玄関の掃除などして、師走の30日が暮れた。
まとまった本を読む元気はなく、机上に先日来置いている『冬の本』を開く。
一作家一編のエッセイ(2ページ)が、84人によって書かれている。よく知る作家・知らない作家、色々である。
『冬の本』編集部の方から、最初のページに、次のような文が寄せられている。
「小さい本を出したいね」
「小さいけれど、たくさんの人が書いている本」
「たくさんの人が、大切な1冊について書いた本」
1冊の本として『冬の本』を楽しんでいただくとともに、無数にある「冬の本」に向かって旅するきっかけになれば、こんなにうれしいことはありません。
ふと目に止まった文章から気ままに読んでいる。
今晩は、「冬、春、冬」(小林エリカ)を読む。作者も知らなかったし、このエッセイでとりあげられている<俳人・池田澄子>についても知らなかった。が、句作される人であればご存知に違いない有名な俳人であることを知った。『空の庭』『たましいの話』『拝復』などの句集が紹介されていた。
俳句も3句。
生きるの大好き冬のはじめが春に似て
風邪声のミモザが咲いていたという
いつか死ぬ必ず春が来るように
1936年生まれの俳人。大変美しい方である。
句集が読んでみたくなって、一冊、Amazonへ注文した。
おしゃべりの後は心が傷ついて、不整脈にしばらく苦しめられたりするが、読書で心の傷つくことはまずない。嫌な本なら読まねばいい。意にかなう本であれば、品位の高い対話ができる。これが読書の効用である。
余生は短いが、これからの日々、口を閉ざし、読書に友を得ることにしよう。それが心穏やかに生きられる道のような気がする。
県下の大方の地に、[大雪警報]が出ている。明朝は、白銀の世界になっているのだろうか?