椿の花は情熱的な赤い色ですが、パンフルートとなった木肌は薄い黄色にほんのりオレンジ色が入ります。
山椿の木をパンフルートに組み立てました。 早めに収穫しないとサルに食べられてしまいます。すでに2コ被害。
パンフルート工房近くの里山に入るとすぐ白い木肌の細長い木が目に飛び込みます。
褐色・黒系統の色の多い山中で白色はよく目立ちます。
椿の木はよく庭木として栽培されていますが、この場合は自分の周りに十分な空間があり枝を横に伸ばしこんもりと
茂る樹形となり上方向にはあまり伸びて行きません。
一方パンフルートとして利用する山椿の生息地では他の高木樹が10数m上に枝葉を茂らせていますのでできるだけ
上へと伸びて行かざるを得ません。
山椿は常緑で中木種として生きる道を選びました。
他の広葉樹が葉を落とす晩秋から新芽を出す5月までの半年間太陽光線を受けて成長するのです。
木を切断した時に見える年輪をみたらよくわかるのですが、松杉や広葉樹は夏に太って行く痕跡があります。
一方の山椿の年輪には夏の部分の成長は見られません。
冬場に成長する密度の濃い部分だけが輪に重なっております。
当然光線の弱い冬場に成長する量は限られていますので山椿が太るには相当の年月を要します。
パンフルートとなった椿の木は密度が濃いので重量が増します。(テノールパンフルートで710g)
当然発する音は重量感が増します。
音の立ち上がりは細いので立ち上がり後に押し込んで行く作業が必要となります。
初心者には扱いづらい楽器となっております。
以前当工房を見学に来られたお客さんが同類の立ち上がりの細い楽器を試奏されてみて「ここの工房の楽器は音が
出ない」と嘆いておられましたが、細く立ち上がった音を押し込んで膨らませて行かなければならないパンフルート
もあるのです。
この作業は面倒なことではありますが、これをマスターした時あなたのパンフルートの音の世界が変わります。
このように立ち上がり音の細いタイプのパンフルートは演奏家を鍛え育てて行く側面を持ち合わせています。
パンフルート工房では地元広島の素材を使ってパンフルートを製作しております。
購入・修理・パンフルート教室などの問い合わせは082-894-0854またはpanfrute@ybb.ne.jpまでどうぞ。