温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

桃李温泉 石亭の館

2011年05月31日 | 熊本県
 
人吉の市街地から外れた球磨川の河岸に立地するお宿です。こちらには大きな露天風呂があるらしく、人吉での湯巡りでは内湯が続いていましたので、久しぶりに開放的なお風呂に入りたくなって、今回は日帰り入浴でお邪魔することにしました。

敷地全体が河岸の傾斜地になっており、宿泊棟は大きくどっしり構えているのですが、他の各建物は傾斜に沿って段々になって建てられ、下から、駐車場、女湯、宿泊棟玄関(受付)、男湯の順で分かれています。


こちらは女湯の小屋。この宿で大浴場として利用出来るのは男女ともに露天風呂onlyのようで、内湯を希望する場合は家族風呂か、離れに設けられた「離れ風呂」を利用することになるそうです。

 
こちらは男湯。階段を登り切った一番上です。この日は滝のような豪雨が降っていたのですが、人懐っこいお宿の小さなワンちゃんは、私を見つけると受付から出てきて、雨でズブ濡れになりながら私と一緒に男湯の脱衣小屋へ入ってしまいました。画像を見ると人吉温泉郷共通の暖簾の下に佇むワンコが写っているのがわかるかと思います。可愛いのでしばらく撫でてあげましたが、ワンコは全身ドロドロのまんま脱衣所の中を動き回るので、室内は大変な惨状に…。


男湯の露天風呂です。上述のようにここには内湯はありません。まるで池のようなデカい浴槽は、球磨川を見下ろす高台に設けられ、河岸の崖の緑に覆われてなかなかいい環境です。雨脚が強かったのでとても露天風呂の開放感を楽しむような状況ではありませんでしたが、お風呂の一部には屋根が掛かっているので、その下にいれば雨は凌げました。
太い竹筒から源泉が投入されており、しっかり掛け流されています。人吉の温泉にしてはやや熱めのお湯で、無色透明無味、それほど遠くないところで湧く「堤温泉」と同系統のモール泉的な匂いが感じられましたが、湯口で意識して嗅がないとわからないほど弱いものです。気持ち良いスベスベの浴感が得られますが、特に印象に残るほどでもないかも。近所の他の温泉に比べれば成分総計の量は多めなんですが、どうして個性が目立たないのかしら。塩素イオン・硫酸イオン・炭酸水素イオンが拮抗し合っちゃっているのかしら(Naイオン494.4mg/kg(88.45mval%)、塩素イオン220.1mg/kg(24.83mval%)、硫酸イオン313.9mg/kg(26.15mval%)、炭酸水素イオン744.1mg/kg(48.74mval%))。でも特徴が少ないとはいえ、お湯の当たりが優しいので、肌が弱くて濃い温泉が苦手な方にはもってこいかもしれませんね。
露天風呂のロケーションは良いので、次回は天気の良い日に利用したいと思います。


ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩・塩化物温泉
48.6℃ pH8.06 溶存物質2042mg/kg 成分総計2064mg/kg

熊本県人吉市矢黒町1970-5  地図
0966-22-3637
ホームページ

日帰り入浴8:00~22:00
300円
備品類なし(販売あり)

私の好み:★★
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筌場温泉 花手箱

2011年05月31日 | 熊本県

筌場は「うけば」と読むんだそうで、また「花手箱」とはご当地人吉で生産される木製の化粧箱とのことで、「市箱」とも呼ばれて羽子板と共に土産物として流通する物なんだそうです(wikipediaより)。
初めて知る語句が名称に並ぶこの温泉ですが、決して堅苦しいものではなく、長閑な田園風景の中にポツンと佇むこじんまりとした民営の共同浴場です。


一見すると民家のような外見。玄関から中にはいってみると受付まわりには花が描かれ、民芸品である雉子車や羽子板、そして施設名にもなっている花手箱が陳列されていました。オーナーさんの郷土愛が伝わってきます。
訪問時は無人で、セルフで切り株のような形の料金箱にお金を投入するシステムになっていました。カウンターには販売品のタオルやシャンプーなども置かれており、購入する人はやはり自己申告で料金箱へ支払うわけです。完全にお客さんを信じ切ったこの体制がとれるということは、人吉はよほど治安が良くて正直者が多い土地に違いありません。


至ってシンプルな造りのお風呂は実用本位で飾りっ気ゼロ。タイル貼りの内湯は5~6人サイズでしょうか、室内には打たせ湯やサウナも設けられていました。
お湯は無色透明でほとんど無味無臭ですが、湯口で硫黄化合物を思わせるような匂いが微かに感じられたかも。重曹型の単純温泉なので(Na+:
99.7mg/kg(65.08mval%)、HCO3-:241.3mg/kg(62.80mval%) )僅かでも重曹らしさが感じられて良さそうなものですが、知覚にも浴感にもあまりそれらしきものが伝わってこないのが不思議なところ。かといってキシキシしているわけでも刺激があるわけでもなく、総じて表現すれば癖のない優しいお湯なのです。


内湯から屋外に出ると露天風呂が据えられていますが、これが一風変っており、川下りの和船をそのまま浴槽に仕立てているのです。まぁ浴槽としてはあんまり入って落ち着けるような形状ではないのですが、いかにも球磨川流域らしくて面白いですね。お湯も内湯よりは露天の方が冴えているように感じられました。


単純温泉 52.6℃ pH7.97 溶存物質666.4mg/kg 成分総計684.4mg/kg
(気温の高いときに加水。加温循環消毒なし)

熊本県人吉市中神町城本1044  地図
0966-24-6271

8:00~22:00
300円
ドライヤー有料(20円)、石鹸・シャンプーなどは販売

私の好み:★★
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涼水戸温泉

2011年05月31日 | 熊本県

中神温泉を探している時に偶然道端に「涼水戸温泉」と書かれた看板を発見したので、どんなところか訪れてみることにしました。現地に到着してみると、その建物はどう見ても民家か公民館のようにしか思えず、玄関上に「涼水戸温泉」と書かれているのを確認して、ようやくここが温泉なんだろうなと理解できたのですが、それでもまだ半信半疑。


玄関を入ると受付がありました。民家のような建物なのでてっきり中には誰か係の方がいらっしゃるだろうと思って「こんにちは」と声を掛けてみたものの、一切返事がこない。早い話がここは無人の施設なんですね。手作り感溢れる料金箱に300円を投入して中へお邪魔しました。なお玄関右手が休憩スペースで、左手が浴室となっています。


浴室には石板貼りで木縁の浴槽がひとつ据えられています。洗い場のカランは4基。
人吉の温泉はモール系のお湯か透明でアワアワ系のお湯かいずれかだと思い込んでいたのですが、ここのお湯はその固定概念を覆してくれました。お湯は淡黄色に弱く濁っており、オレンジ色の小さな粒状の湯の花が舞っています。見た目から想像するに土気や金気がはっきりしているのかと思いきや、意外にも微かな金気が感じられただけで、無味無臭と言っても良いような知覚。浴感もこの手の色・濁りのお湯にありがちなキシキシではなくて、ツルスベ感が際立っているものでした。掛け流しの湯使いで、おそらく加温されているかと思いますが、丁度よい湯加減。


男湯と女湯との境に立っている欄間には、温泉マークとともに川下りの船の姿が彫られていました。透かし彫りと表現したいところですが、出来上がり具合から推測するに、いわゆる職人さんが造ったものではなさそうです。でもこんな手作り感が小さなお風呂には似合っていて微笑ましいですね。


窓サッシから外へ出ると、そこはビニールハウスの室内。鉄釜にお湯を張った釜風呂や、同じく川舟を湯船にしたもの、そして所狭しといろんな植物が植えられており、何だか雑然としています。舟は半分が女湯へ飛び出ており、船体が長いのでおそらく男女で半分ずつにしているんでしょう。露天風呂としてこれらを配置したんだと思いますが、釜風呂は良いものの、川舟のお風呂はお湯が相当鈍っていたのでパスしました。

後日知ったのですが、敷地内にはパイナップルやパパイヤなど熱帯果樹の温室があるそうで、見学も可能、そして販売も行っているんだそうです。なるほどお風呂のビニールハウスはその温室の延長線上にあるわけですね。人吉の他の温泉に比べると知名度は決して高くない方だと思いますが、決して悪いお湯じゃなく、むしろ人吉では隠れキャラ的な異色の部類に属するので、この界隈での湯巡りにアクセントを加えたいときに訪れてみるといいかもしれませんね。

ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩温泉 43.3℃ pH7.63 溶存物質1894mg/kg 成分総計1938mg/kg

熊本県人吉市中神町大柿490  地図
0966-24-0405

6:00~22:00
300円
ドライヤーあり、他の備品なし、無人

私の好み:★★
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しらさぎの湯

2011年05月30日 | 熊本県
 
温泉ファンの間では名湯の誉が高い「しらさぎの湯」。名湯はえてしてわかりにくい場所にあるものですが、ここもどうやらその一つだったようで、普段は温泉発見の嗅覚が鋭い私も、なぜかこの「しらさぎの湯」だけは一発で見つけられず、迷って周辺を何度かウロウロと回ってしまいました。周囲を田んぼで囲まれたとっても長閑な環境です。
「しらさぎの湯」は食事処兼旅館である「しらさぎ荘」の付帯施設。食堂入口の傍に温泉専用受付の小窓があるので、そこで料金を支払います。


こちらが湯屋。食堂や宿泊棟とは別の建物になっています。湯屋に専任の係員は常駐していないため、ちゃんと事前に自己申告して料金を払ってから利用しましょう。


敷地の真ん中には池があり、その中を鯉がのんびり泳いでいました。湯屋や宿泊棟・食堂棟が池を囲むように建てられています。

 
男女別のお風呂は内湯のみでそれぞれ浴槽がひとつずつあるだけの至ってシンプルな造り。材木を多用した湯屋はそこここから温もりが感じられました。大きな窓からはので外の光が燦々と降り注ぎ、窓が開いていれば半露天のような雰囲気も味わえて開放感たっぷりです。安い地元民向けの浴場によくある不衛生感もここでは全く見受けられません。

木製の浴槽は結構深めで、165cmの私はへそ下まで浸かりました。小さい子は気をつけて入らないと溺れちゃうかも。お湯はごく薄い黄色の透明、ほんの微かに塩味を帯び、僅かにミシン油の匂いが感じられました。気泡の量がとっても多いために湯面で盛んにパチパチとはじけており、もちろんお湯に入ると全身に泡が付着します。ツルスベ浴感もしっかり(人吉の他のモール系温泉に比べるとややツルスベ感が弱いかも)。完全掛け流しで加水加温などの温度調整が無いにもかかわらず実に絶妙な湯加減。

備品や施設面で特筆すべきところはありませんが、静かな環境の中で湯浴みできる上に、気持ち良い浴感と沢山の泡付き、そして絶妙な湯加減という三拍子が揃っているので、いつまでも長湯していたくなるお湯でした。なるほど、温泉ファンの諸氏が絶賛したくなる気持ちもよくわかります。


ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉 41.5℃ pH7.76 200L/min 溶存物質1778mg/kg 成分総計1800mg/kg

熊本県人吉市下林町2647-3  地図
0966-22-3420
ホームページ

8:00~23:00 無休
200円
ロッカーあり、他の備品類なし

私の好み:★★
200円
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相良藩願成寺温泉

2011年05月30日 | 熊本県

九州の温泉を取り上げた複数のガイド本に載っていたので行ってみました。願成寺とは相良藩の菩提寺のことですが、名前から想像するに大きな施設なのかと思っていたら、実際には人吉の中心部から2km弱程東へ進んだ静かな住宅地に佇む、地域民向けの鄙びてこじんまりとした共同浴場でした。浴場に隣接して「相良藩 田」という蕎麦処兼うどん屋さんがあり、このお店と温泉は同じオーナーさんが経営しているんだそうです。


昭和の銭湯の風情を色濃く残す館内。一角には常連さんのお風呂道具がたくさん置かれていました。

 
男女別の内湯にはひょうたん型の浴槽がひとつ。ひょうたんの上方に当たる小さな槽に湯口が設けられており、この湯口からお湯がゴボゴボ音を立てながら不規則に出ています。この小さな槽は大きさや深さから考えるに、人が入るのではなくて掛け湯専用でしょうね。湯使いは加温加水循環消毒なしの完全掛け流し。


こんな感じの掛け湯もありました。

お湯はほぼ無色透明ですが、薄い黄色にも見えるのは、泉質由来でしょうか、将又タイルの色のためでしょうか。うっすらモール臭が香り、湯口に置かれたコップで飲んでみると、ほぼ無味ながら舌にほろ苦味のような微かな刺激が感じられます。柔らかい口当たりなのでとっても飲みやすいお湯です。重曹がよく効いていてツルツルスベスベの気持ち良い浴感。ややぬるめのモール泉は人吉でよくみられる泉質ですね。人吉にはこういったノスタルジーに溢れるシンプルな湯屋が多いので、湯巡りしていてもちっとも飽きません。


ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉 44.2℃ 85L/min

くま川鉄道・相良藩願成寺駅より徒歩3分(約200m)またはJR人吉駅より徒歩20分(約1800m)
熊本県人吉市願成寺町402-4  地図

6:00~23:00
200円
備品類特になし

私の好み:★★
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