温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

マンションに突っ込む重慶のモノレール

2019年09月28日 | 中国
※今回の記事に温泉は登場しません。あしからず。

中国の内陸部に位置し、中国大陸を代表する大河長江が真ん中を流れ、しかも起伏の激しい地形に市街地が広がる重慶の街。近年の急激な発展にともない公共交通機関の整備が求められ、2000年代に入ってようやく都市型の大量輸送機関が運行されるようになったそうです。一般的な都市ならば地下鉄を整備しますが、大河が流れ、起伏が激しく、かつ地盤が硬い地形ゆえに、この重慶ではそれらの条件に強いとされるモノレールが都市交通の主役として選ばれました。
急斜面や崖が続く土地にマンションなど高層住宅が重畳し、その間をモノレールがすり抜けてゆく光景は、発展著しい21世紀の重慶らしいランドスケープですが、その特殊な条件のため、他の都市では見られない不思議な光景に出逢えるようです。温泉巡りの合間にちょっと寄り道して、当地では有名なモノレールの面白ポイントへ行ってみることにしました。



重慶は長江と支流である嘉陵江が合流する地点に築かれた街。その嘉陵江に夕陽が沈もうとしています。
ここは重慶の都心部、渝中区の李子壩という地区で、凹凸のある丘陵地形が川へ一気にストンと落ちる急な岸に街区が広がっています。



嘉陵江に沿って幹線道路とモノレール2号線が走っています。川岸の崖を切り崩して土地を均し、道路とモノレールを敷いたのでしょう。ちなみにこの2号線は中国初のモノレールであり、日立の技術により建設されました。



李子壩にはモノレール2号線の駅が設けられています。この駅が実にユニーク。なんとマンションの7階に駅のホームがあり、モノレールがマンションを貫通しているのです。かつて日本でも姫路モノレールの大将軍駅で同様の構造が見られましたが、姫路モノレールは昭和49年に営業を休止し(昭和54年に正式廃止)、建物も2017年頃までに解体されてしまいましたから、モノレールが貫通しているマンションは世界広しといえども重慶の李子壩だけと言えるでしょう。



空中を飛ぶように走るモノレールが高層のマンションに突っ込んでゆくという、ちょっとシュールな光景が見られる当地は、重慶のB級観光スポットになっているんだとか。実際に私が現地を訪れると、スマートフォンを片手にモノレールの線路を見上げる方がたくさんいらっしゃいました。



当然ながら見学者は駅前に集中しており、駅を背景に記念撮影する方も見られます。
なにやら騒がしくなってきたと思ったら・・・



モノレールがやってきて・・・



スゥーっとマンションに吸い込まれていきました。他では見られない光景ですから、現地で見学していると意外と面白く、運行本数も多いので、私はここでしばらく見続けてしまいました。



李子壩の岸からは、川越しに重慶の街を一望できます。川の東側を眺めると、対岸に高層建築が高さを競いながらひしめき合っており、市街を南北に貫く3号線のモノレールが、ビル群の手前に架かる橋で嘉陵江をひっきりなしに横断していました。
現代中国の「勢い」をまざまざと見せつけられました。



ちなみにこれが重慶の公共交通機関で使える非接触型ICカード「暢通卡(畅通卡)」。いわば重慶版Suicaです。私は地下鉄(モノレール)の窓口で購入し、その場で100元か200元をチャージしました。



そうそう、この記事をはじめ拙ブログでは重慶のモノレールばかり取り上げましたが、重慶にはパンタグラフで集電し鉄の車輪で走る一般的な電車も運行されていますよ。1号線はそうした鉄道のひとつ。上画像は磁器口駅で撮りました。

ということで、連続してアップまいりました中国・重慶の温泉ネタは今回で終了。
次回からは日本の温泉に戻ります。

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重慶市南岸区 海棠暁月温泉 その2(入浴)

2019年09月23日 | 中国
前回記事の続編です。

私が宿泊した中国・重慶市のホテル「海棠暁月温泉」はその名の通り温泉浴場を擁しています。都市部の真ん中だというのに、なんと大小合わせて52もの浴槽やプールがあるんだとか。中国は何事も規模が大きいですね。宿泊客は無料で利用できますから、早速行ってみることにしましょう。



上述のように私は宿泊したので、ホテル棟2階にある宿泊者専用の出入口を利用しました。日帰り入浴客は専用の出入口と受付があり、面している通りもホテルとは異なるそうですからご注意願います(「海棠暁月」バス停から南坪東路を西へ進み、十字路を北へ曲がって暁月路を進んだ先の右手が、日帰り専用の建物です)。



宿泊者専用の更衣室は綺麗ですがコンパクト。係員のおばちゃんからタオルを受け取ります。



園内は都市の真ん中とは思えないほど緑が豊かで、表通りの喧騒が嘘のような静寂に包まれています。
このように大きなプールがあったり・・・



バリのリゾートを思わせる設えの露天風呂があったり・・・



このような岩風呂があったり・・・



何やらテーマが設定された浴槽があったり・・・



大きな築山につくられた人工的な洞窟の中にも・・・



薬湯や仕掛けを備えたお風呂などがあったり・・・



ウォータースライダーまであったり・・・
全部で52もあるんですから、形状や大きさ、仕掛け、装飾、入浴剤の種類など、とにかく多種多様。全部挙げていたらキリがありません。でもその殆どは残念ながら温泉マニアを満足させるようなお湯ではありませんでした。天然の温泉らしさが全く感じられないのです。端的に言えばお湯のテーマパークであり、趣向を凝らした各浴槽は別に天然の温泉でなくとも、入りやすい温度であれば、水道水を沸かしたお湯でも全く差し支えなさそうなものばかり。湧出量は日量2500トンなんだそうですが、そんなに汲まなくても良いのではないかという疑問が頭をもたげます。もちろんご当地の方はこのような多様性と規模を望んでいらっしゃるので、他所の国の人間が文句を言う筋合いはありませんが、でもせっかくなら源泉の個性を味わえる浴槽がほしい・・・。そう願いながら園内を散策していると、ついに見つけました。
数多ある浴槽群の中でも、私が注目したい浴槽はこれです↓↓↓



日帰り入浴の受付から最も遠いところ、且つホテル棟から非常に近いところに位置しているこのアメーバのような形状をした浴槽です。お湯の色にご注目。



モスグリーンを帯びた黄金色に濁っていますね。
他の浴槽は無色透明か、あるいは入浴剤の色を呈していたのですが、ここだけ明らかに色合いの毛色が異なっているのです。もうお分かりかと思いますが、この浴槽こそ源泉そのままのお湯なのです。みちのくや九州の温泉で出会えそうな色の温泉ですね。



この浴槽には源泉がボコボコと音を立てて噴き上がる上がり湯のようなモニュメントが設けられています。
噴き出すお湯は透明ですが、圧力が下がり空気と触れることにより濁りが発生するのでしょう。



側面にはご覧のように析出が凸凹とビッシリ付着しており、お湯の濃さを物語っていました。
この噴き出し口のお湯をテイスティングしてみますと、金気の味と匂いが感じられ、またカルシウムらしい硬い味も伝わってきました。この金気に関しては湯口よりも酸化が進んでいる浴槽のお湯の方が強く感じられます。湯船では引っかかる浴感が得られ、湯上がりには肌がシットリ潤い、体の芯までしっかり温まります。
お湯のタイプとしては前々回記事で取り上げた融匯温泉と同系統であり、こちらでは硫酸钙镁泉(カルシウム・マグネシウム-硫酸塩泉)と表現する泉質です。日本式に表現すれば塩化土類泉の一種ではないでしょうか。でも融匯温泉より重さや硬さがマイルドであるような気がします。
こちらを訪れるお客さんの多くは、他のバラエティ性豊かな浴槽で湯浴みを楽しんでいらっしゃいましたが、私はひたすらこの源泉浴槽に入り続けました。


 
館内表示によると、この温泉は地下3000メートルから汲み上げているんだとか。現代のボーリング技術はすごいですね。源泉(ご当地の表現では「泉眼」)の湧出温度は52.8℃で、湧出量は日量2500トン(毎分1.7トン)。そんなに汲み上げて大丈夫なのかしら(というかこの数値は本当なのかしら)。



当施設における温泉水の処理方法に関しても説明がありました。源泉(泉眼)からくみ上げた温泉はまずマンガン砂のタンク(锰砂罐)で濾過され、貯水槽でストックされたのち、各浴槽へ「不断的注入」され(つまり絶え間なく注がれ)、それによって各浴槽の温度が維持されるとともに、オーバーフローも行われ、且つ毎晩深夜1時には浴槽のお湯を排出して綺麗にしていますよ、とのことです。



ちなみに夜にはムーディーな雰囲気に変貌。深夜1時まで営業しています。
静かでのんびりとした雰囲気の中、私はゆっくりとお風呂に入り、存分に寛がせていただきました。
なんだかんだで、重慶の温泉は面白いですよ。


硫酸钙镁泉(カルシウム・マグネシウム-硫酸塩泉) 52.8℃ 2500t/day

重慶市南岸区南坪東路589号(重庆市南岸区南坪东路589号)

9:00~25:00
日帰り入浴158元(日によって異なるようです)
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーなど完備

私の好み:★★
(源泉の浴槽は★★★)

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重慶市南岸区 海棠暁月温泉 その1(宿泊)

2019年09月21日 | 中国
拙ブログでは数回連続で中国・重慶の市街地に湧く温泉を取り上げておりますが、その湯巡り旅での宿泊先は、市街中心部、長江右岸(南側)に位置する「海棠暁月温泉」という温泉ホテルを選びました。



交通量の多い南坪東路に面した高層ビルが今回のホテルです。たしかに温泉浴場を擁していますが、外観も中身も典型的な大都市のシティーホテルです。最寄に地下鉄の駅は無いものの、南坪東路はバスの本数が多い為、南坪駅など付近の地下鉄(もしくはモノレール)駅から路線バスを使って容易にアクセスできます。ちなみに最寄りのバス停の名前はズバリ「海棠暁月」。わかりやすいですね。



フロントでは"TAMI"と称する蝉のような形状のロボットがお出迎え・・・と思いきや、私の滞在時は電源が切れたままでした。おそらく中国版ペッパー君のようなものなのでしょうけど、電源が入っていたらどんな働きを見せてくれたのでしょうか。
さてこちらのホテルには事前に予約をしておいたのですが、フロントのスタッフは英語が全くわからず、こちらが予約済であることも理解してもらえなかったので、チェックイン時にはかなり難儀しました。仕方なく自分のスマートホンを取り出してGoogle翻訳(※)を使いながら何とか意思疎通できましたが、英語が通じないのはちょっと残念。外国人利用者はあまり多くないのでしょうか。もし"TAMI"が稼働していたら、そのあたりはカバーしてくれたのかな。

(※)中国国内ですからオンラインで使用するGoogleの各種サービスは使えませんが、大陸でも使える香港のsimカード「大中華」(日本のAmazonで売っています)をシムフリーのスマホにさしておけば、Googleをはじめツイッターやインスタ、そしてLineなど中国で使用が禁止されている各種アプリを使うことができます。尤もGoogle翻訳は予め翻訳したい言語のデータをダウンロードしておけばオフラインでも使えますね。また、香港のsimカードでなくとも、私が契約しているauの「世界データ定額」を利用したところ、ローミングしている現地の電波でなぜか上記の各アプリが使えました(2019年3月時点)。



客とフロントが互いにスマホを操作しあい、安っぽい機械翻訳ならではのトンチンカンな訳語に翻弄されながら、やっとのことでチェックインを済ますことができました。今回宛がわれたお部屋はキングサイズのベッドが据え付けられている客室。とても広々しており、一人で過ごすにはもったいないほど。はっきりと覚えていませんが、たしか1泊5,000~6,000円前後だったはずです。



書斎も併設されていましたので、ここで持参したパソコンを広げました。



バスタブこそありませんが、水回りも広くて綺麗。なおシャワーから出てくるお湯は普通の真湯です。



ミニバーは水以外全て有料。お菓子に紛れて避妊具が並べられているのはご愛嬌。
通りの向かいにはコンビニがありますから、食べ物や飲料などはそこで購入すれば良いでしょう。



私が泊まった部屋の窓から眺める景色はこんな感じ。





チェックイン時に朝食に関する説明が無く(というか、できなかったのでしょう)、朝食をどうすべきか迷っていたのですが、館内2階には朝食会場があり、会場入口で立っているスタッフにダメ元で自分のカードキーを提示したところ、キーの番号を機械で読み取ったうえで笑顔で中へ通してくれました。チェックアウト時に追加料金を請求されることはなかったので、朝食は宿泊料金内に含まれているんだと思います。
バッフェスタイルで中華と洋食が半分ずつ。品数が多く、しかも美味しかったので、つい欲張って朝から食べ過ぎ、お腹を痛くしてしまいました。はぁ情けない・・・。

さて、次回記事ではこのホテルの温泉についてご紹介します。

次回に続く。

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重慶市沙坪覇区 融匯温泉 その2(多彩なお風呂とお湯)

2019年09月15日 | 中国
前回記事の続編です。

重慶でも屈指の人気を誇る「融匯温泉」。
立派な受付を経て広い更衣室で水着に着替えた後は、実際にお風呂へ入ってみましょう。

この融匯温泉について結論から申し上げると、日本の温泉とは全くイメージが異なり、端的に表現すれば温浴テーマパークと言うべき施設です。日本人が温泉に求めるものと、中国人のそれとは、こんなに違うものかと強いカルチャーショックを受けることでしょう。従いまして日本の温泉情緒を求めてはいけません。ここでは自分の固定概念を捨て、ご当地の文化を素直に受け入れて楽しみましょう。



更衣室を抜けた先にある屋内温水プール。すべての利用者はまずここへ入り、更に広大な園内にある各種の浴槽やプールへ向かうことになります。巨大な温室みたいな空間には大きなプールが設けられ、プールサイドにはたくさんのデッキチェアなどが並べられていました。気候や気温を気にせず快適に水遊びできる空間です。プールには中華圏の方が大好きな打たせ湯もたくさん設置されていました。なおプールに張られているのは温水ですが、はたして温泉であるかは不明です。



ガラス張りの屋内から出てみました。
屋外の露天ゾーンは大変広く、公園のように設計された敷地の中に多種多彩な浴槽やプールが設けられています。私が訪れた時は梅の花が咲いていました。
なお融匯温泉が擁する浴槽やプールは本当に多いのですが、全ての浴槽を紹介していたらキリがないので、ここでは数を絞って取り上げさせていただきます。



園内にはお茶のサービスが用意されており、もちろん自分で注いでも良いのですが、適宜スタッフが循環しながら持ってきてくれますから、余計なことは気にせずノンビリと過ごしましょう。なお園内を循環するスタッフは、お茶を配る傍ら、入浴中のお客のスリッパをこまめに消毒しつつ並べ直してくれます。並べ直すのは良いとしても、いちいち消毒して何の意味があるのやら。お客さんやお風呂の衛生面に気を配っているよというポーズなのかもしれません。



たくさんあるお風呂は、機能面などが異なるのみならず、テーマが設定された個性的なお風呂もあり、たとえば上画像で写っているお風呂は、周囲に唐辛子や調味料などのオブジェが周囲に配置され、お湯が赤く着色されていました。ご当地名物の火鍋など何かの料理をイメージしているのでしょうか。



こちらは中国のみならず、日本やタイ、マレーシアなどのアジアの各地域で大変人気な足湯。たまたま撮影時は誰もいなかったのですが、その後たちまち人で埋まり、利用客のお喋りで大変賑やかになりました。なお画像はありませんが、庫の足湯の近くには中国で人気のドクターフィッシュ槽もあり、魚に足の角質を食べられている若い女性客がキャーキャーと歓声を上げていました。



足湯やドクターフィッシュなどの各浴槽がある階段ゾーンを上がってゆくと、上画像のような広大な屋外温水プールが目に入ってきました。プールと言うより入江みたいですね。



入江のようなプールの奥には、いくつもの薬湯が木立の中に点在しています。静かで緑豊かな良い雰囲気です。各浴槽で異なるフレーバーや漢方薬の入浴剤を溶かしていますが、ここも全てを取り上げたらキリがありませんので、代表的なものをいくつか。
(1)には青いお湯、その奥に黄色のお湯が写っていますが、どんな入浴剤だったか失念。
(2)は緑茶のお湯。
(3)は「活地通絡湯」と称するお風呂で、何かしらの漢方が入っていたはず。
(4)はチェダーウッドのアロマオイルが注がれた浴槽。



漢方に関しては園内にあるこの「煎薬房」で調合しているんだそうです。



こちらは「木桶湯」。いわゆる樽風呂ですね。



露天ゾーンで私が気になったのが「純湯池」。つまり何も溶かしていないお湯というわけですね。
日本の露天風呂をイメージして作ったと思しき、東屋つきの岩風呂です。



何も溶かしていないのに薄ら黄色く笹濁っているのですから、おそらくこのお湯は温泉なのでしょう。静かで広々しており、湯加減も良いので確かに気持ちは良いのですが、温泉っぽさがいまいち感じられません。良い温泉が持つシャキッとした感覚がお湯から伝わってこないのです。



緑豊かな園内の中を歩きながら・・・



この記事の冒頭でご紹介した屋内プールの近くまで戻ってきました。屋外を散策する際、上画像で写っているこの「四季浴」と称する浴槽がちょっと気になっていたのです。円を4分割したこの浴槽は、淡く濁るお湯を湛えており、特にこれといった装飾も無いので、園内の他の浴槽と比べるとかなり地味で目立たないのですが・・・



その中心に立てられている温泉の紹介を読んでビックリ。
「原湯池 未過濾処理(原汤池 未过滤处理)」、つまり源泉のお湯でろ過処理していないと書かれているではありませんか!!
私が求めていたのはこうした浴槽、つまり源泉に入れる浴槽です。



温泉の説明プレートが立っている真下に温泉の吐出口があり、触れないほど熱い温泉が噴き上がっていました。
吐出口の周りは温泉成分の付着により濃い赤茶色に染まっており、浴槽のお湯は上述のように緑色を帯びた薄い黄土色に濁っています。
湯口から噴き出ているお湯を、スタッフが配って回っているお茶の紙コップに掬ってテイスティングしたところ、かなり重く硬い味がしました。おそらくカルシウムやマグネシウムが多いのでしょう。また湯口周りを赤く染めていることからも想像できるように、金気味もはっきりと感じられました。



4つの扇形に分けられた各槽は4~5人ほど入れそうな大きさがありますが、地味な存在感ゆえかあまり人気が無く、混雑することありません。でも私のようなお湯の質にこだわる者にとって、この浴槽は本当に素晴らしく、広い敷地に数多の浴槽があるにもかかわらず、私はこの源泉浴槽を見つけてからは、ずっとここに入り続けました。お湯からは塩化土類泉らしい土気味と匂いがはっきりと感じられ、湯中ではしっかり引っかかる浴感と、肌をしっとりとコーティングする感触が得られます。そしてよく温まります。実に良いお湯です。



退館時には、ちょうど受付フロントの真裏に位置しているこの窓口で精算します。
入浴利用のみだった私の精算金額は169元! 日本円換算で2500~2600円というお高めな料金設定ですが、それでもたくさんのお客さんで賑わっていましたから、現在の重慶市民にとっては決して高くなく、むしろ支払う価値のある温泉施設と認識されているのでしょう。いや、東京圏の大規模温浴施設で比較しても、お台場の大江戸温泉より高いものの、横浜みなとみらいの万葉の湯と同等であり、それより高い後楽園のラクーアに比べたらはるかにコストパフォーマンスが良いので、日本の物価基準で考えても妥当な料金設定なのかもしれません。
私個人としては、1つだけでも気に入った浴槽と出会えてホッとしました。


硫酸钙镁泉(カルシウム・マグネシウム-硫酸塩泉) 54℃ pH7.6 5000㎥/day 
(温泉の湧出量が日量5000㎥ということは、5000÷24H÷60min=毎分3.472㎥=3472ℓとなります。ものすごい量ですね)

現地までのアクセスは前回記事をご覧ください
重慶市沙坪覇区梨樹湾(重庆市沙坪坝区梨树湾)
ホームページ

169元(日によって異なるようです)
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーなど完備

私の好み:★★
(源泉そのままの「四季浴」は★★★)
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重慶市沙坪覇区 融匯温泉 その1(アクセスと入館)

2019年09月12日 | 中国
重慶市街には数々の温泉入浴施設があり、より多くのお客さんを集めるべく凌ぎを削っています。そんな中で地元の方はもちろん、現地に滞在する邦人の方や外国人旅行者など、様々な客層から人気を得ている融匯温泉(融汇温泉)へ行ってみることにしました。



まずは地下鉄に乗って沙坪覇(沙坪坝)で下車します。
沙坪覇は重慶市の西部に位置する近郊の主要拠点。中心部には大きなショッピングモールが建ち並んでおり、大変賑わっています。



地下鉄の駅から地上に上がったところにある、十字型の大きな広場は三峡広場と称し、歩行者天国になっています。その名の通り、広場には三峡ダムを模したモニュメントが設えられていました。



その三峡広場から南側にある鉄道駅へ向かって歩き、駅前を東西に横切る通り(沙坪坝站西路)を右(西)へちょっと進むと、温泉へ向かう路線バスが発着する「站西路」バス停に辿り着きます。ここから乗るべきバスは224番と228番(内環)です。両系統とも比較的本数は多いので、さほど待つことなく乗れるはずです。



私は224番に乗車しました。10分ほどで終点の融匯温泉に到着。



温泉街と言うより、新しく造成された高層ビル群の街といった感じ。



中心部には外資系のラディソンホテルが威風堂々と構えています。





そのラディソンホテルのお隣が、今回の目的地である融匯温泉です。
日本のスーパー銭湯なんて足元にも及ばないほど立派な建物ですね。



まるでホテルのロビーを想像させる館内。とても温泉入浴施設とは思えず、私のような小汚い庶民でも受け付けてくれるのか、若干卑屈になり不安を覚えてしまいましたが、フロントで入浴したい旨を伝えると、事務的ながらスムーズに受け付けてくれました。このフロントではロッカーや精算で使うリストバンドを受け取り、利用料を含めた料金は退館時に全部まとめて精算します。



平日と休日など日によって料金が変わるため、フロントにはその日の料金表が掲示されているのですが、その下には浴槽の水質検査の結果も掲示されており、その日の水質は基準値以内であることを示していました。
なおこの水質検査の掲示には、温泉に関する基礎データも表示されていました。これによると湧出量5000㎥、湧出温度54℃、硫酸钙镁泉(Ca・Mg-硫酸塩泉)とのことです。





フロントの柱に掲出されている額の数々。上は天然温泉であることを証するものでしょう。下は「中国星級温泉」と書かれ、5つの★が浮かび上がっています。中国の温泉旅行企業評定星級委員会という組織が5つ星の温泉であると認定したようです。またその隣には日本健康開発財団から送られた「温泉健康増進施設の基準を満たしている」推進施設の認定状が掲げられていました。そんなに良い温泉なのかしら。



さて、ゲートを通過して中へ。
ラグジュアリ感溢れるラウンジは、高級ホテルそのもの。



男女別の更衣室入口。これだけ大きく表示されていたら、言葉が分からなくても迷うことはありませんね。



更衣室は大変広く、とても数えきれないほどたくさんのロッカーが用意されていますが、実際に使うのはリストバンドで指定されている番号の所です。ロッカーの中にはタオルと館内履きのサンダルが収められています。シャワーブースもたくさんあり、混雑することはありません。

とにかく大きくて綺麗で立派な施設なのですが、さて肝心のお風呂やお湯はどうなんでしょうか。
続きは次回記事にて。

次回に続く。








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