温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

明礬温泉 湯元屋旅館

2013年03月31日 | 大分県
 
別府で湯めぐりをしていたら無色透明で味や匂いも控えめな温泉の数々に飽きてきたので、ちょっと足を伸ばして明礬へ向かうことにしました。今回立ち寄り入浴でお邪魔したのは共同浴場「鶴寿泉」の真向かいに位置している「湯元屋旅館」です。


 
玄関にて女将さんに料金を支払って階段で2階へ上がると、すぐ右手に浴室の入口が2つ並んでいました。右奥のアルミ戸は内湯で左手前の暖簾が露天となっており、いずれも貸切利用なのですが、この時は露天が使用中でしたので、私は内湯の方を利用させていただくことになりました。



ドアノブにかかっている札を裏返して「入浴中」にしてから中へ。


 
旅館の内湯であっても脱衣エリアと浴室エリアが一体型となっているのはいかにも別府らしいところ。旅館というより民宿のようなこぢんまりとしたお風呂で、洗い場には真湯が出るシャワー付き混合水栓が1基設置されています。


 
耐酸性のためか木材で造られた浴槽はおおよそ2~3人が同時に入れそうな容量。お湯が冷めないようにと、湯面にはシートが被せられていました。
その湯船にお湯を注ぐ湯口からは激熱の源泉がチョロチョロと落とされているのですが、投入量が少ないにもかかわらず湯船の温度は50℃以上あって、とてもそのままでは入浴できなかったので、水道の蛇口を全開にしてしっかり加水してからの湯浴みとなりました。湧出量があまり多くないようですから(毎分9.1L)チョロチョロ程度にしか源泉を注げず、一度冷めると温度的なリカバリーが難しいために保温シートを被せているのでしょうけど、湯船への投入時の温度が相当高いため、湯加減を抑えるためには寧ろこのチョロチョロで丁度良いのかもしれません。

お湯はチャコールグレーに茶色と白色の絵の具を少々混ぜたような暗い色に濁っており、その透明度は20cm程度で底は見えません。明礬温泉らしいとても強い酸味が口腔を収斂させ、歯はキシキシし、その酸性のためにお湯へ体を沈めると肌にピリピリとした刺激が感じられました。また、通気が良いためか室内にはあまり匂いは篭っていませんが、入浴すると体にははっきりと硫黄臭がこびりつきました。


 
私が内湯から上がる頃には、露天を利用していたお客さんは既に退館なさっていたようでしたので、ちょっと見学だけさせていただくことに。
こちらの湯船にも保温シートが被せられていました。露天は外気の影響を覿面に受けますから、シートは必須なんでしょうね。湯船は岩風呂のような造りで、内湯をひとまわり大きくさせたようなサイズです。


 
内湯同様に露天も脱衣エリアと入浴エリアとの間に仕切りはありません。衣類用の棚と反対側には真湯が出るシャワー付き混合水栓が一つ設置されていますので、わざわざ内湯を利用せずとも露天でシャンプーすることも可能なんですね。
目の前は崖なので露天とはいえ景色を楽しめるわけではありませんが、外気に全身を晒しながら入る硫黄のお湯はきっと格別でしょう。外光をふんだんに受けている露天風呂は当然ながら内湯のお湯よりも明るく見え、白濁に近い明るい灰色に濁っているようでした。硫黄のお湯は光線の状況によって見え方が変わるのが面白いですね。


酸性-アルミニウム-硫酸塩温泉 81.9℃ pH1.8 9.1L/min(自然湧出) 溶存物質2.040g/kg 成分総計2.060g/kg
H+:15.9mg(56.08mval%), Al+++:64.3mg(25.41mval%),
HSO4-:515.7mg(20.67mval%), SO4--:975.2mg(79.02mval%),
H2SO4:20.4mg, H2SiO3:338.2mg, H2S:0.2mg

大分県別府市明礬1214  地図
0977-66-0322
ホームページ

立ち寄り入浴時間10:00~21:00
300円
シャンプー類あり

私の好み:★★★
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鉄輪温泉 地獄原温泉

2013年03月30日 | 大分県
 
鉄輪のいで湯通り沿いに点在する共同浴場のひとつ「地獄原温泉」。真ん中の湯気抜きが目立つ、瓦屋根の伝統的な湯屋建築ですから、誰が見たってこれが浴場であることは一目瞭然。入口には神棚が祀られており、私が訪問したときには常連さんがきちんと拝んでから中へと入っていきました。


 
別府の共同浴場ですから、当然ながら脱衣室と浴室が一体化されている構造です。脱衣スペースはこぢんまりしていますが、壁には換気扇が取り付けられており、湯上りのクールダウン時には助かりました。
浴室はそこそこ広く、伝統的な外観とは裏腹に、室内は実用性を重視したモルタル塗り&タイル貼りなのですが、湯船のお湯を体にかけながらふと室内を見上げてみますと、天井は板張りで、湯気抜きには太い木材の梁が左右に渡されており、歴史ある温泉の風格を漂わせていました。
タイル貼りで四角形の浴槽は10人同時に入浴できそうな余裕があり、そこに張られているお湯は無色透明なのですが、温泉成分の影響なのか、槽内や洗い場の床は薄っすらと橙色に染まっていました。


 
こちらで使用されている源泉は、浴槽の隅に設けられている湯溜まりに一旦落とされ、それから浴槽へと注がれていました。源泉吐出口にはバルブがあり、またその傍には加水用の水道蛇口も設置されていて、先客の常連さんはこの双方を自在に開閉しながら温度を調整なさっていました。
熱いお湯をフーフー吹いて冷ましながら口にしてみますと、ほぼ無臭ですが甘塩味が感じられ、その塩加減は前回取り上げた「谷の湯」より若干強いようでした。またわずかに金気も有しているようであり、上述の橙色の着色はその金気の影響なのかもしれません。

私がこちらの浴場の前を通る度に、お風呂の中から常連さん達の喋り声が外へ漏れ響いていたのですが、その声には必ず笑い声が伴っていました。地域の方々にとって共同浴場という存在は、毎日の汗や垢を落とすのみならず、日々を楽しく過ごすためにも欠かせないものなんですね。


ナトリウム-塩化物温泉 86.4℃ pH4.4 溶存物質3.404g/kg 成分総計3.507g/kg
Na+:928.0mg(86.66mval%), K+:140.0mg(7.69mval%),
Cl-:1397.8mg(86.32mval%), SO4--:295.4mg(13.46mval%),
H2SiO3:547.1mg, HBO2:41.9mg, CO2:102.4mg,  
源泉温度が高いために加水

大分県別府市鉄輪東  地図

6:00~21:00
100円
備品類なし
(別府八湯道スタンプは別の場所にあり。詳しくは現地の案内を参照。ただし押印可能時間は20:00まで)

私の好み:★★
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鉄輪温泉 谷の湯

2013年03月29日 | 大分県

鉄輪の温泉街のはずれで、カミソリを地面に切り込ませたかのような細く深い溝を流れる平田川。その川沿いに建つ民家のような共同浴場「谷の湯」は、観光客の喧騒から離れた生活臭の強い共同浴場として温泉ファンからも評価が高く、年季の入った渋い外観が余計に観光色を排しているようであります。辺りでは鉄輪のランドスケープを特徴づける白い湯煙がそこここから立ちのぼっています。



番台のオバちゃんが寛いでいる居間の窓サッシから突き出ているパイプへ料金を投入してから、右の階段を下りて浴室へ。


 
別府の共同浴場おなじみの、脱衣と浴室が一体化された室内。湯船すぐそばの位置に敷かれたスノコの上で着替えるのですが、そのスペースはやや狭く、ややもすれば着替えている最中の足元にお湯が掛かってきそうなほどでした。

洗い場の床や浴槽はおそらくコンクリ打ちっぱなしなのですが、相当長い年月にわたって使い込まれているらしく、表面は温泉成分によってベージュ色にコーティングされています。長方形の浴槽は足を伸ばして入れば5~6人サイズで、その隅っこに固定されている塩ビの湯口からアツアツの源泉が注がれています。ただ、源泉のままでは篦棒に熱いため、水道の蛇口から加水されて温度調整がなされていました。お湯は無色透明無臭で、甘い塩味が感じられます。食塩泉らしいスベスベ感が気持ちよく、しっとりと肌に馴染んでくれました。また、訪問したのは前日に小雪が舞うほど寒い気候でしたが、食塩泉パワーのおかげで湯上りはいつまでもホコホコと温感が持続しました。



浴室内では不動明王が入浴客を見守り、その傍では数体のお地蔵さんも穏やかな表情で微笑んでいました。不動様の下にぽっかりあいている空洞には水が溜まっているのですが、てっきり温泉かと思いきや、お湯ではなくて単なる水でした。



「谷の湯」で捺せるスタンプも特徴的。おばちゃんのイラストがとってもチャーミングですね。


ナトリウム-塩化物温泉 71.1℃ pH4.9 溶存物質3.306g/kg 成分総計3.323g/kg
Na+:930.5mg(87.47mval%),
Cl-:1397.0mg(82.20mval%), SO4--:397.4mg(17.25mval%),
H2SiO3:357.6mg,

大分県別府市鉄輪北中1組  地図

6:30~21:30
100円
備品類なし

私の好み:★★★
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別府 梅園温泉

2013年03月28日 | 大分県
 
別府市街の哀愁漂う飲み屋街に伸びる路地を歩き、更に狭い裏路地へと入り込んで行きます。この辺りはハングル文字の看板を掲げる飲み屋が目立っていますね。在日の方が多く暮らしているエリアなのかしら。


 
ちょっと迷いながらようやく辿り着いた「梅園温泉」は、案内表示によればここは大正5年に開設され、新竹瓦温泉とも称されていたんですね。普段は無人の共同浴場なんだそうですが、訪問時は偶々管理のおばちゃんがいらっしゃり、一見客たる私を笑顔で迎えてくださいました。路地に面した窓の向こう側からはボコボコと何やら威勢のよい音が響いてきます。何が起きているのやら…。



入口前ではニャンコがこちらの様子をじっと窺っております。裏路地に猫という組み合わせは、庶民的な街の風景に欠かせない組み合わせですね。初めて一眼レフのカメラを買ったら、まずこの組み合わせの構図を撮ろうとする人も多いでしょう。尤も、私は安物のコンデジですが…。


 
男女別に分かれている入口の引き戸を開けると、ピンポンと比較的大きな音量でチャイムが鳴りました。無人施設ですから、この音によって浴室内にいる先客へ新たに利用客がやってきたことを知らせ、客同士で注意して無銭入浴を防いでいるのでしょう。「会員制に付き部外者の入浴固く禁ず」とのことですが、わずか100円を支払えば部外者でも利用できちゃうのが別府の懐の広さであります。


 
別府の共同浴場らしく脱衣スペースと入浴スペースが一体化されており、室内は狭くて天井も低く、限られた会員のみを相手にする装飾性が一切ない施設です。
室内の真ん中には3~4人サイズの小判型浴槽がひとつ据えられています。また室内の右隅ではボコボコと音を立ててお湯を噴き上げている湯溜まりがあり、そこから床を潜って浴槽へとお湯が供給されています。表で耳にしたボコボコ音はこの湯溜まりで噴き上げられているお湯の音だったんですね。
お湯は無色透明でとてもよく澄み切っており、湯溜まりこそやや赤っぽい色が着いていますが、ほぼ無味無臭。微かにアブラっぽさや金気が含まれているようにも感じられましたが、こうした知覚的特徴は温泉由来なのか配管などに起因しているのかは不明です。いずれにせよ、お湯はとても鮮度が良く、すばらしい浴感が得られました。もちろん完全かけ流しです。
私が訪ったのは夕方4時頃で、先客には場所柄水商売っぽい兄ちゃんが目立っていたようでしたが、時間帯によっては客層も変わってくるのでしょう。現地へ至るまでのアプローチや浴場自体の佇まいが何とも言えないほど魅力的な、温泉都市別府ならではの素晴らしい共同浴場でした。


温泉分析表見当たらず

大分県別府市元町5-23

12:00~23:45
100円
備品類なし
(別府八湯温泉道のスタンプは、浴場とは別の場所にあります。詳しくは現地の案内をご覧あれ。ただしその押印場所における押印可能時間は20:30までなので要注意)現在は温泉道の対象外です。

私の好み:★★★
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亀川 四の湯温泉

2013年03月27日 | 大分県

前回に続いて別府市亀川の温泉を巡ります。今回は公園の一角にある「四の湯温泉」です。玄関を訪うと、愛想の良いけどちょっと神経質そうな番台のおじさんが対応してくださいました。こちらの浴場では桶を持参するのが流儀らしく、持っていない場合は番台で有料レンタルする必要があるそうですが、今回はおじさんのご好意によりフリーで桶を使わせていただきました。



番台の左側から下る階段を降りると男湯です。天井は高くて室内面積も広く、地域の共同浴場というより立派な銭湯のような感じの造りですね。でも脱衣所と浴室が一体化している構造は別府の共同湯的なレイアウトであり、双方を折衷させた浴場と言えるかもしれません。
中央には大きな小判型の浴槽がひとつ据えられており、真ん中で2つに分けられています。奥側は後述する源泉溜まりからのお湯を直接受けているためにやや熱めの43℃くらいの湯加減となっていますが、手前側(番台側)は水道の蛇口で加水でき、この時も実際に加水されていたために、41℃前後の入りやすい湯温に調整されていました。


 
壁に沿って棚がズラリと並んでいます。壁は水色のペンキ塗りですが、床はタイル貼りで暖色系の細かな市松模様。レトロな館内から伝わる雰囲気や開放感は、古い小学校の体育館を連想されてくれました。



男女両浴室の仕切り塀に掲示されているのは、昭和28年に大分県警察部衛生課が分析した古い鉱泉分析表。


 
浴室の隅には源泉溜まりがあり、ここへ落とされた源泉は床の下を潜って浴槽へと流されています。この源泉溜まりには飲泉用のお湯が別に注がれており、浴用と飲用は似て非なる異なる源泉が使われているようです。試しにその飲泉のお湯を口にしてみますと、無臭でほぼ無味ですがちょっと重たく、石膏っぽい味があったような無かったような…。一方、浴用のお湯は無色澄明でほぼ無味無臭、癖のないさっぱりとした浴感です。言わずもがな、湯使いは加温加水循環消毒の一切ない完全かけ流しです。広くて大きなこのお風呂に毎日入れたら、疲れを翌日に持ち越すことなんて無いでしょうね。


(浴用)
単純温泉 47.1℃ pH7.8 湧出量測定せず 溶存物質0.748g/kg 成分総計0.748g/kg
Na+:142.0mg(75.46mval%), Ca++:18.6mg(11.36mval%),
Cl-:136.0mg(47.17mval%), SO4--:112.0mg(28.62mval%), HCO3-:110.0mg(22.11mval%),
H2SiO3:190.0mg,

(飲用)
単純温泉 49.9℃ pH8.2 湧出量測定せず(掘削動力揚湯) 溶存物質0.789g/kg 成分総計0.793g/kg
Na+:150.0mg(75.38mval%), Ca++:19.4mg(11.21mval%),
Cl-:143.0mg(47.02mval%), SO4--:118.0mg(28.70mval%), HCO3-:117.0mg(22.40mval%),
H2SiO3:200.0mg,

日豊本線・亀川駅より徒歩13~14分(1.2km)、あるいは亀の井バスor大分交通バス「四の湯」バス停より徒歩1分
大分県別府市亀川四の湯20-4  地図

6:30(10月~3月は朝7:00)~11:00・14:00~22:00、毎月16日定休
100円
備品類なし(桶はレンタル)

私の好み:★★
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