今夕から雨になると、19日朝の天気予報が報じていた。翌日、20日の予定を一日繰り上げ、急遽、髪のお手入れに出かけることにした。
美容院を出ると、昼過ぎなのに、空模様が怪しくなっていた。買い物はやめて、食事をすませたら、早めのバスで帰ることにした。
駅前のMレストランに入った。お昼の時間を大きく過ぎていたので、すでに定食は売り切れていた。そこで、ホットサンドセットをいただいた。
洗面所に、見慣れない花が挿してあった。
<金のなる木>の花だと、教えてもらった。(写真)
ピンク以外に、白い花もあるのだそうだ。
<金のなる木>は寒さに弱く、私は以前、大きな鉢を外において、枯らしてしまった。花を見ることもなく……。
バスに乗る頃には、雨が降り始めた。夕方を待たずに……。
帰宅後、先日草花舎で借りてきた、多田茂治著『野十郎の炎』を読んだ。
<序章> <第一章 画家への道> <第二章 故郷を捨てる>まで読んで、本をテーブルの上に伏せ、読んだばかりのページに登場した、高島野十郎、その長兄である宇朗、宇朗と親交のあった、画家青木繁等等の、尋常でない人生を考えながら、私は薄暮の迫る洋間の椅子に座り続けていた。
本の中で接した人々の、その曲折の多い、一様でない生き方に、心を奪われていた。幸せな人生き得る道を捨て、なぜあのような険しい道を歩まねばならなかったのであろうか…と。何が、野十郎や宇朗を突き動かしたのであろうか…と。あわせて、私自身の来し方をも考えていた。
かなり深刻で神妙な顔をしていたに違いない。<生きる>ことの深淵を覗き込む思いで……。
その時、どこからかノックの音が聞こえた。
私は、音の生じた場所を探して、辺りに目を這わせた。そして、天井を見上げた。
また、ノックの音が聞こえた。
窓の方に顔を向けると、カーテンの向こうに人の気配があった。
立ち上がって、窓を開けた。
隣家のMさんが立っておられた。
「ブロッコリー、食べます? もらい物です」
と。いつもの温顔で、Mさんは、ブロッコリーを差し出された。
私は、たちまち日常の世界に連れもどされ、表情をつくろいながら、ブロッコリーをいただいた。
戸外には、雨が静かに降り続き、黄昏が近づいていた。
時計を見ると、6時であった。
美容院を出ると、昼過ぎなのに、空模様が怪しくなっていた。買い物はやめて、食事をすませたら、早めのバスで帰ることにした。
駅前のMレストランに入った。お昼の時間を大きく過ぎていたので、すでに定食は売り切れていた。そこで、ホットサンドセットをいただいた。
洗面所に、見慣れない花が挿してあった。
<金のなる木>の花だと、教えてもらった。(写真)
ピンク以外に、白い花もあるのだそうだ。
<金のなる木>は寒さに弱く、私は以前、大きな鉢を外において、枯らしてしまった。花を見ることもなく……。
バスに乗る頃には、雨が降り始めた。夕方を待たずに……。
帰宅後、先日草花舎で借りてきた、多田茂治著『野十郎の炎』を読んだ。
<序章> <第一章 画家への道> <第二章 故郷を捨てる>まで読んで、本をテーブルの上に伏せ、読んだばかりのページに登場した、高島野十郎、その長兄である宇朗、宇朗と親交のあった、画家青木繁等等の、尋常でない人生を考えながら、私は薄暮の迫る洋間の椅子に座り続けていた。
本の中で接した人々の、その曲折の多い、一様でない生き方に、心を奪われていた。幸せな人生き得る道を捨て、なぜあのような険しい道を歩まねばならなかったのであろうか…と。何が、野十郎や宇朗を突き動かしたのであろうか…と。あわせて、私自身の来し方をも考えていた。
かなり深刻で神妙な顔をしていたに違いない。<生きる>ことの深淵を覗き込む思いで……。
その時、どこからかノックの音が聞こえた。
私は、音の生じた場所を探して、辺りに目を這わせた。そして、天井を見上げた。
また、ノックの音が聞こえた。
窓の方に顔を向けると、カーテンの向こうに人の気配があった。
立ち上がって、窓を開けた。
隣家のMさんが立っておられた。
「ブロッコリー、食べます? もらい物です」
と。いつもの温顔で、Mさんは、ブロッコリーを差し出された。
私は、たちまち日常の世界に連れもどされ、表情をつくろいながら、ブロッコリーをいただいた。
戸外には、雨が静かに降り続き、黄昏が近づいていた。
時計を見ると、6時であった。
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