温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

筋湯温泉 露天岩ん湯

2014年09月28日 | 大分県
 
前回取り上げた「うたせ湯」を出た後、もう晩のうちに1軒共同浴場をハシゴしたくて、泊まった宿の近くにあった「露天岩ん湯」にも立ち寄ってみることにしました。筋湯にある4軒の共同浴場のうち、温泉街のシンボル的存在である「うたせ湯」は男女別ですが、今回の「露天岩ん湯」と次回記事で取り上げる予定の「薬師湯」は男女日替わり制となっており、どちらかが男湯である日は、もう一方が女湯となっていて、翌日にはその逆になります。そして次々回予定の「せんしゃく湯」は昔ながらの混浴です。
私は当地で一泊したのですが、到着した日は「露天岩ん湯」が男湯、「薬師湯」が女湯となっていましたので、日付を跨がないうちに(というかその日の開放時間が終わらない内に)、「露天岩ん湯」を利用したかったのです。


 
他の共同浴場と同様に無人施設ですが、こちらは性善説に基いており、「うたせ湯」の回転ゲートのようなバリア的なものは特に設けられていません。入口の戸を開けてすぐ右手の棚には金属製の箱が括り付けられており、そこに湯銭もしくは旅館宿泊者用のコインを投入します。入浴ゾーンと脱衣ゾーンは一体化しており、昔ながらの共同浴場的なレイアウトとなっているのですが、この脱衣小屋といい露天風呂の趣きといい、とても共同浴場とは思えないほど、シックで落ち着きのある民芸調の和テイストに作りこまれており、敷居がちょっと高そうな旅館も顔負けの、なかなか良い風情なのです。



夜の「岩ん湯」はこんな感じです。露天と言っても、すぐ目の前に山の斜面が迫っていますし、周囲は塀などに囲まれているため景色を眺望することはできません。またこの時は空に低い雲が立ち込めていたため星空を眺めることもできなかったのですが、辺りは静寂に包まれ、照明も必要最小限に抑えられているので、あたかも瞑想に耽るかもように、薄明かりの中で時間を忘れ、ゆっくり湯浴みするできました。ものすごく良い雰囲気なのですが、暗いまんまの画像ではこの記事をご覧下さっている読者の方にはわかりませんから・・・


 
照明を焚いて、明るくしてみました。切り出し石を組んで作られている浴槽はおおよそ3m×4mの四角形で、草屋根によって半分近くが屋根掛けされています。事前に調べていた資料に掲載されていた写真の「岩ん湯」は、縁に木材が用いられ、屋根のようなものも見受けられなかったので、おそらくここ数年で現状の姿へと改修されたのでしょう。どことなく黒川温泉のデザインコンセプトを後追いをしているような感が否めませんが、この趣きのある露天がわずか300円(宿泊者は無料)で利用できるんですから、何とも有り難い話です。なお屋根下の奥には打たせ湯が2本落ちており、その直下の浴槽は浅くなっていました。



浴槽の右脇にはお湯が注がれる蹲居が据え付けられています。この蹲居や2本の打たせ湯によって浴槽にお湯が満たされており、浴槽縁の左右の切り欠けより排湯されていました。お湯は無色透明で、砂消しゴム的イオウ感が僅かに感じられました。サラサラと軽やかな浴感があるとともに、スルスルと肌を滑るなめらかな肌触りもあり、全体的にマイルドで癖のない優しいフィーリングのお湯です。

なお施設内の表示によれば、お湯は加水されているとのこと。平成16年11月30日試験の分析表によれば湧出温度は40.1℃ですが、実際の湯船は体感で43~44℃はあり、日によって温度の上下幅が大きいのか、あるいは年々湯温が上昇しているのかもしれません。加水以外の加温循環消毒は行われておらず、放流式の湯使いです。


岩ん湯
単純温泉 40.1℃ pH7.3 溶存物質0.781g/kg 成分総計0.799g/kg
Na+:198.0mg(86.87mval%),
Cl-:304.0mg(83.57mval%), SO4--:53.7mg(10.90mval%), Br-:0.9mg, HCO3-:30.6mg,
H2SiO3:138.0mg, CO2:17.6mg,

大分県玖珠郡九重町湯坪  地図
筋湯温泉観光協会ホームページ
(※湯屋周りに駐車場はありませんが、県道40線沿いに立寄客専用の駐車場が用意されています)

JR久大本線・豊後森駅もしくは豊後中村駅より日田バスの牧ノ戸峠行か九重登山口行で「筋湯」バス停下車
(※大将軍経由のバスは筋湯を通らないので注意)

7:00~22:00 男女日替り制
300円
備品類なし

私の好み:★★
コメント
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