温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

鳥取温泉 丸茂旅館

2017年07月09日 | 鳥取県
※2019年にお風呂が完全リニューアルされました。本記事で取り上げているのは以前の浴場の様子です。あしからずご了承ください。現状のお風呂の様子は公式サイトをご覧ください

 
温泉大国日本といえども、県庁所在地でかつ県の最主要駅の駅前なのに掛け流しの温泉がある都市は決して多くありません。山陰本線の鳥取駅はそんな条件に全てあてはまる極めて稀な存在ですが、昨年(2016年)某日にたまたま鳥取で一晩越す機会がありましたので、その時にお世話になった「丸茂旅館」についてレポートさせていただきます。鳥取駅前から徒歩5分という好立地にあり、市街地のど真ん中であるにもかかわらず掛け流しの温泉に入れるというとても珍しいお宿です。



日本旅館らしく敷地内には庭園が設けられていました。この庭園だけ見ていると、とても駅近の市街地とは思えません。
なお、こちらのお宿は日本海の幸を活かしたお料理も美味しいらしく、本来ならばお宿ご自慢のお食事もいただきたかったのですが、この時は旅程の都合で夜遅くにチェックインし、早朝に出発しなければならなかったため、残念ですが素泊まりで利用させていただきました。


 
今回通された客室は8畳の和室です。室内にはテレビやエアコンなどひと通りの設備が揃っているほか、トイレや洗面台もあるので、温泉入浴以外は全て室内で完結することができました。


 
客室にはお風呂が付いていましたが(温泉ではなく普通の沸かし湯です)、夜も翌朝も温泉の大浴場に入ったため、お部屋のお風呂は使っておりません。
お部屋の卓袱台の上にはお茶のセットのほか、冷水も用意されていました。後述するようにこちらの温泉は塩気が強く火照って汗が引きにくいため、こうして冷たい水をたくさん用意してくださると、風呂上がりには非常に助かります。小さなサービスかもしれませんが、お宿の優しい心配りが感じられました。


 
廊下をどんどん進んでいった突き当たりに浴場があります。男女の入れ替えは無いらしく、男湯は突き当たりの左側で固定されていました。脱衣室内にはタオルがたくさん用意されていますので、部屋からタオルを持参する必要はなく、手ぶらで入室しても大丈夫です。


 
細長い脱衣室の奥にあるドアを開けると浴室の湯気がお出迎え。お風呂は内湯のみです。ちょっとレトロな空気感を漂わせる浴室内には大きな浴槽がひとつ据えられ、それを囲むように洗い場が配置されていました。浴槽の周りは石庭風に設えられており、露天風呂がない分、大きな庭石や石灯篭などによって温泉らしい雰囲気を醸し出そうとしているようでした。


 
ベージュとグリーンの豆タイルによって独特な模様が描かれた壁のうち、一部には裸婦のタイル絵が施されていました。そしてその裸婦に見つめられるような形で洗い場が設けられており、シャワー付きカランが2つ、そして水道の蛇口が3つ(うち1つは浴槽の加水用)、それぞれ一列に並んでいました。いくら絵だとわかっているものの、シャワーで体を洗っている時にちょっぴり恥ずかしい思いをしたのは、私が自意識過剰だからでしょうか。


 
浴槽は小文字のbみたいに左側がちょこんと突き出ている変則的な形状で、左側の最長辺は約3m、手前側の幅は約2.5m。浴槽内は赤茶系の石板張りですが、縁は温泉成分のこびりつきによってアイボリー色にコーティングされていました。温泉は底にあけられた穴から供給されており、その真上に湯面はこんもりと盛り上がって小さな波を描いていました。


 
 
このお風呂でマニア的に目を奪われたのが、お湯の排水路です。湯船から溢れ出たお湯は小さなせせらぎをなして石庭の中を流れてゆくのですが、その流れの周りには温泉成分がこってりとこびりついて、サンゴ礁のような細かなトゲトゲや、石灰華の千枚田が形成されていました。県庁所在地且つ駅前市街地のお宿で温泉が掛け流されているだけでも驚きなのに、まさか石灰華まで現れているだなんて奇跡のようです。

お湯に関してですが、こちらでは宿の名前を冠した「丸茂泉源」という源泉を使っています。湯船のお湯は無色透明ですが、湯中では赤茶色の細かな浮遊物が無数に舞っており、その影響で僅かに霞んでいるようにも見えました。お湯を口に含むと、甘塩味のほか薄いパラフィンの風味が感じられましたが、匂いはあまり無かったように記憶しています。肩まで湯船に浸かると、食塩泉のようなツルスベと硫酸塩泉らしい引っかかりやトロミが混在して肌に伝わり、やや熱い湯加減も手伝って、大変強く温まりました。そして湯上がり後もなかなか汗が引かず、それゆえ上述した客室に用意されている冷水が非常にありがたかったのです。
館内表示によれば、源泉の湧出温度が熱すぎる時以外は、加水加温循環消毒の無い完全放流式であり、加水する場合でも最大加水率6%という上限を定めています。私が利用した時には非加水の源泉100%であり、お湯の濃さとフレッシュさを存分に味わうことができました。
今回は慌ただしい旅程で利用したため、ゆっくり過ごすことができませんでしたが、次回利用する機会があれば、食事もいただいてのんびり宿泊したいものです。スタッフの方も接客も良く、お湯も良質でかけながし、しかもリーズナブルという、とても利用価値の高いお宿でした。


丸茂泉源
ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉 47.7℃ pH6.8 42.5L/min 溶存物質4.447g/kg 成分総計4.467g/kg 
Na+:1293mg(87.48mval%), Ca++:128.8mg(10.00mval%),
Cl-:919.5mg(40.06mval%), Br-:2.1mg, SO4--:1427mg(45.87mval%), HCO3-:534.1mg(13.51mval%),
H2SiO3:60.8mg, HBO2:33.1mg, CO2:20.2mg,
(平成16年1月20日)
加水あり(源泉の温度が高くなった場合のみ。最大加水率6%)
加温循環消毒なし

JR鳥取駅より徒歩5分(約400m)
鳥取県鳥取市永楽温泉町458  地図
0857-23-1311
ホームページ

日帰り入浴不可?
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
コメント (4)
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鳥取の温泉を列車と路線バスでハシゴしよう(その1・東部編)

2011年10月09日 | 鳥取県
●本企画は2011年10月現在、平日のみ有効です。土日祝は適用不可です 
  交通機関の時刻や各温泉の営業時間などが変わっている可能性がありますので、その都度ご確認ください。


本数の少ない列車や路線バスを効率よく乗り継いで温泉をハシゴし、ヒヤヒヤしながら交通機関の乗り継ぎという「仕掛け」を次々に成功させてゆく「ポカゴラスイッチ」


山陰には良質の温泉があちこちで湧いていますが、日本屈指の過疎地帯なので、交通機関は年々不便になるばかり。そんな山陰でも、比較的路線バスの本数が確保されている鳥取県の温泉を、列車や路線バスを乗り継いでハシゴして、「ポカゴラスイッチ」を作動させてみようというのが今回の企画です。


●立案
鳥取県を運行する路線バスについては「バス・鉄道経路検索システム」により容易に検索することができます。しかし自治体が地域住民のために運行しているバスはこれで検索できないので、運行する自治体のHPを探してみる必要があります。この行政による路線バスの存在を知っているか否かが今回のプラン立案にあたっての重要ポイントです。

また日の丸バス・日本交通の両方で使える鳥取藩のりあいばす乗放題手形が発売されており、3日間有効で1800円ですから、巡り方によってはこの手形を購入するとバスの運賃を安くあげられる上、いちいち小銭を用意して料金を支払わずに済みます。


今回のプランは以下の通りです

鳥取駅BT8:10→【日の丸バス・吉岡温泉行】→吉岡温泉8:37

 (1)吉岡温泉 吉岡温泉館(上湯)

吉岡温泉9:40→【日の丸バス・鳥取駅行】→鳥取駅10:17/10:34→【山陰本線・普通・倉吉行】→松崎11:30

 (2)東郷温泉 寿湯

松崎12:07→【山陰本線・普通・鳥取行】→宝木12:52→【徒歩で約20分】

 (3)宝喜温泉 宝喜温泉館

下光バス停14:28→【気高循環バス(※平日運行・土日祝は運休)】→上宿バス停14:40→鹿野の街を散策→【徒歩15分】→橋本牧場ジェラート工房15:00頃→【徒歩5分強】

 (4)鹿野温泉 今市集会所

バス停15:53→【日の出バス・鳥取駅行】→浜村駅16:10頃

 (5)浜村温泉 浜村温泉共同浴場

浜村17:26→【山陰本線・快速・鳥取行】→鳥取17:50

利用した交通機関のリンク先
JRおでかけネット(JR西日本)
日の丸バス
鳥取市気高循環バス



gooブログはGoogle mapの埋め込みができないので、スクリーンショットを貼りつけておきます。画像をクリックしたらGoogle mapへリンクします)


温泉ばかりでは芸が無いので、途中で街歩きやジェラート食べ歩きもプランに混ぜてみました。
さて「ポカゴラスイッチ」の条件検証ですが、
(1)本数の少ない路線バスや鉄道路線を利用する。
(2)いくつかの離れた温泉地をはしごする。つまり2か所以上の温泉地を巡る
(3)目的遂行のため、事前に綿密なプランを立案する
このうち(1)については山陰のほとんどの地域が該当してしまう上、一部に平日のみ運行でしかも一日2本しかないバスに乗車しますので難なくクリア。訪問する温泉地は5ヶ所5浴場ですので、(2)も問題なし。事前に予定を組んでいるので(3)もクリアです。さらに今回も前回の中伊豆同様、源泉掛け流しの施設にこだわっていますので、単なる湯巡りではなく、その質も楽しめるかと思います。

ではスイッチを作動させてみましょう。うまく乗り継いで温泉をハシゴすることはできるでしょうか。


●実践(スイッチ作動)


【8:10 鳥取駅バスターミナル(6番のりば) 矢矯(吉岡温泉方面)行バス乗車】
バスターミナルで乗り放題手形を購入し、6番のりばのバスに乗車。乗客は私を含め2人だけ。

 
【8:37 吉岡温泉 バス降車】
バス乗り場には屋根つきの自転車置き場が併設されている。通学用なのだろう。

 
平日の朝だからか、ただでさえ鄙びた温泉地は余計寂しい空気に包まれていた。

 
【吉岡温泉館(上湯) 入浴】
詳細レポートはこちら
表は人通が少ないので、独り占めで湯あみできるかと思いきや、既に爺さんが何人か入浴していた。




吉岡温泉には共同浴場がもう一つ「下湯共同浴場」がある。しかし下湯は13時からなので、朝は入浴不可。残念だが外から眺めるだけ。でも…


吉岡温泉はこのタンクによって源泉が集中管理されているため、どこで入ろうが同じお湯なのだ。

【9:40 吉岡温泉 バス乗車】
一旦鳥取駅へ戻る。

 
【10:17 鳥取駅着】
【10:34 鳥取駅発 山陰本線・普通・倉吉行 乗車】


 
鳥取駅構内で駅弁「かにめし」を購入。この旅行はカニ漁の時期に入る直前だったので、弁当のカニは一年前に水揚げされたものか輸入物かであろう。車内でちょっと早めのお昼ご飯を頬張る。


【11:30 松崎駅着】
この日は鳥取市内の温泉巡りがメインだが、列車やバスの接続都合上、あえて遠くの湯梨浜町の東郷温泉に寄った方が1か所多く温泉に入れるので、倉吉のひとつ手前の松崎駅まで乗車。


【東郷温泉 寿湯 玉砕】
松崎駅から徒歩2分で寿湯到着。この鄙びた風情にぞっこん。しかし運悪く月二回の定休日(第1・第3月曜)だった。ここはかなり行きたかったところなので非常に残念。

 
【東郷温泉 東湖園 入浴】
詳細レポートはこちら
もしものことを考え、代替案として老人福祉センター「東湖園」をリストアップしておいてよかった。ここで僅か30分間の入浴。烏の行水だ。




【12:07 松崎駅発 普通・鳥取行 乗車】
この鳥取行は途中の青谷駅で12分も停車する。退屈だ。


【12:52 宝木駅着】
ここから宝喜温泉までバス利用も可能だが、バスを待つより歩いたほうが早そうだったため、せっかちな私は歩いてしまう。


駅から南へまっすぐ約25分歩く。田んぼが広がるのどかな田園風景。

 
【宝喜温泉 宝喜温泉館 入浴】
詳細レポートはこちら
大きなお風呂で気持ちよく入浴。実はこの温泉の存在を前日に知り、是非訪れてみたいと思って、その晩に何とかプランイングしたのであった。つまりこのポカゴラスイッチは一夜漬けなのだ。





【14:28 下光バス停14:28 気高循環バス乗車】
宝喜温泉館から南下して在地の旧道へ入ると5分ほどで下光元集落にある「下光」バス停へたどり着く。
ここから平日限定運行の気高循環バスに乗車。

 
客は私だけ。運転手のお爺さんは私に何やら話しかけてくれるのだが、因幡訛りが強くて西国慣れしていない私は全く聞き取れず、無視しては失礼なので適当に相槌を打っておいた。


【14:40 上宿バス停 下車】
私は温泉のある今市集落へ向かいたかったのだが、バスは生憎そちらの方には行かない。このため、鹿野の中心部である「上宿」バス停で下車し、そこから歩くことにした。

 
時間に余裕があったので、城下町風情が漂う鍛治町を中心に、鹿野の街を散策してみた。

 
鹿野温泉「ホットピア鹿野」の前を通過。ここのお湯は循環であると調査済だったので、入浴はパス。足湯だけちょこっと利用。

 
【橋本牧場ジェラート工房】
温泉のはしごと歩きで火照った体を冷やすべく、ミルク味のジェラートを食べる。素朴な味つけで美味。

 
【鹿野温泉 今市集会所 入浴】
詳細レポートはこちら
ジェラート工房から徒歩数分で到着。まさかここを目当てに来る観光客はほとんどいないだろう。「ホットピア鹿野」と違って純然たる掛け流しの温泉だ。





【15:53 今市バス停 日の丸バス・鳥取駅行バス 乗車】
バス車内は下校の小学生で賑わっていた。

 
【16:10頃 浜村駅 バス下車】
このまま鳥取へ戻っても良かったが、ルート上でもう一か所温泉に立ち寄れるので、せっかくだから寄ってみることにする。

 
貝殻節発祥の地である浜村。駅前に温泉街が広がるが、かなりさびれており、駅前の旅館「浜乃家」は廃業していた。


温泉をこのタンクで集中管理しているようだ。このタンクは駅のホームから見える。

 
【浜村温泉 温泉共同浴場 入浴】
詳細レポートはこちら
駅から線路伝いに歩いて3~4分で到着。上述の温泉タンクの隣。




浜村温泉にはその名もズバリ「浜村温泉館」があり、こちらの方が観光客向け施設である。駅からはちょっと離れているが十分徒歩圏内。


「温泉共同浴場」の近くに「新泉乃湯」という共同湯があるが、こちらは地元民専用で外来者利用不可。

 
【17:26 浜村駅 快速・鳥取駅行 乗車】

【17:50 鳥取駅 到着】

調査の詰めが甘かったため、東郷温泉寿湯は定休日なのに訪問してしまいましたが、なんとか代替案で乗り切り、その他はほぼ予定通りにスイッチを連動させることができました。

コメント (5)
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三朝温泉 飲泉所・足湯めぐり

2011年02月20日 | 鳥取県
三朝温泉には飲泉所や足湯も温泉街の中に点在しているので、そのうち私が実際に巡ったものをいくつか取り上げてみます。

・株湯前の飲泉所&足湯

株湯前にある飲泉所。株湯のお風呂ではタンクで一旦貯められた混合泉を使われていましたが、こちらでは株湯1号泉が直接使われているようです。お風呂のお湯よりぬるめで金気がありますが、比較的のみやすいかと思います。
分析表が掲示されていましたので、その一部を以下に書き写します。
 株湯1号泉 単純弱放射能泉 38.2℃ pH7.0 62.6L/min 溶存物質0.638g/kg 成分総計0.667g/kg


その目の前には立派な足湯も設けられています。
槽の底には玉砂利が敷かれ、そこからプクプク泡と共にお湯が供給されていました。


足湯前には三朝温泉の開湯縁起が方言で記された碑と2体の相対峙する像が立っています。その2体は大久保左馬之祐と白狼。源頼朝の家来で大久保左馬之祐という男が、三徳山の中で一度弓で射止めた白狼を山へ逃してやったら、妙見菩薩が男の夢の中に現れ、株の下に湯が湧いている、と教えてくれた、それがいまの三朝温泉なんだそうです。


・薬師の湯
 
温泉街の中心にある飲泉所&足湯。無色透明でほぼ無味無臭。塩化ナトリウムの溶存量が多いようですが、塩気はあまり感じられず、むしろ芒硝のような知覚が感じられました。お湯が触れるところでは金気の付着が目立ちますが、金気っぽい味や匂いもあまり感じられません(私が鈍感なだけでしょう)
 三朝町有1・4・6号泉混合タンク 含弱放射能-ナトリウム-塩化物泉 66.0℃ 成分総計1.419g/kg


・神の湯
 
さすが歴史ある温泉地。三朝神社の境内にある手水も温泉です。
無色透明無味無臭の癖がないお湯です。株湯源泉の混合ですが、株湯で得られた金気が感じられなかったのが不思議です。
 株湯1号2号混合泉 単純弱放射能温泉 45.6℃ 成分総計0.7863g/kg


・河原風呂
 
三朝温泉名物、三朝橋の下の河原に設けられた露天風呂&足湯。
一応衝立はあるものの、バスや車や人がよく渡る三朝橋の上から思いっきり丸見えなので、さすがの私も怖気づいてしまい、入浴を躊躇ってしまいましたが、訪問時には全身泡だらけにして湯浴みを楽しむおじさんが二人もいました。慣れているでしょうかね。このお風呂は早朝に行ったほうがいいのかしら。

 
衝立の手前には足湯もあります。こちらの方が利用しやすいですね。





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三朝温泉 木屋旅館

2011年02月20日 | 鳥取県

温泉街の中心、足湯「薬師の湯」の目の前にある旅館です。日帰り入浴可能と聞いたので、伺ってみました。古い木造建築で、とっても風情のある佇まいです。

 
館内は囲炉裏があったり古い家具が並べられていたりと、ちょっとした資料館のようにいろんなものが展示されていました。本もたくさんあるので腰を掛けてゆっくり読書するのもいいですね。暖簾や座布団など女将さんが手がけた藍染グッズもあちらこちらに。


鉄道ファンなら思わず釘付けになってしまいそうなグッズも発見。

 
今回通されたのは「河瀬の湯」と呼ばれる浴室。


脱衣所はシンプルながら綺麗にお手入れされています。

 
名前の通り川岸に面した場所にありますが、塀に阻まれて外の景色は見えません。内湯のみです。壁面にはなまめかしい裸婦のタイル画が描かれていました。大正・昭和初期に流行ったモダンをイメージさせてくれます。
洗い場のカランはシャワー付き混合栓が2基用意されています。


浴槽はタイル貼りで、一部深くなっています。湯口からはチョロチョロとかなり熱い源泉が投入されています。湯口周りは析出が付着して小さなサンゴみたいなトゲトゲが突き出ていました。静かですがお湯はしっかり掛け流されています。窓際に設けられた混合栓を捻っても源泉と思しき熱いお湯が出てきました。湯口にはコップと枡が置かれており飲泉可(飲泉許可も受けています)。

お湯は無色澄明でほぼ無味無臭、綺麗に澄みきっており、同じ三朝でも株湯やたまわりの湯、更には目の前の薬師の湯とも異なる質感です。浮遊物や沈殿もありません。ツルツルスベスベとっても気持ち良い浴感で、肌をさすっても引っかかりが全く感じられないとっても滑らかな感触でした。

後で調べたら、足元湧出の浴槽や穴ぐら湯など、貸切で利用するお風呂が他にもあるようですね。それを気付かずに出てしまいました。あぁ残念。立ち寄り入浴で入れるのかどうかわかりませんが、今度はそちらに入ってみたいものです(内湯1つだけで1000円はコストパフォーマンスがよろしくないですもんね)


1号 河瀬湯
放射能泉 71.5℃ 成分総計1285.0g/kg
(分析表には旧泉質名が表記されていましたが、成分から判断すると、おそらく含(弱?)放射能-ナトリウム-塩化物泉になるかと思います)

倉吉駅から日の丸バス・三朝方面行で三朝温泉下車(約25分)、バス停の目の前
鳥取県東伯郡三朝町三朝895  地図
0858-43-0521
ホームページ

11:00~15:00
1000円
ドライヤー・シャンプー類あり、貴重品は帳場預かり

私の好み:★★
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三朝温泉 たまわりの湯(旧菩薩の湯)

2011年02月19日 | 鳥取県

温泉街の中心、三朝橋の南詰、観光案内所の隣に位置する、三朝温泉のランドマーク的な入浴施設です。以前は「菩薩の湯」という名前でしたが、最近改修されて「たまわりの湯」と改称されました。お土産屋さんやカフェも併設されており、まさに三朝観光の要です。


玄関入ってすぐ左にある受付で料金を支払います。


木目調の建材を多用した脱衣所は共同浴場にしては結構広く、明るくて綺麗です。


浴室も広く天井も高くてなかなか立派。洗い場まわりや腰部は石板が使われていますが、その他はオール木材。やっぱり木っていいですね。ぬくもりが伝わるだけでなく、素材ならではの色合いや雰囲気も素晴らしい。
その真ん中に浴槽がドンとどっしり据えられています。石板貼りの浴槽は縁が分厚い木材使用で、6人は余裕で入れそうな大きさを有し、色彩のコントラストも相俟って重厚感を醸し出しています。

 
シャワー付き混合栓が5基(か6基)、浴室内は妙に整然としていました。きちんと整理されていると気持ちがいいですね。


浴槽の底部側面手前側から源泉が投入され、縁の全てから(特に右側から)お湯がまんべんなくしっかりオーバーフローしています。源泉温度が熱いので加水されていますが、その他(加温循環消毒)は行われていないそうです。

ごく薄い黄色を帯びた透明ですが、わずかに靄がかかったみたいに濁っているようにも見えます。食塩泉ですが溶存量が少ないからか塩気は感じられず、そのかわり不思議なことに芒硝は少ないのに芒硝みたいな味と匂いが感じられました。ナトリウムの影響か、ツルスベ感がはっきりと得られ、とっても気持ちよい浴感です。

お湯も良ければ使い勝手も良いので、三朝でいろいろ巡るならば、ここは外せない施設です。


三朝町有混合タンク(1号泉・4号泉・6号泉)
含弱放射能-ナトリウム-塩化物温泉 65.9℃ pH6.9 溶存物質1.444g/kg 成分総計1.453g/kg

倉吉駅から日の丸バス・三朝方面行で三朝温泉下車(約25分)、バス停の目の前
鳥取県東伯郡三朝町三朝910-7  地図
0858-43-0017
三朝温泉観光協会ホームページ

10:30~22:00
500円
ロッカー有料(100円)、ドライヤーあり、石鹸シャンプー類の備え付け無し

私の好み:★★★
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