ぶらぶら人生

心の呟き

秋の色は赤

2006-09-24 | 身辺雑記
 ブログを開くのは、実に久しぶりだ。
 14日の夜、記事を書いている途中で、パソコン上に不具合が生じ、作業を中止せざるをえなくなった。それ以来、10日近く、パソコン不在の日々を過ごした。傍にいるべき恋人を遠くへ連れ去られた感じの、ずいぶん寂しい日々だった。
 パソコンがなくても、したいこと、しなければならないことは、いくらでもあるのに、この幾日か、妙に手持ち無沙汰な感じを、容易にぬぐいきれなかった。パソコンが、今や生活の一部になってしまったということなのだろう。
 昨夕、やっと使える状態になり、机上のあるべき位置に据えられた。
 今日は、久しぶりに原稿を書ける喜びに浸っている。

 台風13号が過ぎ去った後、心地よい秋晴れの日が続いている。
 庭のあちこちに咲くミズヒキソウの赤い花が、よく目につくようになった。草取りのとき、あえて引き抜くことをせず、生えるに任せているのが、ミズヒキソウである。
 私の庭は地質が悪く、あまり見事な成長をしてくれないのが残念だが、つんと伸びた花軸に、点々と小花を咲かせるミズヒキソウが大好きだ。地味で派手さはないが、つつましく咲く姿がいい。
 命名(漢字で表せば水引草)も、花の雰囲気に似つかわしいと思う。

 香月泰男『春 夏 秋 冬』<絵と文>谷川俊太郎編)を眺めていたら、「水引草」と題する絵に出くわした。有名な大作、シベリアシリーズなどに用いられている黒色と黄土色を背景に、三本のミズヒキソウが描かれている。
 そこに添えられた詩文には、

 秋の色は赤
 赤は秋が美しい
 まんじゅしゃげの赤
 ほほづきの赤
 柿の赤
 ざくろの赤
 水引草の赤
 みぞそばの赤
 楓のあか
 赤は秋だ

 
と、うたわれている。
 読んでいると、脳裏に<秋の赤>が巡る。まんじゅしゃげ・ほほづき・柿・ざくろ・水引草・みぞそば・そして、楓……と。
 一言でいえば<あか>だが、それぞれがぞれぞれの、秋の赤を演出して、限りなく美しい。
 秋という季節の中では、格別赤が映える、と私も思う。

 
コメント
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