わせる、おどろおどろしい事件が次々に発生する。さらには地理や伝説、古文書まで関係してきて、何やら死体と謎の大盤振る舞いが広げられる。
何とも早、すべては映画の中だけで何が何やら、謎解きなんて共有できない。脚本があまりにも独りよがりすぎて、謎のための謎、仕掛けのための仕掛けでは事件の流れ作業と同じである。ロケ地やその他、大作ふうなのに費用も掛かっているようでもったいないですね。
ですが、要潤扮する博物館の地味な男が、ハードなバットマンのごとき秘密兵器で瀬戸内海を高速航行する姿に、意味不明な感動を覚えた。“星籠“という潜水艇を動かして、まるで伝説の”首長龍”ネッシーのごとき風体で泳ぎまわるさまに驚く。以前に、この映画とは関係ない物語ですが、首長竜の映画を観たので。「リアル 完全なる首長竜の日

まずは「居比家誘拐殺人事件」に驚いた、これはきっとベビーシッターが怪しいと初めっから睨んでいた。だから、腹を刺されたといって何も話さない女、両親が生きてはいたが、父親が目玉を縫い合わされ、母親は口を縫い合わされて、長い棒に短い棒と、長さの違う棒に縛られていたことに、「罰」と解明するミタライ。だが、赤ん坊は首の骨を折り死んで浮かんでいた。この両親に恨みを持っているものが犯人なのだが、実は最後の方で解明する謎が、そのベビーシッターが、ベランダの電球を取り換えようと、ぐずっている赤ん坊を抱えてベランダで、手から赤ん坊がするりと抜け下へ、地面に落ちるという失態をやらかしたのだ。これで慌てるベニーシッターが、恋人の要潤に電話をして助けてくれと。赤ん坊の死体をいかにも誘拐にあったように見せかけて、身代金2000万円を請求する。だが、アパートの下には、この夫婦に恨みつらみがある吉田栄作が、要潤を殴り失神させて、赤ん坊を誘拐して、身代金を強奪。それに、夫婦を滝つぼに棒で縛って、「罰」を与えるのだ。

ここまでは、なかなかいいアイデアだと思ったが、瀬戸内海を疾走する「星籠」という潜水艇やら、罰を与える吉田栄作社長の危険ドラッグ製造の科学工場とか、そこで働くアジア系の外国人不法労働者たちの死体。

まぁ、とにかくたくさんの題材を詰め込み過ぎで、謎解き解明するまで時間がかかるし、最後の方で吉田栄作が海外逃亡しようと思えばできたのに、「星籠」でタンカーを追いかける要潤、大型貨物船に「星籠」を激突させる勿体なさを披露して、江戸時代の図面で制作したという文化遺産的な「星籠」が木っ端微塵になるのは惜しい気がした。
福山市がロケの舞台になり、歴史ミステリーにふさわしい昭和の街並みが堪能できます。800ページを超える原作を2時間の映画に収めるには、サスペンスの謎解き、つまり、ストリーラインを追う映画にどうしてもなってしまう。

世の中には不思議な出来事があるように、しかし同時に、世の中には説明の出来ない不思議もないと、謎解きを解明する御手洗潔。映画の冒頭では、雨のふるショットでの撮影、それによって「雨」によっての視界不良。そして謎とき、全体像、御手洗潔による考察のメカニズムを視覚化して見せる。
玉木宏のセリフの処理力はもちろんのこと、謎や伏線は画面の細部にちりばめられわけなので、カメラ、照明、美術、録音の力も大きく作用しており、監督は現場を信頼して任せていたのが印象的でした。シリーズものなので、続編ができたら楽しみですね。

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