ぶらぶら人生

心の呟き

柿が咲いたね

2011-11-22 | 身辺雑記
 今年は、柿の生り年らしい。
 あちらこちらで、豊作が目立つ。

 「柿が咲いたね」
 遠い昔、幼い姪の言ったことばを、今年も思い出す。
 語彙の乏しい幼子は、感覚的な捉え方をする。
 花ではないから咲くという表現はおかしい、などと思うのは大人の世界だ。

 子どもの表現には、巧まざる詩心がある。
 姪に倣って、柿が咲いているな、と私も思いながら、実だくさんの木を見上げた。
 
 柿の実は、山里に似つかわしい秋の風情だ。
 華やぎの中に、かすかな寂しさがある。
 柿の実の明るさが消えるころ、冬の足音が聞こえてくる。 

      

 27年前まで住んでいた家の跡には、かつて屋敷があった証のように、1本の常緑樹が残っている。
 夏、黄色い花を咲かせるカンナの群生している側に。
 その家にいた頃は、多忙な勤めの時期であり、木の存在をあまり意識しなかった。

 先日、歩道から、その木を眺め、赤い実をつけていることに気づいた。
 艶やかな濃い緑の葉に、多数の赤い実が乗っている。
 赤い実をつけることも知らなかった。
 多忙は、折に在るものを見えなくするらしい。
 植物に無関心だったわけでもないのに。
 老いは暇を与えてくれる。そして、見えてくるものもある、ということらしい。

 クロガネモチの木?
 樹木の本を調べて、そうかもしれないと思ったが、自信はない。

      
コメント
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