ぶらぶら人生

心の呟き

『特別な一日』

2016-01-23 | 身辺雑記
 山田稔著『別れの手続き』をアマゾンに注文したとき、同じ著者の『特別な一日 読書漫録(編集工房ノア・2008年1月14日刊)も、あわせて注文した。
          
            

 12編の随筆集である。
 「母の遺したもの」と「別れの手続き」は、先に読了した『別れの手続き』の中にも納められていたので、それを除く10編を読んだ。

 筆者自身が、タイトル「思いのままに」(島京子『昼下がりの食卓から』について書かれた随筆)のなかで、

 <随筆集のうれしい点は、読む方も気の向くままに前後おかまいなく読めることである。>

 と、書いておられる。(P82)

 私も、随筆集を読むときは、だいたいそうしている。
 『特別な一日』も、編集の順番を無視して読んだ。
 表題となっている「特別な一日」は、この本の終わりの方に載っている。
 が、まず「特別な一日」を読み、以下順序不同に読んだ。
 読み終えると、目次の題名の上に、しるし()を入れておく、といったやり方で。

 「特別な一日」「「わが書の来歴」「臘梅忌まで」「文体の練習」「思いのままに」…(以下略)…と、読み進んだ。
  (題名は、随筆の一部として大切なものだとつくづく思う。読んでみたくなるような題をつけること!)


 20日のブログ『別れの手続き』でも、すでに書いたことだが、山田稔氏の文章には、豊かな深い味わいがある。
 美酒に酔いしれる感覚。(私は全くの下戸なのだが…)
 私が書きたいと思う、理想の文体、といってもいい。
 自らも、<「小説」よりもまず「すぐれた散文」を、と永年考えてきた…>(P97)と述べておられる。
 才能+「すぐれた散文」を意識して書き続けてこられたからこそ、読者に感銘を与える随筆が生まれたのだろう。
 私も、山田稔氏のように書いてみたいが、足下にも及ばない。

 作品を読んでいて、もう一つ、非常に楽しみだったのは、国の内外を問わず、多くの魅力的な人たち(作家)に出会えたことである。
 有名な同人誌【VIKING】創始者のひとり富士正晴ほか、同人仲間など…。
 また、キャサリン・マンスフィールドであったり、ジョージ・ギッシングであったり…。

 現実には会えない人たちながら、読書中は、登場する人たちが、身近にいるような親しみを覚える。
 読書の醍醐味の一つであろう。
 そして、読みたいと思う本は増えるばかりだ。

 (本を読めるという幸せ!) 
コメント
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